低気圧の位置ごとの波予測(サーファー的気象学⑥)

サーファーが「波を予想する」ためには、日々の気象条件を把握し、実際に海を見て経験を積む必要がある。また、より高度な波予想をするには、一定の気象知識も必要だが、気象知識さえあれば、波を予想できるというわけではない。

本コラムでは、サーファー気象予報士である「Kazy」が、15年以上の波予報経験からなる統計知識と、それに基づく波予想のポイントを独自の切り口で紹介。定番のマニュアル知識とは異なる視点のテーマも含め、全10話でお届けします。


サーファー的気象学

最初に

今回は低気圧の位置ごとの波予測を説明します。

普段から天気図を見慣れているサーファーの皆さまは脳内で理解しているかもですが、低気圧からのうねりの影響は、低気圧の位置だけでなくたくさんの要素で決まります。
今回の記事ではそのたくさんの要素のいくつかを紹介したいと思います。

【基本事項】天気図上での低気圧パターン

日本は大陸と太平洋の境目にあり、日本近海を通過する低気圧はほとんどのケースで下記4つのパターンに分けられます。

パターン1:低気圧としての実体はないが、今後低気圧になる前線
パターン2:発生初期の低気圧
パターン3:発達中の低気圧
パターン4:閉塞前線が現れ、衰退し始めている低気圧

これらの4つのパターンで重要なことが3つあります。

1.一般的にパターン4がその低気圧の生涯で最も勢力が強いことが多いです。
2.パターン3くらいまで成長すると、ほぼ間違いなく強いうねりが発生しています。
3.パターン4まで発達すると、しばらくの間強い勢力がキープされます。

これらはとても重要です。

【基本事項】天気図上での低気圧の位置・進路

次に低気圧の進路についてです。例えば★ マークがある関東沿岸にうねりをもたらす低気圧の天気図でのパターンは下記の5パターンです。

進路パターン1
南西から北東に、日本の沿岸をなぞるパターン

進路パターン2
日本の北側を東に進むパターン

進路パターン3
本州を横断する低気圧と南海上を進む低気圧が東海上で合体し、一つになるパターン

進路パターン4
日本の南岸を沿うように進むパターン

進路パターン5
日本のはるか南岸を沿うように進むパターン

それぞれの進路パターンとうねりの期待度の相関図は下記の通りです。

鋭い方は気が付くと思いますが、すべてのパターンに共通しているフレーズがあります。それは以下の部分です。

・期待できるうねり:東海上に抜けた後の北東うねり
・ポイント:東海上に抜けた後の発達具合
・ポイント:東海上に抜けた後の進路
・ポイント:東海上に抜けた後の速度

強いうねりが入るのは日本の東海上に抜けてからの北東うねりであることが多いです。
※ その北東うねりがどのくらい入りやすいかは、低気圧が東海上のどの位置に抜けたかにより大きく異なります。
下図の③のように北海道と同じくらいの緯度以南に抜けていればかなり長い時間、強いうねりが期待できます)

また、その前の南海上を通過しているシーンでは南うねりになることが多いです。
※ その南うねりの強さと継続性は、速度と発達具合によって変わります。速度はほとんどの低気圧にそれほどの差はないことが多いですが、発達具合は低気圧ごとに差があり、下図の①のように九州の南にある時点ですでに低気圧の構成になっている場合は南うねりが強くなりやすく、継続しやすいです。

今回のポイント

●日本付近を通過する低気圧は、ほとんどの低気圧が発達しながら東に進む。
●低気圧からのうねりは低気圧の速度も重要。
●東海上に抜けた進路・速度・勢力によっては1週間近くうねりが続くこともある。

以上、今回はとても基本的な事項をまとめてみました。
次回はより実践的な知識として「実践、低気圧のうねり特集」をお届けします。

(Kazy)


【サーファー的気象学】
第1回:数値予報資料のトリセツ
第2回:大気の立体構造をイメージする
第3回:高気圧からのうねりを見抜く
第4回:うねりが入りやすい高気圧の位置
第5回:停滞前線上のメソ低気圧のうねり
第6回:低気圧の位置ごとの波予測

この記事に 関連するタグ

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。