台風の嘘ホント(サーファー的気象学⑧)

サーファーが「波を予想する」ためには、日々の気象条件を把握し、実際に海を見て経験を積む必要がある。また、より高度な波予想をするには、一定の気象知識も必要だが、気象知識さえあれば、波を予想できるというわけではない。

本コラムでは、サーファー気象予報士である「Kazy」が、15年以上の波予報経験からなる統計知識と、それに基づく波予想のポイントを独自の切り口で紹介。定番のマニュアル知識とは異なる視点のテーマも含め、全10話でお届けします。


サーファー的気象学

まず台風ってなんですか?

下の画像には赤い部分と青い部分があります。この2か所では太陽からの距離と太陽の放射の受けやすさに違いがあり、温度が違います。
冷たい空気の青い部分と熱い空気の赤い部分の温度差が一定以上になると、地球自身が空気を混ぜ合わせてできるだけ温度差をなくそうとします。
この混ぜ合わせる動きが高気圧や低気圧であり、中でも最も効率よく混ぜ合わせる動きがまさに台風なんです。

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出典:気象庁(オブジェクトを重ねて加工)

台風の嘘ホント

サーファーの間では台風に関する話題はとても多く、楽しみに待つ人もいれば、できるだけ影響が無いといいなって考える方もいます。
そんな話題の中で下記のような言葉を耳にしたことはありませんか?

  • 北緯二十度超えたらうねりが入る
  • お化けセットがある
  • 台風ができた=うねりある
  • 普段波が無いところでも波が立つのはうねりが大きいから
  • 「腐っても台風」
  • 「肩透かしを食らう」
  • 祈れば来る

嘘のような表現もあれば、本当の話しもあり、、
まずはこれらが本当なのか嘘なのかについて、その根拠から解説します。

北緯二十度超えたらうねりが入る

北緯10度くらいからのうねりが到達することもあります。北緯二十度超えてもうねりが到達しないケースがたくさんあります。

お化けセットがある

台風が遠ければ遠いほど、台風の最も強いところで発生したうねりが届くまでに時間がかかります。15分あるいはそれ以上の間隔になることも多々あります。この原理により、何事もない海に突如現れる大きなうねりがまるでお化けのように現れます。

台風ができた=うねりある

台風ができる→強い風が波を起こす→大きい波が小さい波を吸収しうねりになって遠くへ伝播する→うねりが到達する。
これだけのステップがあり到達するまでにはかなり時間がかかるのです。

普段波が無いところでも波が立つのはうねりが大きいから

うねり自体が大きいことが一因ではありますが、最も重要なのは台風固有のうねりの方向成分です。※別のコラムで説明します。

「腐っても台風」

台風が接近するときには温帯低気圧になっていたり、消滅してしまうこともありますが、うねりはその前の台風がまだ台風として勢力があった頃のうねりが届きます。大切なのはうねりの到達まではタイムラグがあるということなのです。

「肩透かしを食らう」

期待していた台風からのうねりが期待したほど来なかった時には意外なほどたくさんの理由があります。理由を知れば知るほど楽しくなります。

祈れば来る

台風のうねりは祈っても来ないですが、その時間を利用して、よりうねりが届きやすい場所に移動することはできます。

今回のポイント

多くのサーファーが注目する台風については色々と語られますが、とくに覚えておきたいポイントは以下など。

● 台風が発生したら、すぐにうねりがあるわけではない。
● 北緯二十度線超えていてもうねりが届かないケースがある。逆に北緯10度くらいからのうねりが届くことがある。
● 台風はただうねりが大きいだけではなく、いろんな方向のうねりがある。

次回は「教科書では教えてくれない台風うねり」をお届けします。

(Kazy)


【サーファー的気象学】
第1回:数値予報資料のトリセツ
第2回:大気の立体構造をイメージする
第3回:高気圧からのうねりを見抜く
第4回:うねりが入りやすい高気圧の位置
第5回:停滞前線上のメソ低気圧のうねり
第6回:低気圧の位置ごとの波予測
第7回:実践“低気圧のうねり”特集
第8回:台風の嘘ホント

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