(ニュージーランドの会場となったラグラン) PHOTO: © WSL/Rambo Estrada

「究極のエアーゲームとレールゲームの調和を見せてくれた」 – F+コラム

F+(エフプラス)

ニュージーランド、イタロとカリッサ。東京オリンピックのウイナーと同じコンビ。カリッサはステファニーが勝てるなら私も、というモチベーションは確実にあっただろうし、あれだけいつもゴキゲンなベイビーがいれば「ママでも金」だわよ。

でもそれよりなによりQFのヤゴの10点ですね、個人的には。
この久しぶりのグーフィーのアクション勝負の頂点はまさにあれかなと思うし、今の世界の頂点はすでにあそこまで行ってしまったのね、みたいな。

(10ポイントを出したヤゴ・ドラ)
PHOTO: © WSL/Oscar Hetherington

英語でJaw dropping 直訳すればアゴが落ちるですが、そういう表現があって、日本語だと開いた口がふさがらないぐらいビックリ、みたいなことなんですけど、まさに、びっくり仰天、Jaw droppingの10ポイントだったと思う。
数年前ならあのフルローテーションだけで10点だったろうけど、今やそのままスムーズすぎる着地から1ミリのスキもなく、次のクリティカルなカービングスナップというかカービングレイバックというかのビッグターン。で、その時点でもう10点オーバーなんだけど、そのあとも1ミリのスキもなく次から次への厳しいセクションでの厳しいターン。いくら9.50必要でも多すぎますよ、ヤゴちゃん、みたいな。
あれだけの高さのフルローテとあれだけきわどいクリティカルヒットのコンビネーションって、すごいな。究極のエアーゲームとレールゲームの調和。もうビデオとかテレビゲームの世界だもん。しかも折からの逆光で波が透けて見えてて、えー、そのピラピラのセクションのそこでそれやる? みたいな。

(優勝したイタロ・フェレイラ)
PHOTO: © WSL/Oscar Hetherington

あのセクションはちょっと前までは誰も攻めないセクション、やり過ごす早いセクションなわけだけど、もはやそこ攻めないとならないわけだね。みんなあれを見ているのでこの先どんどんああいうのがトライされるんだろうし、すでにそのあとのイタロのエアーもいつもよりきわどい場所でアプローチされていたように思う。そして次のターンとのコンビネーション。もはや飛んで着地だけではダメで、飛んで着地のまま次のきわどいターンとのセット物がオープニングマニューバー。当てて走って最後にリバースなんてぬるいサーフィンは時代遅れなんですよね。
女子もカリッサみたいな強靭な脚力で、あのトップのピラピラセクションをねじ込み続けなければならないわけだわね。

(母になってもパワフルなサーフィンを見せるカリッサ・ムーア)
PHOTO: © WSL/Oscar Hetherington

厳しいなぁ。この先10年はあそこに行ける選手は日本からは出ないだろうな、と思った。それはクオリファイということではなくて、あのレベルのサーフィンのできる選手という意味。それと同時にあのサイズのあのクオリティの波が2週間で4~5日上がるポイントは日本にないなぁ、とも改めて思った。
私にとってはいろんな意味で、日本って確実に世界からおいていかれていることを再認識させられたニュージーランドだったわけで、まぁ、こういうこと言うといきなりCTと比べても、とか、そこついちゃったら終わりですよ、とかいう人がよくいるけど、そこを突かないから終わっちゃうんだよ、と言いたい。
誰だって、ヤゴちゃんだってスタート地点は同じだったはずだ。始めから上手い人なんていない。まずはゴールにつながっている道のスタート地点に立って、日々1ミリでいいから前に進み続けることだと思う。まぁ、現状ではみんな第2コーナーあたりで波や戦略のせいにして終わるわけだけど、上に行きたいなら敗因は常に自分のサーフィンに求めるべし、だと思うよ。

F+編集長つのだゆき

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