(初日のヒーローになった理央)PHOTO:© WSL/Thiago Diz

和井田理央がハイエストスコア!CT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』開幕!

2023年のCTはハワイレッグでの2戦の後、ヨーロッパのポルトガルで1戦を行い、オーストラリアレッグへ。
前半戦の折り返し地点となるCT第3戦『MEO Rip Curl Pro Portugal』が現地時間3月11日に開幕した。

ウェイティングピリオドから3日のレイデイを経てスタートしたオープニングデイはメンズのOpening Roundから行われ、一気にウィメンズのElimination Roundまで進行。
ウィメンズでは意外な選手が早くもイベントから姿を消す波乱の幕開けとなった。

初日のハイエストを出した和井田理央

(和井田理央)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

初日のペニシェ「Supertubos」は西ウネリにより公式6ftのオンショア。名称となっているチューブは少なく、トータルでも1桁台のスコアが目立つ苦戦となり、今シーズン、トム・ウィタカーのコーチから離れて調子が上がらない五十嵐カノア(JPN)を始め、ガブリエル・メディナ(BRA)、ケリー・スレーター(USA)、ジョアオ・チアンカ(BRA)などがOpening Roundを落として敗者復活戦のElimination Round行きに…。

(敗者復活戦に回ったカノア)
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そんな中、ルーキーの和井田理央(IND)がガブリエルとジョーディ・スミス(ZAF)を相手に彼らしいエアー攻撃で7.83を含むトータル15.16のハイエストで快勝!
7.83のエアーは高さを出すためか、あえて回らずのストレートエアー。これがジャッジにも好印象で、ハイスコアに結び付き、WSLのニュースでも大きく取り上げられていた。

「昨晩自分のヒートを確認したら、ジョーディーとガブリエルと対戦することになっていた。彼らがサーフィンをする姿を見て育ってきたから、自分のサーフィンのレベルを上げる必要があると思ったよ。もちろん、緊張はしていたけど、冷静になって自分の戦略に集中することができた。全ての波で、彼らに勝つためにフリーサーフのように大胆に攻める必要があると自分に言い聞かせたんだ。全てを出し切り、それができたことに大満足しているよ」と理央は勝利者インタビューで話していた。

(7.83を出したストレートエアー)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

高さのあるストレートエアーでの7.83に関しては、「ストレートエアーは得意なんだ。多くの人がそれをやらないことも知っていたよ。何か違うことをする必要があると思っていたのさ。ジョーディーはまだパドルアウトしていたので、チャンスを活かす必要があった。成功して嬉しいよ」とコメント。

なお、今年も国際女性デーの取り組みとして各選手がインスピレーションを受けた女性の名前を背中に入れたジャージを着用しており、理央はインドネシアのオリンピック金メダリスト、バドミントンのグレイシア・ポリー&アプリヤニ・ラハユを選んでいる。

「東京五輪で彼女たちが初めて女子ダブルスバドミントンの金メダルを獲得した時、自分もその場所にいたんだ。彼女たちには本当にインスパイアされているよ。自分も彼女たちのようになりたいと思わせてくれたんだ。彼女たちは故郷で英雄のような存在さ。サーフィンで金メダリストになり、インドネシアの人々を誇らしくさせる新しい目標を持つことができたのも彼女たちのおかげだよ」

(大スターとなった理央)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ディフェンディングチャンピンのグリフィンが好調なスタート

(グリフィン・コラピント)
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昨年、ポルトガルでCT初優勝を果たしたグリフィン・コラピント(USA)はサミュエル・プーポ(BRA)、ルーキーのマキシム・フスノット(FRA)を相手にこの日2番目のスコアを出して好調な滑り出し。サンクレメンテで鍛えたエアリアルとターンで2連勝の可能性を高めている。

「サンクレメンテで育った自分にとって、ビーチブレイクは最高だよ。今まで経験がないほど多くのファンに注目を浴びていることに驚いたね。でも、これは良い前触れだし、全て受け入れているよ。サーフボードも身体の調子も良い感じ。ヒートで戦うのも大好きだから、もっと楽しめるよ」

(まずは快勝のグリフィン)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

『Make or Break』のシーズン2で五十嵐カノアを最大のライバルと話していたグリフィン。
奇しくも同じトム・ウィタカーのコーチの元で戦い、2022年はCT2勝を決めながらも、最終戦のタヒチでカノアにファイナル5の座を奪われてしまうことに…。
2023年はカノアがトムの元を離れたことが明暗を分けているのか、現時点ではグリフィンの方がファイナル5に近いポジションにいる。
カノアに関しては次の敗者復活戦の結果次第ではミッドシーズンカットの懸念もあるのだ。

その他、ジャック・ロビンソン(AUS)、フィリッペ・トレド(BRA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)など上位陣がRound of 32に進んでいる。
カノアはケリー、ワイルドカードのフレデリコ・モライス(POR)と敗者復活戦を戦う。

(ビーチに集まった沢山のファン)
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(ポルトガルでも大人気のジョン・ジョン)
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

タイラー、レイキーが早くも敗退

(カリッサ・ムーア)
PHOTO:© WSL/Damien Poullenot

ウィメンズサイドはカリッサ・ムーア(HAW)とモリー・ピックラム(AUS)がハワイレッグでの勝利を分け合い、両者がイエロージャージを着用。
このジャージを巡っての争いがポルトガル戦の注目となり、まずは共にRound of 16進出を決めている。

「あれは間違いなく最初のヒートによる緊張や不安だったわ。いつも私は理解するために一度ヒートを行う必要があるの。それにコンテスト前に波が悪かったため、ここでサーフィンすることはほぼ無かったわ。ただ自分なら勝てると信じるしかなかった。自分の中にある自信と喪失の関係は面白いもので、流れや起伏があるものよ。どのイベントも最初はすっきりした気持ちで向かい合っているわ。全ての選手が本当に良いサーフィンをしているから、最高のパフォーマンスを見せなければいけないの」と後半に逆転を決めたOpening Roundを振り返ったカリッサ。

(カリッサ自身が影響力を与える人物でもある)
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前記の通り、ポルトガル戦では国際女性デーの取り組みとして各選手がインスピレーションを受けた女性の名前を背中に入れたジャージを着用しているが、カリッサは逆に名前を記載される側の人物でもあり、オージーのジャクソン・ベイカーが使用。
カリッサ自身はミーガン・アブボの名前をジャージに入れて戦っている。

その理由は「彼女は私が小さい頃から尊敬していた人物。ハワイ出身の女性サーファーとして、世界の舞台で活躍。世界中を旅して夢を生きている彼女に私は憧れを抱いてたの。私の人生において本当に具体的で、大きな存在であり続けている。最近、彼女は私の財団を通じてメンターシップ・プログラムを行なっているの。彼女はとても寛大で親切で、その人柄も私に最も深い影響を与えているわ」と話している。

カリッサとモリーが勝ち上がった一方、ランキング3位のタイラー・ライト(AUS)、7位のレイキー・ピーターソン(USA)が敗者復活戦行きを強いられ、残念ながら敗退を喫している。

(テレッサ・ボンバロ)
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タイラーをOpening Roundで倒したテレッサ・ボンバロ(POR)はリプレイスメントで今シーズン出場が続いており、ツアーでの経験を積み重ねている。
彼女は東京五輪にも出場したポルトガルの英雄であり、観客で満員のビーチを大いに盛り上げていた。

「ビーチが満員になるのを見るのは素晴らしいことよ。みんなの前を歩くのは緊張したけど、いい緊張感だった。出場できて嬉しいし、残りのヒートも楽しみね。実は2日前、フィンが頭に当たって6針縫ったの。でも、それが運を呼んだのか、良い方に向かってる感じがするわ。ここは素晴らしい場所。ポルトガルのファンの前でベストのサーフィンをして最高の形で母国をサポートしたい」

(ポルトガルの英雄、テレッサ・ボンバロ
PHOTO:© WSL/Thiago Diz

次のヒートでテレッサはタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)と対戦。もう一人のポルトガル人であり、東京五輪の代表だったヨランダ・ホプキンス(POR)も勝ち上がり、カリッサと対戦する。

ネクストコールは現地時間3月12日の午前7時(日本時間の同日16時)
西ウネリがピークを迎え、朝は風が弱く、日中はオンショアが吹き込む予報。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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