カテゴリー5のハリケーン「ジュネヴィーブ」からのサウススウェルで波に恵まれた今年の『Lexus US Open of Surfing』
LT開幕戦に続き、CS第2戦が現地時間8月2日にファイナルデーを迎え、ジェイク・マーシャル(USA)とシエラ・カー(AUS)が「US Open」初制覇を成し遂げた。
3人目の3勝にあと一歩まで迫った五十嵐カノア

昨年は「US Open」は大原洋人と五十嵐カノアがファイナルデーに残り、大原洋人が3位、五十嵐カノアが5位に入っていたが、今年はカノアがファイナル進出を果たし、トム・カレン、ロブ・マチャドに並ぶ「US Open」3勝に迫っていた。
ファイナルは終わってみれば僅か0.70ポイント差のクロスゲームだった。
序盤は5〜6ポイント台の勝負となり、7.40を出したカノアがリードしていたが、後半にジェイクがアウトサイドでのレフトのクリティカルセクションでのターンからフラットセクションを繋ぎ、フィンアウトのフィニッシュで8.00を出して逆転。
残り時間僅か、ニード7.38のシチュエーション。カノアはポテンシャルがある波に乗り、最後にエアーリバースを決めて大観衆に向けてアピール。多くのカノアファンの絶叫が聞こえるようなライディングだったが、海から上がって観客に囲まれて待ったスコアは6.13と逆転には届かず、3度目の優勝は次回にお預けになった。
「まず最初に今週会場に足を運んでくれた皆さん全員に感謝したい。みんなが本当にエネルギーをもたらしてくれた。USオープンのこの大観衆の前での試合は、本当に特別な何かがある。それは世界中の他のどこにもない雰囲気をもたらしてくれるんだ。僕が地元でひいきで見ているから言っているわけではなく、他のサーファーを代表して言えることさ。ハンティントンビーチ出身であることを本当に誇りに思う。ここは僕がバレルの入り方を学んだ場所。来週は10フィートのチョープーで同じことを行うことになる。本当に特別な波であり、僕にとって本当に特別な1週間だった」
ハンティントンローカルのカノアにとって、「US Open」は本当に特別なイベントであり、2017年、2018年には2連覇を達成。
2021年、2023年には3位と結果も残している。





PHOTO: © WSL/Tommy Pierucki
今回はスネークことジェイク・パターソンも会場にいたので、「SnakeTales」の動画が公開される可能性もある。
ちなみにファイナルを争ったジェイク、SFで倒したグリフィンは同年代。
グロム時代からずっと競い合って成長した仲間でもある。

初のメジャータイトルを獲得したジェイク

CT選手ながらダークホースの一人だったジェイクの優勝。
2022年から回っているCTはもちろん、CSでもQSでもジュニアでも過去に優勝経験がない彼がコンペティターの夢でもある「US Open」のタイトルを獲得した。
(実は2021年にも「US Open」のファイナルに残り、グリフィンに負けて2位になったことがある)
ジェイクは同じカリフォルニアでもサンディエゴのエンシニータス出身で、昨年優勝したリーバイ・スロースンと同郷でもある。
「信じられないよ。ビーチに上がってきた時に、兄弟が二人ともいてくれたなんて、まさに夢が叶った気分。プロジュニアやQSを含めても、WSLの大会で優勝したことなんて一度もなかったんだから。ただ泥臭く努力し続けて、挑戦し続けた。何度かあと一歩のところで届かないこともあったけれど、腹を括って進み続けたんだ。今年は自分の競技人生の中でも最も過酷な一年の一つだったから、この大会で勝てたことには本当に大きな意味がある。とにかく勝てたこと、それ以上の言葉が見つからないよ。家族や友達がここで見守ってくれていて、世界で最高の気分だね」
今年もCTではランキング23位と苦戦しているが、CSでは開幕戦で5位、今回の優勝でカレントリーダーの座を手に入れている。


ライム病を克服して才能が開花した瞬間

ウィメンズサイドはCT選手を抑え、2007年生まれ、18歳のアイラ・ハパッツ(AUS)と19歳のシエラ・カー(AUS)がファイナリストに選ばれた。
共にWJCチャンピオンであり、エリン・ブルックス、ケイトリン・シマーズなどと同世代。
間違いなくCT入りすると言われている才能を持った二人の争いは、ヒート開始から10分間波が入らず、リスタート。
序盤はフロントサイドで4.50、6.50を出したシエラがリード、アイラをコンビネーションに追い込んでいたが、後半にセットに乗ったアイラが7.33を出し、更に4.57を重ねて逆転に成功した。
残り時間5分、シエラはニード5.41のシチュエーションで再びフロントサイドでインサイドまで繋ぎ、6.00を出してトップを奪い返して最後までリードを守り切った。
オージーではステファニー・ギルモア、サリー・フィッツギボンズ、タイラー・ライトに並ぶ「US Open」のタイトル獲得。
常に側で彼女を支えている父のジョシュ・カーも優勝の瞬間は感極まっていた。
「まだ優勝した実感が湧かないわ。これまでで一番辛い1年だった。まさかこの大会で勝てるなんて思っていなかった。将来がどうなるのか全く分からない時が沢山あったわ。誰も見ていないところで、涙を流し、痛みに耐え、ベッドから起き上がることすらできない日々もあった。それが今、世界で最も権威ある大会で胴上げされていて、ただただ感謝の気持ちでいっぱいよ。とにかく明日を迎え続けること。例え、その時、後退しているように思えても、とにかく明日へと進み続けること。明日がより良くなる可能性は常にある。今、まさに良くなっているわ。どん底の時にも側で支えてくれた家族、母と父に感謝したい。彼らと一緒にこの喜びを分かち合えるなんて最高よ」
2024年からCSにチャレンジしていたシエラだったが、思うような結果を残せず、更に2025年はライム病によって海に入れない時期もあった。
今年は開幕戦で5位、今回の優勝でランキングもトップに立っている。
まだ残り3戦あるものの、この調子を維持すればクオリファイの目標もクリアできるだろう。





CS1年目にしてファイナル進出を果たしたアイラ

PHOTO: © WSL/Megan Youngblood
現WJCチャンピオンのアイラは今年から本格参戦しているCSで早くもファイナルに残り、ランキング4位まで浮上。
ソフィー・マカロック(AUS)とのSFでは、残り時間1分を切ってからテイクオフした波でニードスコアを大きく上回り、ブザービーターに近い形でファイナル進出を決め、コーチのブラッド・ガーラックもご満悦の様子だった。
「かなり予想外の結果だったわ。フリーサーフィンは最悪だったし、ヒートごとに勝ち上がるための波をただ見つけているだけだった。そして今、この大歓声の前でシエラと一緒にファイナルに立てたなんて、まだ実感が湧いていないわ。ブラジルとポルトガルで再び始まるまでに少しブレイクがある。だからトレーニングを始めて、備えるつもりよ。もう少し良い結果を残したいと強く思っている」
CSはこれから一ヶ月以上の休みに入り、9月26日〜10月3日にブラジルで第3戦『Banco do Brasil São Sebastião Pro』が開催される。
CTは8月8日〜18日にタヒチでCT第7戦『Outerknown Tahiti Pro』が開催。
ケリー・スレーターも出場する注目のイベントは今週末から始まる。
『Lexus US Open of Surfing』結果
1位 ジェイク・マーシャル(USA)
2位 五十嵐カノア(JPN)
3位 ヘイデン・ロジャース(USA)、グリフィン・コラピント(USA)
5位 ガブリエル・クラウスナー(BRA)、デイヴィッド・シルヴァ(BRA)、マテウス・ハーディ(BRA)、ルッカ・メシナス(PER)
ウィメンズ
1位 シエラ・カー(AUS)
2位 アイラ・ハパッツ(AUS)
3位 ジョアン・ディファイ(FRA)、ソフィー・マカロック(AUS)
5位 アリッサ・スペンサー(USA)、エデン・ウォーラ(USA)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)、フランシスカ・ヴェセルコ(POR)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
Lexus US Open of Surfing Women’s Final Results:
1 – Sierra Kerr (AUS) 12.50
2 – Isla Huppatz (AUS) 11.90
Lexus US Open of Surfing Men’s Final Results:
1 – Jake Marshall (USA) 14.77
2 – Kanoa Igarashi (JPN) 14.07
Lexus US Open of Surfing Women’s Semifinal Results:
HEAT 1: Sierra Kerr (AUS) 11.57 DEF. Johanne Defay (FRA) 9.70
HEAT 2: Isla Huppatz (AUS) 12.67 DEF. Sophie McCulloch (AUS) 11.40
Lexus US Open of Surfing Men’s Semifinal Results:
HEAT 1: Jake Marshall (USA) 12.70 DEF. Hayden Rodgers (USA) 11.27
HEAT 2: Kanoa Igarashi (JPN) 12.10 DEF. Griffin Colapinto (USA) 11.57
Lexus US Open of Surfing Men’s Quarterfinal Results:
HEAT 1: Jake Marshall (USA) 14.07 DEF. Gabriel Klaussner (BRA) 12.20
HEAT 2: Hayden Rodgers (USA) 14.34 DEF. Deivid Silva (BRA) 10.60
HEAT 3: Griffin Colapinto (USA) 16.00 DEF. Mateus Herdy (BRA) 14.50
HEAT 4: Kanoa Igarashi (JPN) 12.34 DEF. Lucca Mesinas (PER) 11.73
(黒本人志)
























