“東京五輪会場としてのウェイブプールの可能性”を総括(2018/5/23追記)

2018/05/23追記↓

2020東京五輪サーフィンの競技会場についての話題は、昨年秋から年末に掛けて様々な噂と憶測が錯綜していた。
結論的には、昨年末時点で、2016年12月に正式決定を発表をしている千葉県一宮町の釣ケ崎海岸(通称:志田下ポイント)に変更はないが、2017年、米国カリフォルニア州に完成した“ケリースレーター・ウェイブプール”に替わるのでは?という話が、にわかに真実味をおびだしている。

釣ヶ崎海岸にある垂れ幕(2017年11月撮影)

当初は「ウェイブプールの可能性がまだあるの?」というのが正直な感想であったが、Kelly Slater Wave Companyの実質的親会社であるWSL側関係者は、個人的な見解と前置きをした上で、「昨年初めには10%未満だった可能性が年末時点で80%に変わってきている」「五輪採用の是非に関わらず、ウェイブプールが日本に建設される」と語っていた。

事実、Kelly Slater Wave Companyの日本法人が設立されていることを確認しており、既に候補地を探している痕跡も見つかっている。

◆WSL(ワールド・サーフ・リーグ)の関連記事

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また、過去の記事で既にお伝えしたが、CT選手をはじめ、世界の有力五輪候補者の多くが東京五輪はウェイブプールであると思い込んでおり、中にはウェイブプールでなければ出場を控えるとする者も出てきているとさえ言われている。

実際、IOC(国際オリンピック委員会)をはじめとしたインターナショナル側がウェイブプール推しと想像される一方、国内サイドは決定をしている海での開催を死守しようとしていると感じざるを得ない。
JOCと東京都により設立された組織委員会(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)では、既に会場に決定をしている釣ケ崎海岸でも十分に競技可能なことを裏付けるためと思われるデータ集めなどをしており、海での開催スケジュールなどについても確定していないと関係者が語っていることなども理由の一つに挙げられる。

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釣ケ崎海岸の会場決定が記されたオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会の資料

都議会予算委員会関係者は、全ての競技の会場はIOC理事会においても正式決定しており、「現段階からの変更は予算の面でも有り得ないし、話すら聞いていない」と回答しているが、一方でJOCの上層部がウェイブプール案の存在を知っていると認識できる、非公式な場での発言なども聞けた。

◆五輪関連の公式発表記事

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ケリースレーターウェイブプールについては、当初は建設費15億などと噂されていた事もあるが、最近では50億~60億とも言われており、五輪予算という点のみで考えると、今更厳しいことは言うまでもないが、前述の通り、WSL(Kelly Slater Wave Company)側が独自に投資家を募り建設する事を前提すると、五輪予算は施設使用料のみを計上するだけで済む可能性があり、この話が現実味を帯びて来た所以なのだろう。

果たして、今年、どんな結論に至るのか。
オリンピックの採用に関わらず、ケリースレーターウェイブプールが本当に国内に建設されるのか。
その行方を追い続けてみたいと思っている。


 

[これまでのオリンピックとウェイブプールをめぐる話題]

ー2016年8月3日
2020東京オリンピックで、サーフィンが正式種目になることが決定。リオデジャネイロで行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会で採決が行われ、承認された。

ー2016年12月8日
それまでに、ウェイブプールでの開催なども囁かれていたが、2020東京オリンピックのサーフィン種目の会場が千葉県一宮町の釣ケ崎海岸(通称志田下ポイント)となることが正式決定

ー2017年11月4日
豪サーフメディアStab Magazineが「2020年東京オリンピックはウェイブプールで開催される可能性が高い。」と報道。

ー2017年11月20日
WSLが2018チャンピオンシップツアー(CT)の日程を発表。「サーフランチ」も加わることが決定

ー2017年11月21日
今年の8月にWSLのCEOに就任したソフィーが、複数サーフメディアと電話インタビューを開催。
既に6つのウェイブプール建設計画があることが明らかになった。また、NBAを始めとした数々のプロスポーツ団体の世界展開や商業化の先頭に立ってきた経歴をもつ彼女は、ウェイブプールはWSLにとって重要施策であり、戦略的に投資を進めていくことも示唆した。

ー2017年12月1日
当THE SURF NEWSでは国内外での取材や聞き取り調査を続ける中、海外ではウェイブプールでの開催と思い込んでいる者が少なからずいることなどを報道。

ー2017年12月15日
直近のWSLの動向をまとめた『WSLの思惑!? ~ウェイブプールとオリンピック~』を公開。
WSLがオリンピック関係者とコンタクトを取っていると推測される動きなどを報じた。

ー2017年12月21日
2020東京オリンピックの選手選考基準を、WSLと国際サーフィン連盟(ISA)の両名で発表。
オリンピックに関しては、これまでIOC/JOCとISA/NSAが主軸となって動いていたが、WSLの選手枠も確保されることが公表された。

ー2017年12年31日
Kelly Slater Wave Companyの日本法人が設立されていると報道。

ー2018年2年9日
WSLのCEOソフィーが、東京にウェイブプールの建設計画があることや、2020東京オリンピックのウェイブプール開催も視野に入れていることを、米Sport Business Daily紙のインタビューで明言。

ー2018年3年18日
WSLのCEOソフィーは、F+つのだゆき編集長の取材に対しても、2020東京オリンピックの開催地としてウェイブプールを採用してほしい意向を示していた。

ー2018年5年23日
ISA(国際サーフィン連盟)のフェルナンド・アギーレ会長が、AFP通信に対し、2020東京五輪はウェーブプールではなく海(釣ヶ崎海岸)で開催すると明言した。


COVER PHOTO: World Surf League(YouTube)

(THE SURF NEWS編集部)

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