(ポルトガル戦を制した二人)PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ジョアオ・チアンカ&ケイトリン・シマーズが優勝!CT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』最終日

現地時間3月14日、難しいコンディションに波乱が続いたCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』が4日連続で進行して一気にファイナルまで行われ、勝者が決まった。
メンズ、ウィメンズ共に次世代の新しい選手が優勝してポルトガルでの連日の激しい戦いは幕を下ろした。

新たなブラジリアンの台頭

(チューブ勝負を制したジョアオ)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

メンズサイドではツアーの約3分の1を占めるブラジリアン。
ガブリエル、イタロ、フィリッペの三強の流れは変わりつつある。

昨年初のワールドタイトルを獲得したフィリッペ は安定した強さを維持しているものの、ガブリエル、イタロは一時期の勢いが衰えており、今年はランキングも低迷している。
一方、ビッグウェーブの世界で一足先に注目されていたルーカス・チアンカの弟として2022年にCT入りした22歳の若きブラジリアン、ジョアオ・チアンカが今年はハワイレッグで大活躍。一躍時の人になり、ポルトガルでもSF、ファイナルで9ポイントを出す驚異的な強さを見せ、遂に初優勝を果たした。

(優勝、3位、2位と絶好調のロボ)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「パドルアウトしてから5分後に波の良さに気付いたんだ。完璧なビーチブレイクでのバレル。どれだけ素晴らしく、全てが大好きだと感じたよ。自分にはこの過程を楽しもう、これまでやってきたことを全力でやりきるようにと言い聞かせたのさ。海ではもし今回優勝できなくても、いつか必ず優勝できるんだとずっと思っていた。そして、信じられないことに自分の番がやってきたんだ。ツアーにクオリファイして以来、初優勝を夢見てきたよ。それがポルトガルで実現した。最高の気分だね」

(ジョアオ・チアンカ)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

ファイナルデイは新しい西ウネリが入り、公式8-10ftレンジ。朝は風の影響で難しいコンディションだったが、日中はオフショアに変わり、回復傾向。メンズはRound of 16からファイナルまで4ラウンド、ウィメンズはQFから3ランドと合計22ヒートをこなす過酷なマラソンデイとなった。

(Supertubosのラインナップ)
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メンズのファイナルは同じ「VOLCOM」のチームメイトでもあるロボことジャック・ロビンソン(AUS)とのカード。「Supertubos」の名称の通り、チューブ勝負となった。

序盤のマッチアップではロボの6.17に対してジョアオは次の波で7.83をスコア。振り返れば、これが勝負の明暗を分けたのかもしれない。スイッチが入ったジョアオは更に中盤には8.50を出して圧倒。後半、ダメ押しのレイトテイクオフの深過ぎるほどのバレルメイクで出した9.07の後、ロボも8.97を返すが、バックアップが足らず、トータル17.57 vs 15.14でジョアオがファイナルを制した。

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2022年のルーキーイヤーは苦戦してミッドシーズンカットを喰らい、CSからやり直すことになったジョアオ。CSでは『VANS US Open of Surfing』での2位、ブラジルで3位に入り、ランキング8位で2023年CTに戻ってきた。
この件を聞かれると様々な思いが交錯したのか、涙ぐんでずっと優勝を目指して信念を貫いてきたと話していた。

今回の優勝でジョアオは3位から2位に浮上。ロボのトップ変わらず、イエロージャージを着てオーストラリアレッグに挑む。

奇しくも17位2回、9位1回と同じ結果を辿っている五十嵐カノア(JPN)、ケリー・スレーター(USA)の二人はミッドシーズンカットのラインを下回る24位に転落。
4月のオーストラリアが正念場となる。

PHOTO:© WSL/Thiago Diz
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ケイトリンがルーキーで初優勝の快挙を達成

(ケイトリンの美しいカービング)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ウィメンズサイドはケイトリン・シマーズ(USA)、コートニー・コンローグ(USA)のカリフォルニアの新人とベテランの対決。

ファイナルはコートニーが序盤にチューブメイクで9.00をスコアしてリード。後半、コンビネーションスコアまで追い込まれたケイトリンは小さなバレルからターンのコンボで7.17を出すとすぐにレイバックからフィニッシュまで決めて6.33。最初の9ポイントの後、バックアップを伸ばせなかったコートニーをトータルで上回り、ルーキーで初優勝の快挙を達成した。

(最初に9ポイントを出したコートニーだったが…)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「正直、信じられないわ。コートニーが凄いチューブに入った後、勝負が始まったと思ったの。彼女から離れて波を探し、スコアを出すことができて嬉しかったわ。これは私のお気に入りのタイプの波よ。ほぼ毎日ビーチブレイクでサーフィンしているからね。ポルトガルは本当に素晴らしい場所。ここに連れてきてくれたサーフィンに感謝しているわ。他に何を言えば良いか分からない。ありがとう!」

昨シーズンはまだ学生ということなどを理由にクオリファイを辞退する異例の決断したケイトリン。
賛否両論あったが、何事もなかったように2年連続でクオリファイを果たし、17歳でデビューした。
まだ高校生の彼女はあどけない表情だが、サーフィンはウィメンズのレベルを今後更に引き上げていくだろうと感じせる非凡さで、早くもそれが結果になった瞬間だった。

(ウィメンズルーキーでの優勝は2012年以来)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

ちなみにウィメンズルーキーでの優勝は2012年『Nike US Open of Surfing』のレイキー・ピーターソン(USA)以来。10年以上更新されていなかったことを考えても、いかに凄いことを成し遂げたかが分かるだろう。

今回の優勝でケイトリン・シマーズ(USA)は一気にカリッサ・ムーア(HAW)と同率のランキング2位まで浮上。
QFまで進んだモリー・ピックラム(AUS)が単独トップとなった。

ハワイレッグ、ポルトガルでの戦いを終えたツアー一行はまだ夏の気配が残るオーストラリアへ移動。
4月に2イベントが行われ、前半戦が終了する。
まずは伝統のベルズ戦、4月4日〜14日に第4戦『Rip Curl Pro Bells Beach』が開催される。

PHOTO:© WSL/Damien Poullenot
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『MEO Rip Curl Pro Portugal』結果
1位 ジョアオ・チアンカ(BRA)
2位 ジャック・ロビンソン(AUS)
3位 カラム・ロブソン(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)
5位 コナー・オレアリー(AUS)、サミュエル・プーポ(BRA)、和井田理央(IND)、グリフィン・コラピント(USA)

ウィメンズ
1位 ケイトリン・シマーズ(USA)
2位 コートニー・コンローグ(USA)
3位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、メイシー・キャラハン(AUS)
5位 モリー・ピックラム(AUS)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、ヨランダ・ホプキンス(POR)、ソフィ・マックロック(AUS)

2023年CT『MEO Rip Curl Pro Portugal』終了後のランキング
1位 ジャック・ロビンソン(AUS) 23,885pt
2位 ジョアオ・チアンカ(BRA) 22,170pt
3位 フィリッペ・トレド(BRA) 16,075pt
4位 カイオ・イベリ(BRA) 14,150pt
5位 グリフィン・コラピント(USA) 13,875pt

ウィメンズ
1位 モリー・ピックラム(AUS) 19,490pt
2位 カリッサ・ムーア(HAW) 17,355pt
2位 ケイトリン・シマーズ(USA) 17,355pt
4位 タイラー・ライト(AUS) 14,930pt
5位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA) 13,440pt

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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