PHOTO: © WSL/Miers

都筑有夢路・五十嵐カノアは9位!『ブーストモバイル マーガレットリバープロ』

ニューキャッスル、ノースナラビーン、マーガレットリバー、ロットネスト島の全4戦用意されているCTオーストラリアレッグ。
ロットネスト島はリップカールサーチのイベントらしく未知の波だが、最初の2イベントはビーチブレイクでQSライク、マーガレットリバーはようやくCTらしいサーフィンが堪能できたイベントだった。

ツアー一行はLAからシドニー空港に飛んだように一斉に西オーストラリアへ移動。
現地時間5月2日に開幕して数日のレイデイを挟んで5月10日にファイナルデイを迎えた。

都筑有夢路・五十嵐カノアは9位

(都筑有夢路)
PHOTO: © WSL/Miers

怪我で欠場したレイキー・ピーターソンのリプレイスメントとしてノースナラビーンから参加している都筑有夢路はマーガレットリバーでも活躍。

ノースナラビーンは日本にもあるようなビーチブレイクである意味見慣れたライディングだったが、マーガレットリバーの舞台メインブレイクは世界でも有数のパワフルなリーフブレイクで、CTサーファーでさえタイミングを間違えると簡単に吹き飛ばされてしまうような波。
その波でも堂々としたレールサーフィンを披露。

Seeding RoundではノースナラビーンのRound of 16で敗れたキャロライン・マークスを抑えてトップ通過。
Round of 16ではジョアン・ディファイに敗れて9位になったものの、都筑有夢路のリーフブレイクでのポテンシャルの高さを感じさせた一戦だった。

都筑有夢路は次のロットネスト島にも参加予定だ。

(五十嵐カノア)
PHOTO: © WSL/Dunbar

ノースナラビーンではコナー・コフィンとのQFでジャッジとの見解の相違でリズムを崩してしまい、嫌な負け方をした五十嵐カノア。

マーガレットリバーでも嫌な流れが継続してしまい、ルーキーのマシュー・マクギリヴレイとのRound of 16でインターフェアを犯してしまい、セカンドスコアが1/2になるペナルティが課せられてしまい敗退。
今シーズン2度目の9位でフィニッシュした。

ランキングも4位から7位にダウンしたが、まだトップ10は維持しており、最終的に必要なトップ5入りはまだ十分に可能だろう。

ウィメンズは感情的なファイナルデイに

(試合前のタティアナ)
PHOTO: © WSL/Miers

ファイナルデイの直前、西オーストラリアを代表するサーフィン一家、マコーレー家から悲しい知らせがあった。

元CT選手のデイブ・マコーレーの息子であり、現役選手で今回のマーガレットリバーでキャリア最高の成績を残しているブロンテ・マコーレーの弟ジャックが週末に亡くなってしまったのだ…。

まだ20代半ばのジャックの死因は公表されていないが、世界中でまだ収束していないパンデミックに関係しているのではないか?という見解もある。

年の近い弟の死がどれほど辛いかは想像を絶するが、ブロンテは気丈にも戦うことを選び、SFでティアナ・ウェストン・ウェブと戦った。

SFでブロンテを対戦して勝ち上がり、ファイナルでは7xワールドチャンピオンのステファニー・ギルモアを倒して優勝したタティアナは以下のコメントを残している。

「この勝利はマコーレー家に捧げるわ。ブロンテとの対戦。彼女がヒートに現れる姿はとても勇敢だった。彼女がどんな思いをしてきたのかなんて想像出来ない。彼らはとても愛に溢れた素晴らしい家族で、ここ西オーストラリアのサーフィン界にとって大きな存在でもある」

マーガレットリバーでキャリア2度目の優勝を決めたタティアナはランキングでも2位に浮上してトップのカリッサに約3,000ポイント差に迫っている。
また、今シーズンQF止まりだったステファニーがファイナルに残ってポイントを稼いだことで上位争いが一層面白くなってきた。

(マーガレットリバー初ファイナルとなったステフ)
PHOTO: © WSL/Miers

メンズはフィリッペが久々の勝利

(フィリッペ・トレド)
PHOTO: © WSL/Dunbar

メンズサイドはフィリッペ・トレドが2019年のブラジル戦以来の優勝。
ブラジリアンがメンズ、ウィメンズのダブル優勝を果たしたのは2017年のトラッセルズ戦、フィリッペとシルヴァナに続く2度目となる。

ファイナルではツアーでもトップクラスのレールマスターと呼ばれるジョーディ・スミスを相手に唸るような大きなスプレーを上げてイベント2番目のスコアとなる9.00を出して完全に’こっち側’の人になったことを証明。小波最強の男と言われていた過去のフィリッペはもういない。

この優勝で8位から一気に3位にランキングを上げ、ライバルであり親友でもあるガブリエル・メディナ、イタロ・フェレイラに追いついてきた。

「楽しい一週間だった。みんなが素晴らしい波に乗り、素晴らしいサーフィンをしていたよ。この優勝は本当に嬉しい。誕生日だった息子のコアにトロフィーをせがまれたんだ。約束を守れて良かった。このトロフィーは息子のものだね。このツアーは一貫性が重要。ファイナルに何度も残らないとトップ5は難しい。今年の最大の目標はトップ5。そのチャンスが巡ってきたよ」

(ランキング3位に上昇したフィリッペ)
PHOTO: © WSL/Dunbar

オーストラリアレッグは残り1戦、その後に4戦とツアーはすでに折り返し地点に差し掛かろうとしている。
今イベントを終了した時点でランキング4位のジョン・ジョン・フローレンスはRound of 16で左膝を負傷して途中棄権、次のイベントも欠場を発表しており、彼の今後の動向がランキングの重要な鍵となる可能性がある。

また、コロヘ・アンディーノがオーストラリアレッグの直前に足首を痛めて4戦欠場。
ジョン・ジョンとコロへは2ヶ月後に迫った東京五輪のアメリカ代表でもあるため、彼らが完治しなかった場合の代表選定にも注目が集まりそうだ。

オーストラリアレッグの最終戦、CT第5戦『リップカール ロネスト サーチ』は5月16日〜26日にパース沖のロットネスト島で開催される。
メンズはイタロ、ガブリエル、フィリッペと全てブラジリアンが制しているオーストラリアレッグ。
最後に他国の選手が軍配を上げることができるのか?
イベントは数日後に開幕する。

CT第4戦『ブーストモバイル マーガレットリバープロ』結果

メンズ
1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 ジョーディ・スミス(ZAF)
3位 グリフィン・コラピント(USA)、マシュー・マクギリヴレイ(ZAF)
5位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW)、ライアン・カリナン(AUS)、セス・モニーツ(HAW)、イタロ・フェレイラ(BRA)
…9位 五十嵐カノア(JPN)

ウィメンズ
1位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
2位 ステファニー・ギルモア(AUS)
3位 ブロンテ・マコーレー(AUS)、カリッサ・ムーア(HAW)
5位 ジョアン・ディファイ(FRA)、タイラー・ライト(AUS)、イザベラ・ニコルス(AUS)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)
…9位 都筑有夢路(JPN)

2021年ワールドツアー:トップ5

メンズ
1位 ガブリエル・メディナ(BRA) 28,920pt
2位 イタロ・フェレイラ(BRA) 24,150pt
3位 フィリッペ・トレド(BRA) 20,735
4位 ジョン・ジョン・フローレンス(HAW) 19,395pt
5位 ジョーディ・スミス(ZAF) 19,185pt
…7位 五十嵐カノア(JPN) 16,130pt

ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 29,970pt
2位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA) 16,495pt
3位 ステファニー・ギルモア(AUS) 22,035pt
4位 キャロライン・マークス(USA) 21,305pt
5位 タイラー・ライト(AUS) 19,965pt
…18位 都筑有夢路(JPN) 5,220pt

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。