(ミッドシーズンカットの懸念が浮上してきたカノア)PHOTO:© WSL/Thiago Diz

波乱続きのポルトガル戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』五十嵐カノアが…

現地時間3月12日、ポルトガル西部・ペニシェ「Supertubos」を舞台としたCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』は2日目を迎え、メンズのElimination RoundからRound of 32のH14まで進行。

西ウネリがピークを迎えた「Supertubos」は公式10-12ftレンジのハードコンディション。不安定なブレイクにフィリッペ・トレド(BRA)、ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ケリー・スレーター(USA)、五十嵐カノア(JPN)までもが敗退する波乱含みの一日だったが、「Supertubos」の名称の通りの桁外れのバレルがあり、シーズン初のパーフェクト10もスコアされた。

カノアが敗れ、コナーと理央がベスト16入り

(敗者復活戦後のインタビューを受けるカノア)
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今シーズン、ステファニー・ギルモア(USA)とグリフィン・コラピント(USA)のコーチも務めるトム・ウィタカーから離れた影響か、悪い結果が重なっている五十嵐カノア(JPN)は敗者復活戦のElimination Roundこそケリー・スレーター(USA)、ワイルドカードのフレデリコ・モライス(POR)を相手に快勝したものの、次のRound of 32では1本目にバレルを抜けて8.00を出したにも関わらず、ラスト5分で7ポイント台を2本重ねたサミュエル・プーポ(BRA)に敗退。
シーズン2度目の17位となり、ミッドシーズンカットの懸念が浮上してきた。

「このヒートで負けるわけにはいかないと思ったんだ。成し遂げるには気合が必要で、やるべきことは理解していたよ。でも、精神的にはかなりきつかったさ」とサミュエルはコメント。

彼自身も17位が2戦続き、ミッドシーズンカットの懸念があるため、負けられないヒートだったのだ。
なお、兄のミゲルは前ヒートでルーキーのイアン・ジャンティ(HAW)と対戦中に足首を負傷。すぐにメディカルルームに搬送された。

(メディカルルームに搬送されたミゲル)
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カノアが早々とイベントから姿を消した一方、これまたミッドシーズンカットの懸念があるコナー・オレアリー(AUS)はナット・ヤング(USA)とのグーフィーフッター対決を制して今シーズン初のベスト16入り。
初日にハイエストスコアを出して好調の和井田理央(IND)はジョン・ジョンとのクロスゲームを切り抜け、シーズン2度目のRound of 16進出を果たしている。

「緊張と興奮を同時に感じたね。厳しいコンディションで、本当にストレスだったよ。ジョンは世界でも最高のサーファーの一人なので、全力を尽くした。最高の結果ではないけど、仕事をやり遂げて嬉しいよ」

(和井田理央)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot
(和井田理央)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz
(和井田理央)
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(ヒートの緊張感から解放された和井田理央)
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(理央に倒されたジョン・ジョン、ボードを折る災難も…)
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(次に繋げたコナー)
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カラム・ロブソンが2023年初のパーフェクト10

(10ポイントライドはこの強烈なドロップから始まった)
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この日は1シーズンで数回しか出ない貴重なパーフェクト10がカラム・ロブソン(AUS)によってスコアされた。
ガブリエル・メディナ(BRA)、マキシム・フスノット(FRA)とのElimination Roundで3位に追い込まれていたカラムは巨大なウネリに挑み、バックドアカインドのハードなドロップからギリギリでボトムターンをメイクしてバレルイン。スピットと共に吐き出されたライディングに5人のジャッジが満場一致で10を出したのだ。

「最も必要としていた場面にあの波が入ったんだ。本当に良い気分だね。波を得るチャンスを得てそれを活かすことができて凄い興奮しているよ。できるだけ強くパドルをして、ボードに乗りドロップした。バレルに入った後、完全に吸い込まれてしまったので、お願いだから出してくれって思ったよ。嬉しくて、手が痛くなるほど拍手したね」

(強烈なドロップの後、ギリギリでボトムターン)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot
(見事に出口を見つける)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

カラムは今シーズンからパーフェクト10を出した選手に副賞として贈られるスポンサーのYetiのクーラーボックスも手に入れ、リアム・オブライエン(AUS)とのRound of 32もクリアした。

ジョアオ・チアンカがケリーを倒す

(ジョアオ・チアンカ)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ハワイレッグでは2戦続けて3位とミッドシーズンカットを喰らった昨シーズンと一転して台風の目になっているジョアオ・チアンカ(BRA)はElimination Roundをクリアした後、Round of 32でキングケリーと対戦。
ジョアオは短いチューブとターンのコンボで6.17をマークしてリード。6.37を重ねてヒートをコントロールする。特に難しいバレルのスキルではジョアオを上回るケリーは最後の波で深いバレルをメイクして7.33を出すが、時すでに遅し。タイムアップでシーズン2度目の17位に終わった。

(ヒート前に集中するジョアオ
PHOTO:© WSL/Thiago Diz
(最後に反撃したケリーだったが…)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

「ケリーは内面も外面も素晴らしいサーファーで、彼と対戦できたことは大変名誉だった。今朝の敗者復活戦では良いヒートを演じることができた。でも、集中して他のことを忘れようとしていたよ。混乱したヒートが多かったしね。残り1分になっても、ケリーのマークを外すことはできないと思ったさ。ここの観客は本当に凄いね。ブラジリアンも多いし、みんな自分の名前を叫んでいたよ。プレッシャーになるけど、それは良いプレッシャーさ。ファンのために良い結果を出そうとする励みになった」

(世界最高峰のサーフィンを見るためにこれだけのファンが集まった)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz
(ファンで膨れ上がった会場は)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

将来有望なヤングブラジリアンが勝ち上がった一方、第2戦のサンセットビーチで優勝したばかりのフィリッペ・トレド(BRA)がリプレイスメントのジョアン・ドゥルー(FRA)に完敗する番狂わせもあった。

波乱続きの『MEO Rip Curl Pro Portugal』
今年のポルトガルは何が起こるか分からない。

ネクストコールは現地時間3月13日の午前6時50分(日本時間の同日15時50分)
オンショアが強く、後半にかけてサイズアップ傾向。
レイデイになる可能性があり、風が改善する明後日以降に再開されると予想される。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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