最近、SNSで話題になっている千葉県九十九里沖の巨大な構造物をご存知だろうか?
これは洋上風車の土台ではなく、CO2(二酸化炭素)を海底下の地層に貯留するCCS事業に向けた試掘用の掘削設備で、2026年7月から試掘作業が始まっている。
CCS事業とは?

今回の「首都圏CCS事業」は、東京湾岸の製鉄所などから排出されるCO2を、約80kmにもおよぶパイプラインで九十九里沖まで運び、海底下の地層に貯留するという計画。国が支援する「先進的CCS事業」の一つとして、事業化に向けた調査・検討が進められている。
CCSとは、カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージ(Carbon Capture and Storage/二酸化炭素回収・貯留)の略で、製油所や発電所、工場などから排出されるCO2を、大気へ放出される前に分離・回収し、地下の地層に貯留する技術。
温室効果ガスの排出削減や「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」の実現に向けた技術の一つとして、世界各地で開発や実証が進められている。
日本では北海道・苫小牧で2016〜2019年に大規模なCCS実証試験が行われ、約30万トンのCO2を地下に圧入した実績がある。現在は2030年度の商用事業化を目指した新たな取り組みも進められている。
九十九里沖で何が行われるのか?
片貝漁港から約5km沖にあるこの掘削設備は、全長約90m、全幅約65m、高さ約120mという巨大なもの。
現在はあくまで調査の段階で、海底下約1,900mまで掘削して地層の状況などを調べ、2027年1月までに一連の試掘作業を終える予定だ。
その結果などを踏まえて事業化が検討され、実現すれば2030年代初頭のCO2貯留開始を目標としている。
計画では、千葉県君津市の日本製鉄東日本製鉄所君津地区や京葉臨海工業地帯の複数産業から排出されるCO2をパイプラインで運び、九十九里沖の海底下にある地層へ貯留することになる。
海への影響について
CCS事業は、海をフィールドにしている私たちサーファーにとってどんな影響を与えるのか?
CCSでは、CO2を海底面ではなく、そのさらに地下にある貯留に適した地層へ高圧で圧入し、その上にあるCO2を通しにくい地層(遮蔽層)によって閉じ込める。
今回の試掘も、こうした地層の状態を調べ、CO2を安全かつ長期的に貯留できる場所なのかを確認することが大きな目的だ。
一方、将来的なパイプラインの敷設や施設整備などにより、地形や生態系にどのような影響を与えるのかといった点は、日々海に入る私たちにとっても気になるところだが、経済産業省は審査や関係自治体との協議、利害関係者からの意見などを踏まえ、「公共上の支障はない」と判断し、試掘を許可しているもの。
日本は国土面積こそ小さいものの、世界有数の広さを持つ排他的経済水域(EEZ)を有している。また、日本周辺の海底下にはCO2の貯留に適した地層が存在すると考えられており、九十九里沖や苫小牧をはじめ、各地でCCSの事業化に向けた調査・検討が進められている。
(染谷たかし)





















