(2023年F+&BCMカレンダーで採用されたイーサン・ユーイングの写真) PHOTO: angela zorica

2024年カレンダー制作中に分かったサーフィンの進化

F+(エフプラス)

早いもので、今年ももう終盤。あれだけ暑かったのにあっという間に寒くなって、なんか、半袖がちょうどいい時期ゼロな感じ。汗だくか長袖か、みたいな。
まぁ、この時期になれば2024カレンダー制作なわけです。
今いろいろ写真選んでるんだけど、けっこうノーチョイスなんですよね。以前のようにフリーのカメラマンも試合に行かないし、私も行かないし、行ったベルズは波が終わってたし、なかなか微妙で選択肢が狭い。その上ベルズで目からウロコが何百枚も取れてしまっているので、選べないんだよなぁ、目がぜいたくになっちゃって。

(今年唯一訪れたベルズはご覧のコンディション…)Photo by snowy

何とか苦労して選んで、今レイアウト確認なんだけど、ずらりと並べた写真たちを2023年カレンダーのものと比較すると、ひと目で分かるサーフィンの進化、という感じで興味深かった。2023年版をお持ちで、2024年版を手にされる予定の方は、かけ替えるときにそういう目で表紙を比較してみてください。同じように見えて、違うんですよ、いろいろ。当てる場所のほんの50センチ、タイミングの数秒、それが違うだけで、技術的にものすごく開きがあるわけ。

2023年だってけっこう厳しい写真選択してるんだけど、2024年カレンダーのほうが全体的にずっと厳しいところというか、きわどいところというか、もうこの先0.5秒でクローズですよね、みたいなところに当ててる。まぁ、今までならここプルアウト一択、みたいなところに当ててるわけですよ。昨年ぐらいからジャッジがそこばかり見てリワードするので、選手のサーフィンもそう変わってきたわけ。まぁ、今やシーズンの途中でもジャッジ変わったりしてるんで、この先どうなっていくのかわからない。少なくとも2023シーズンの前後半はジャッジの傾向は変わったと思うし、選手もアジャストに忙しかっただろう。何とか頑張ってアジャストしたと思ったらまた変わる、みたいな。
CTは今、そうやって目まぐるしく変わってると思う。年寄りはついていけない(笑)。ケリーなんかついていく気もなさそうに見える。でも、ベテランたちの持っているベーシックな技術の高さは、それを磨いていく価値があると思う。サーフィンの基本を突き詰めて、突き詰めていくと、イーサン・ユーイングのサーフィンなのかな、とも思う。オーストラリアンパワーサーフィンにスピードプラスの形。

もう何十年も変わらないジャッジの3つの要素、スピード、パワー、フロー。このどれかひとつに特化する時代は終わり、これらをミックスする時代なわけだけど、ある意味それぞれに相反する要素でもあり、どれかひとつは妥協することになるんじゃないだろうかと思う。この選手はスピードで妥協、この選手はパワーで妥協、この選手はフローで妥協、みたいな目で見ていくと、けっこう面白い。いつか近い将来、3つが3つとも100%というサーフィンが出てくることになるんだろう。早く、重く、美しく流れるようなサーフィン。

(CSのエリセイラの表彰台)PHOTO: © WSL/Damien Poullenot

CS、QSとレベルが下がるにしたがってその変化は緩やかになるけど、それでも変わってきてるな、と思う。CSのエリセイラとか見ていると、日本人頑張ってるな、とは思うものの、変わってないな、とも思う。ひとりひとりの選手の中では変わってるのかもしれないけど、ツアー全体の変化のスピードと比較して、変わんないよなー、と思う。変わる方向も違ってると思うし。周囲と同じスピードで同じ方角に変わらなければついていけないわけで、その変わらない感じが結果に出てるかな、と思う。ジュニア、QSは勝てる、CSも何ラウンドかは勝てる。でもCSのブラケットステージまで残っている選手との差はとてつもなく大きい。CTともなれば別世界だ。そこ、強化本部としては黒船頼りではなく、何とかしないといかんのだろうと思う。ま、頼っちゃえばいいのか、とも思うけど(笑)。

F+編集長つのだゆき

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