Photo: Kammeran Keola

7年ぶり10回目の開催になった『THE EDDIE』を制したのは?

ハワイの伝説的なウォーターマン、エディ・アイカウの功績を称えるために1985年にサンセットビーチから始まった『THE EDDIE』
翌年からはワイメアベイに舞台が変わり、20ftオーバーという厳しい条件の下で40年近く続いているが、過去9回しか開催されていなかった。

「Quiksilver」というビッグスポンサーが付いた後、ロス・クラーク・ジョーンズやケリー・スレーター、ブルース・アイアンズ。
ジョン・ジョン・フローレンスなどのビッグネームがこの名誉あるタイトルを獲得。

毎年開催されるWSLイベントとは違い、開催自体が貴重なこともあり、『THE EDDIE』にゴーサインが出されると大観衆に大渋滞。パイプマスターズよりも人気のあるビッグイベントになった。

2017/2018シーズンには長年スポンサーを務めてきた「Quiksilver」と決裂。資金不足によって開催が見送られたが、翌シーズンには「エディのハワイアンルーツを認め、同調したい」とカメハメハ・スクール、ワイメア・バリーOHA(ハワイ人問題事務局)などローカルサポートによって『Eddie Aikau Big Wave Invitational』として復活。

『Da Hui Backdoor Shootout』と並び、究極のローカルコンテストとして毎冬のノースショアのシーズンに招待選手が発表され、イベントがウェイティングされていた。

最後に『THE EDDIE』が開催されたのは2016年2月25日。
ジョン・ジョン・フローレンスが壮絶なドロップから巨大なホワイトウォーターを抜けてタイトルを獲得した。

あれから7年。
何度もアラートは出たものの、20ftオーバーで風も含めたリアルなワイメアベイという条件をクリアすることはなく、開催は見送れていた。

2023年、2度目のアラートで開催

今シーズンのノースショアは『Vans Pipe Masters』『Da Hui Backdoor Shootout』を見ても分かる通り、波に恵まれているシーズンである。
1月11日には『THE EDDIE』開催のアラートが出て、直前の風予報を考慮して開催には至らなかったが、当日は今シーズン初のワイメアデイと呼べる素晴らしいコンディションだった。

そして、迎えた1月22日の日曜日。
再び発令されたアラート通り、『THE EDDIE』が7年ぶりに開催された。
ワイメアベイは記念すべき10回目にふさわしく、20-30ftの完璧な波。
天候にも恵まれ、当日は約2万人集まったと言われており、お祭り騒ぎのようだった。

Image: Surfline(YouTube)

ちなみに2002年に『THE EDDIE』のタイトルを獲得したことがあるケリー・スレーターは気分が乗らなかったせいか、辞退して自分のスポットを初参加のクリス・オーウェンスに譲っていた。クリスの兄、ボビー・オーウェンスは70年代に活躍したサーファーでケリーのヒーローでもあるそうだ。

史上初、ライフガードが『THE EDDIE』を制した

『THE EDDIE』のフォーマットは独特で、各サーファー2ラウンドを行い、パーフェクトスコアは30。
ベスト3ウェーブの合計で争われる。
インターフェアのルールがなく、複数のサーファーが一つの波に乗るというパーティーウェーブが許されているため、ジョン・ジョンとイーライ・オルソンが一つの波をシェアするという場面もあった。

招待された40名のサーファーの中で見事に優勝したのはライフガードのルーク・シェパードソン。

2ラウンドで共に30ポイントを出し、更に29.1ポイントを重ねてトータル89.1。
パーフェクトスコアを出したのは他にジョン・ジョン・フローレンスだけで、ジョン・ジョンはトータル84.2で2位。
3位はマーク・ヒーリーだった。

ライフガードが『THE EDDIE』で優勝したのは史上初だが、エディ・アイカウもライフガードとして人命救助をしていた人物であり、10回目となる記念すべきタイトルにふさわしいと言える。

「優勝できるとは思っていなかったよ。でも、参加するからには優勝を狙おうと一日中自分に言い聞かせていたんだ。波は大きくて本当に怖かった。エディの一員になれるなんて夢のようだし、前の大会で補欠になっただけで、本選出場さえ、信じられないよ。夢のようだね。エディのように上手くはなれないけど、尊敬できる人だし、そうなりたいと思う。今日もライフガードのタワーに戻って、一日の終わりまでみんなが無事であることを確認しなければならないんだ」

ルーク・シェパードソンって誰?

ジョン・ジョンやケリーを始め、ビッグネームを倒して『THE EDDIE』のタイトルを獲得したルークはほぼ無名であり、あのサーファーは誰?と世界中のメディアが騒いでいる。

幼少の頃、父親の影響でサーフィンを始めたルーク。

2011年、16歳の時に出場した『HIC Pro』を皮切りに主にハワイで開催されるQSに出場して来日経験もあるが、優勝経験はない。
2016年の「Pipe Invitational」ではパーフェクト10を出して少しだけ話題になったこともあるが、2018年まで続けたクオリファイへのチャレンジはQSランキング3桁止まりで終わっている。

現在27歳のルークはホノルル市のライフガードとして働き、『THE EDDIE』前日に加え、当日もイベント終了後にライフガードの登板を務めていたそうだ。

2022/2023『THE EDDIE』結果
1位 ルーク・シェパードソン(HAW)
2位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)
3位 マーク・ヒーリー(HAW)
4位 ビリー・ケンパー(HAW)
5位 カイ・レニー(HAW)

『THE EDDIE』公式サイト
https://www.theeddieaikau.com/

(空海)

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