東京五輪サーフィンでウェイブプールの可能性はあるのか

ーーー千葉県一宮町の釣ケ崎海岸(志田下)での開催が発表されている2020年東京オリンピックでのサーフィン種目において、ウェイブプールで開催される可能性が残っている!?

肌を焦がすほどの陽射しが薄れた頃から、業界内で再びささやかれ始めた五輪をめぐる噂話の数々。

そんな折、THE SURF NEWSでも取り上げられている通り、サーフィン大国であるオーストラリアのサーフメディアが「ウェイブプールでの開催の可能性が高い!」との報道を展開した。

独自の文化と特異のネットワークを有するサーフィン業界において(単なる噂好き!?)、「聞いた?」、「知ってる?」、「もしかして」などの枕詞とともにこの話題が瞬く間に拡散。単なる噂話と片付ける向きも少なく無いが、本当にそれだけの事なのだろうか。

オリンピック競技への採用当初、少なくなかったウェイブプール開催待望論者の中からは、最後の期待に賭けるかの意見も出始めている。先の記事では、「ケリースレーター・ウェイブプール」での開催の可能性が報じられているが、どのタイプのウェイブプールであれ、東京五輪の開催まであと3年を切った現段階で、開催場所の変更などあり得る話なのだろうか。

非公式ながら、直近、得たインターナショナル関係者の話を総合的に判断すると、その可能性はゼロに近いとも思えた。かつては、IOC(国際五輪委員会)、ISA(国際サーフィン協会)の中でも、ウェイブプールでの開催を熱望する者は少なく無かったと認めながらも、東京五輪では既に海での開催が公式に決定しているという理由からだ。

オリンピックのサーフィン会場は既に志田下に決定している

その一方で、世界各国の代表候補になるだろうWSL(ワールド・サーフ・リーグ)の選手達の間では、むしろ「ウェイブプールでやるんでしょ!」とウェイブプールでの開催と決めつけている者も少なくなく、捉え方に温度差があるのも事実のようだ。

また、直接的な五輪関係者ではない、第三者とも言える業界関係者などからは、土壇場の今、現在のIOC(JOC)とアマチュア団体であるISA(NSA)を主軸とした構図を変えようとする動きがあるのではないか?との憶測もでてきている。

現時点では単なる噂話であるということを前提として読んで頂きたいが、その憶測が根拠としているのは、ウェイブプールの所有者であり、最高峰のチャンピオンシップツアー主催者であるWSLのこのところの動向にあるようだ。

実際、WSLの親会社WSL ホールディングスが、ケリースレーター・ウェイブプールを運営するKelly Slater Wave Companyを買収したのは周知の事実であり、先日発表された来期WCTツアー開催地として、遂にこのウェイブプール(正式名称サーフランチ)も組み込まれた

更に、再来年2019年ツアーからは、冬場のノースショアを最終戦としていた伝統のフォーマットが改正され、オリンピック開催時期と重なる可能性の高い夏~初秋に最終戦を開催するとの報道も出ている。

加えて、オリンピックにて世界最高峰のサーファーを集めるとなると、このWSLの協力が必要条件となるということ等が指摘されている。

PHOTO: © WSL/Morris (サーフランチ)

一方で、千葉県や一宮町などの自治体を既に巻き込んでいる現状で、「いまさらそんな事は有り得ない!補償問題になる!新たな財政出動も有り得ない!」という声もある上、各種報道の通り千葉県は会場(志田下)周辺の整備費として約4200万円もの設計事業費を予算案計上しているなど既に動き出している部分も少なくなく、関係各所の再調整は現実的では無いようにも感じ取れるが、仮に一宮町周辺や千葉県内に他資本支援のもとウェイブプールを建設するといったことが起こり得るならば、税収や観光資源の創造という観点から逆に歓迎される可能性もあるのかもしれない。

また、国内のオリンピック組織委員会でも、実際に海での開催日程は決まっておらず、海で開催するための裏付け作業があるとも言われており、上記の憶測とも合致してしまうかのように見える。

これらのことから、インターナショナル関係者含め主催関係者の認識はあくまでも海での開催のままであるものの、周辺状況を踏まえると、ウェイブプール開催を打診する強い力が働いているのではないかと想像してしまう訳だ。

ところで、私自身、初めて五輪競技となったサーフィンが、より分かりやすく刺激的なコンテンツとして、多くの観客、視聴者に訴求することを切に願っており、東京五輪をターニングポイントとしてサーフィン界が盛り上がって欲しいと考えている。

もちろん、サーフィンの急激なブームにより、その後の海でのトラブルを懸念する声が少なく無いことは承知しているが、その入門者のためにも、中級者、上級者のためにも、オリンピックで使用した施設が再利用できる可能性を秘めていることや、分かりやすいフォーマットで刺激的なコンテンツとなり得るという観点からも、当初から、ウェイブプールを待望する一人であった。

勝手な妄想ではあったが、海から離れた西東京エリアの圏央道や、鉄道でのアクセスも可能なエリアでウェイブプールが実現できれば、様々な層にサーフィンをアピールできる。ベテラン・高齢層のニーズでもある、争わずに安定的に“乗れる波”を提供できる事にもなり、ジュニア層への教育プログラムや、コンペティター層のコーチングシステムなど各種レッスンプログラムへと需要や効果は計り知れないものと感じていた次第だ。

多くのサーファー達が期待する東京五輪でのサーフィン競技。ウェイブプールの話に限らず、周辺取材を通じて、様々な話題を今後もお届けしたいと考えています。

齋藤 丈

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