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ガブ2X世界王者、ケリー完全復活、パーコ引退・・・2018年パイプマスターズを振り返る

2014年、ミック・ファニング、ケリー・スレーターという二人の偉大なチャンピオンを倒し、20歳にしてブラジリアンとして初のワールドタイトルを獲得したガブリエル・メディナ。
90年代にファビオ・ゴーベイア、フラビオ・パラダッツなどが扉を開けたブラジリアンによるワールドタイトルへの挑戦が現実となり、サーフィン界の歴史を変えた若いパイオニアが2018年は更に強くなり、最終戦の『Billabong Pipe Masters』で2度目のタイトルを獲得。

開幕戦で13位、スロースタートだった今シーズンのターニングポイントは2014年と同じくタヒチ戦だった。

まるでトラッセルズのような波だったと批評されたこのイベントで優勝したガブリエルは今年から新たな舞台となった『Surf Ranch Pro』で2連勝。
この2戦の結果で前半戦のリーダーだったフィリッペ・トレドとのポイント差を一気に縮めてきた。
更にフランス、ポルトガルと続くヨーロッパレッグで失速したフィリッペと対照的に2戦続けてのSF進出で遂にカレントリーダーの座を奪う。

すでにこの時にはライバルがフィリッペからフランスでの『Quiksilver Pro France』で優勝したジュリアン・ウィルソンに変わり、最終戦でも一騎打ちになった。

ジュリアンのサポーター
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タイトルのシナリオはガブリエルに有利で、ジュリアンの結果に関わらず、SFを勝ち上がった時点でタイトルが決定。
ガブリエルが3位になった場合、ジュリアンは優勝。ガブリエルが5位以下の場合でもジュリアンはファイナル進出がタイトルの条件だった。

公式12-15ftレンジ、パイプラインもバックドアもあるエピックコンディションで両者はSFに進み、先にジョーディ・スミスと戦ったガブリエルが勝利した時点でジュリアンのチャンスが消滅。
歓喜の瞬間を迎えた。

「このタイトルは自分にとって多くの意味がある。とても緊迫していたし、一年を通しての努力が全て報われて本当に嬉しいよ。家族や友人が自分のことを誇りに思ってくれているのも支えになった。全てが神様の計画通りだったと信じている。全てのヒートで神様のことを信頼していたんだ。そして、最後までベストを尽くした。ヒートの最初に良いスコアを出されても落ち着いて祈ったんだ。もう一度獲れて本当に嬉しいよ」
ガブリエル・メディナ

もやはケリーを超えた?ガブリエルのバレルのスキル
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SFの勝利で2度目のワールドタイトルを確定した後もガブリエルの勢いは止まらなかった。
「ファイナルで彼を倒したい」と話していたライバルのジュリアンとの直接対決でも序盤からパイプライン、バックドア、次々とバレルをメイクしてスコアを重ね、8ポイント台を捨てスコアにして圧勝。
初のパイプマスターの称号も手に入れた。

「自分の全てのヒーローがこのコンテストで優勝したんだ。自分もそこに加わることが出来てストークしているよ。普通のイベントで優勝するのとは少し違うし、本当にこのタイトルが欲しくて努力したよ。最高に嬉しいね。良いファイナルだった。ジュリアンは手強い相手だから、2本良い波に乗れてラッキーだったね。数年前にこのファイナルで負けた時のリベンジを果たせたよ。ここに観戦に来てくれた全ての人に感謝したい。最高のショーを披露出来て興奮している。歴史の一部になれて最高。本当に努力したんだ」
ガブリエル・メディナ

タヒチ、サーフランチ、パイプライン。
11戦中3勝でタイトルを獲得したガブリエル。
バレルのスキルはすでに全盛期のケリーを超えているとの声もあり、更にサーフランチで見せた通りエアリアルも完璧。
2019年、彼の勢いを止めるサーファーは現れるのか?

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全11戦中9戦をブラジリアンが制した2018年シーズンで唯一オージーとして2勝を上げて最後までガブリエルとタイトルを争ったジュリアン。
SFでは怪我から復帰して絶好調だったケリーさえも倒し、彼の強さの秘訣「ネバーギブアップ」の精神は最後までぶれなかったが、初のワールドチャンピオンはお預けに…。

「信じられないような素晴らしい波になったこの場所を貸してくれたローカルに感謝したい。ワールドタイトルの希望と夢があった今日は感情的になったよ。今年最後のヒートに残ることが出来たし、来年の準備も出来ている。自分のヒートでは全力を尽くしたけど、ガブリエルにタイトルは渡ってしまった。彼を祝福するよ。最高のコンディションでケリーを倒したことが大きな自信になった。自国を代表してこの舞台に立ち、ベストを出せたことは嬉しいね。タイトルは逃したけど、2018年のチャンピオンとファイナルを戦えたのは満足さ。休暇の後、来るべき2019年が楽しみだよ」
ジュリアン・ウィルソン

トリプルクラウンもブラジリアンが獲得

ブラジリアンでは二人目のタイトル獲得  ジェシー・メンデス
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昨年、カリフォルニアのサーファーで初めてタイトルを獲得したグリフィン・コラピントを始め、近年はハワイアンだけのものではなくなっているトリプルクラウン。
今年はハレイワで5位、サンセットビーチで5位、パイプラインで9位と優勝はなかったものの、コンスタントに上位に入ったジェシー・メンデスが2015年のガブリエル以来、ブラジリアンでは二人目のタイトルを獲得した。

「ハワイには13年間通っているんだ。夢だったけど、それは遠い夢だと思っていたよ。実現させてくれた神様に感謝している。過去最高のサーファーの一人、ジョエルと争ったことは名誉だね。いつもサポートしてくれている家族を始め、ガールフレンド、コーチ、WSL、ファンやサーファーに感謝したい。最高のファイナルだった。この数週間、最高の波を提供してくれたローカルにも感謝するよ」
ジェシー・メンデス

ジェシーはトリプルクラウンと共にQSランキングを上げて苦戦したルーキーイヤーを見事に乗り切った。
一方、フレデリコ・モライス(PRT)、マット・ウィルキンソン(AUS)、コナー・オレアリー(AUS)、トーマス・ヘルメス(BRA)、パドリック・グダスカス(USA)、マイケル・フェブラリー(ZAF)、イアン・ゴウベイア(BRA)、キアヌ・アシング(HAW)がツアーから脱落。
昨年までタイトルに絡んでいたマット・ウィルキンソンでさえリズムが狂えば蹴落とされてしまう厳しい世界なのだ。

ジョエル・パーキンソン 現役最後のコンテスト

パーコ&ミック 
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今シーズン限りで18年間のキャリアに終止符を打つと公表していたジョエル・パーキンソン

トリプルクラウンで3度の優勝と輝かしい成績を裏付けるように今年はハレイワで優勝。
サンセットビーチでの第2戦を終了した時点でジェシーに続く2位につけ、4度のタイトルを獲得して引退の花道を飾る可能性も十分にあった。

「みんなに熱烈な歓迎をされたよ。自分が達成したことを誇りに思う。素晴らしいライフスタイルと多くの良い瞬間を与えてくれた。ツアーには沢山の浮き沈みがあり、感情の起伏も激しくなる。他のプロスポーツと同じようにね。最後もうまくいったし、安定していた。ケリーは私達の世代で残った最後の一人。まだ彼が続けることに凄い感動するし、何も心配することなく世代交代が進んでいると確信している」
ジョエル・パーキンソン

現役最後のヒートはジュリアン、ヤゴ・ドラとのR4。
ビーチから上がった後は同郷のミック・ファニング、ビード・ダービッジ、ディーン・モリソン、オッキーなどが駆け寄り、感動的なフィナーレを迎えた。

ケリー・スレーターが完全復活

全盛期に戻ったかのような素晴らしいパフォーマンスを披露したケリー
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このイベントの影の主役となったキングケリー。
昨年のJ-Bayでの足の指の骨折の治療が長引き、今年はのJ-Bay、自身がオーナーのサーフランチ、最終戦の3戦のみ参加。
マスターズで7度の最多優勝記録を持ち、誰よりもこの波を理解している彼はノースショアで絶大な支持を得ているウェイド・トコロのサーフボードで次々と圧倒的なバレルライドを披露。

タイトル獲得のためにアドバイスをしていたフィリッペとR3でまさかの対戦という運命のいたずらもあったが、引き締まった身体とあのサーフィンを見る限り、現役最後の年と言われている2019年は強いケリーが期待出来るだろう。

「ノースよりのウネリだけど、最高の波が入ってくるね。昨日は爆発、今日は楽しい一日だった。ほぼ一年半の休暇から来年はフルタイムで戻れることに興奮している。充電を満タンにしてもう一度興奮したい。全ての選手を見て今のレベルも分かった。調子良いサーフボードに自分の身体も良く動き、良い感じに引き締まってきたよ」
ケリー・スレーター

ちなみに今年も公式サイトでは日本語放送が行われ、脇田貴之、鈴木彩加をメインMCに佐藤魁が加わり、コンテスト初心者でも分かりやすい解説を交えながら進行。
間違いなく、影の立役者だった。

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『Billabong Pipe Masters』結果

1位 ガブリエル・メディナ (BRA)
2位 ジュリアン・ウィルソン (AUS)
3位 ジョーディ・スミス (ZAF)、ケリー・スレーター (USA)
5位 セバスチャン・ズィーツ (HAW)、コナー・コフィン (USA)、ヤゴ・ドラ (BRA)、ジョアン・ドゥルー (FRA)

『Vans Triple Crown of Surfing』結果

1位 ジェシー・メンデス (BRA)
2位 ジョエル・パーキンソン (AUS)
3位 ジョーディ・スミス (ZAF)

2018 WSL Men’s Championship Tour 最終ランキング

1位 ガブリエル・メディナ (BRA) 62,490pt
2位 ジュリアン・ウィルソン (AUS) 57,585pt
2位 フィリッペ・トレド (BRA) 51,450pt
4位 イタロ・フェレイラ (BRA) 43,070pt
5位 ジョーディ・スミス (ZAF) 36,440pt

『Vans Triple Crown of Surfing』公式サイト
WSL公式サイト

(空海)

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