2018年以来、8年ぶりにCTの開催地となったオーストラリア・ゴールドコーストのスナッパーロックスは、やはり素晴らしい波だった。
CT第3戦『Bonsoy Gold Coast Pro』はウェイティングピリオド初日から4日連続で進行して現地時間5月4日にファイナルデーを迎えた。
この日はレイバー・デー(労働の日)の祝日。溢れんばかりの大観衆の前で優勝したのは、ローカルのステファニー・ギルモアとイーサン・ユーイング。
2位には日本人ながらオーストラリアのクロヌラで生まれ、レノックスヘッズ在住のコナー・オレアリーが入るなど、久々にオーストラリアが支配したイベントになった。

フィリッペを倒して2位になったコナー

残念ながら優勝は逃したものの、優勝した昨年のJ-Bay戦を彷彿させる強烈なバックハンドでファイナルまでは快進撃を続けたコナー。
SFではここまで3つの9ポイントを出し、トータルスコアでもベスト2を独占していたブラジルのフィリッペと対戦し、序盤にハイスコアを出して勝利と一つの大きな壁をクリアしていた。
シーズン序盤でフィリッペのような強敵に競り勝ったことは、残りのシーズンの大きな自信に繋がるだろう。
そして、爽快な勝利を重ねる度に多くの日本人ファンが勇気づけられたに違いない。
「特にライトハンドのポイントブレイクで、グーフィーの代表として、スタイルを精一杯表現することが大きな目標なんだ。今日のようなパフォーマンスができたことに自分でも興奮しているよ。観客の盛り上がりは信じられないほどで、本当に感謝している。みんなの声援が火をつけてくれたし、今日のベストを引き出してくれたんだ。今年の残りのシーズンも、アクセル全開で突き進むよ」


ステフがホームで9年ぶり7度目の優勝

ステフのサーフムービーと言えばスナッパーロックスと言えるほどCT選手の中では誰よりもこのポイントでサーフィンしているであろう彼女は、2シーズンぶりに復帰して2戦続けてR1敗退という屈辱をホームで倍返しにして帳消しにした。
「最高の週末だったわ。波はずっと炸裂していて、スナッパーロックスは私たちに完璧なコンディションを用意してくれた。今年は優勝できるなんて思っていなかったから、本当に信じられない気持ち。ウィメンズサーフィンのレベルは信じられないスピードで進化している。ここ数年は全ての試合を離れた場所から見ていたけれど、『もう自分には無理かもしれない』なんて考えてしまうこともあったの。でも、もしまた勝てるとしたら、それはここスナッパーロックスだと思っていたわ。世界で一番大好きな波だし、本当に楽しい。ここで戦えるのはこの上ない喜びだし、楽しんでいる時は、物事が自分に味方してくれるものだと思う。これこそ私が望んでいたこと。自分を追い込みたかったの。今シーズンの最初の2戦でR1敗退が続いた時は、プライドを捨てなきゃいけないって痛感したの。キャリアの早い段階で絶頂期にいると自分が無敵のように感じるもの。でも、その頃の自分やイメージを一度切り離して、『今の自分は新しく、以前とは違う存在なんだ』って受け入れる必要があった。色々学んで少し変わった自分を認め、新鮮な気持ちで向き合うことにしたわ。結局のところ、どんな結果であれプロセスを楽しむことが大事。この一週間は、とにかく最高に楽しかった」

PHOTO:© WSL/Andrew Shield




17歳の時にワイルドカードで出場したスナッパーロックス戦でCT初優勝を果たしてから21年。
2022年に8度目のワールドタイトルを獲得して以来、通算51回目となるファイナルの舞台に立ち、CT通算34勝目、スナッパーロックス戦では7度目の最多優勝記録を更新した。
今イベントではエリン・ブルックス(CAN)、ベティルー・サクラ・ジョンソン(HAW)、ケイトリン・シマーズ(USA)、ナディア・エロスタルベ(EUK)、最後はルアーナ・シルヴァ(BRA)と若い選手を次々と倒し、「スナッパーの女王」の真価を見せつけていた。
特にルアーナとのファイナルで出した9.50は彼女の20年のキャリアが凝縮したような芸術的なサーフィンだった。
「夢みたいだけど、ヒートを重ねるごとにどんどん調子が上がっていって、ファイナルで全てが噛み合った感じだった。まだ余力はあると思うけれどね。不思議なことにファイナルでパドルアウトするとスイッチが入る。頭の中がクリアになって、ただただ楽しくて最高な気分になるのよ。ビーチを振り返ったときのあの光景は、今まで見た中で一番信じられないくらい素晴らしかった。ルアーナにもおめでとうと言いたいわ。彼女は海に入るたびに、より強い競技者に、より素晴らしいサーファーへと成長しているわね」



初のイエロージャージを手に入れたルアーナ

PHOTO:© WSL/Andrew Shield
昨年はWJCのタイトルを獲得。CTではベルズ戦、ブラジル戦で2位と飛躍の年になったルアーナ。
今年は更に成長して強い選手になり、オーストラリアレッグで5位、2戦続けて2位。
遂にカレントリーダーの座を手に入れ、次のニュージーランド戦では初のイエロージャージを着用する。
「ステフと同じラインナップを共有できるなんて本当に信じられないわ。言葉が見つからない。彼女は私が7、8歳の頃からずっと憧れの人で、それ以来ずっと刺激をもらってきた。スナッパーで彼女と一緒にファイナルを戦うなんて、夢にまで見たことよ。先日も誰かに『スナッパーでのファイナルは誰と戦いたい?』と聞かれて、『もちろんステフ』と答えたばかりだったの。正気とは思えないくらい、まさに夢が叶った瞬間を生きている気分。もちろん優勝できれば最高だったけど、これ以上のシナリオはなかったと思う。1年前、あるいは今年の初めにでも、自分が世界1位になるなんて言われても、絶対に信じなかったでしょう。2回もファイナルに進めるなんて思ってもいなかった。本当に幸せよ」


また、ルアーナはオーストラリアレッグの3戦でランキングを決める「GWM Aussie Treble」でも優勝。
メンズのガブリエル・メディナ(BRA)と共に高級SUVの「GWM Tank 300」を勝ち取った。
表彰台ではガブリエルがスピーチをしていた。
「良い結果を残して、こうしてまた戻ってこれて、最高のシーズンスタートを切れたことが本当に嬉しいよ。車を手に入れて、ランキング首位に立てるなんて予想もしていなかった。ありがたく受け取っておくよ。応援に来てくれた全てのファンに感謝したい。みんな最高。本当にありがとう。自分はサーフィンを見るのが大好きなんだ。今日の試合も見ていて本当に楽しかったし、みんながキレのあるライディングをしているのを見るだけで、モチベーションが上がった。もっと良いサーフィンをしたいと思っている。ニュージーランドに行くのが楽しみだね。きっと楽しい大会になるよ」

PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder
世界最高のライトハンドを全て制したイーサン

メンズサイドは美しいレールサーフィンで勝ち上がってきたイーサンがミック・ファニング、ジョエル・パーキンソンなどと並び、今イベントを制した10人目のオージーになった。
2017年からのキャリアで優勝は今回で3回。
2022年のJ-Bay、2023年のベルズ、そして今回のスナッパーロックスと全て世界最高のライトハンドで勝利している。
また、スナッパーロックスではルーキーイヤーに最初の波で9.10を出して鮮烈なデビューをしている。
「まさに運命が果たされたという感じだね。この大会で勝つことは大きな目標だったんだ。家から1時間くらいの場所だからね。子供の頃はここに来て、この大会をずっと眺め、勝ちたいリストの最上位にあった大会だった。しばらく次の勝利を追い求めてきたけれど、またワールドタイトルのレースに加われたら最高だね。最後に勝ったのは数年前のベルズだったから、それからはかなり苦労した。勝とうとして必死にやってきたけれど、周りのみんなも本当に上手いから、勝つのは本当に難しいんだ。この勢いを止めたくないね。今回の勝利はタイトル争いに向けて大きな意味を持つ。明日からはまた仕事に戻る。でも今夜は楽しむつもり。最高だよ!」








今シーズンは開幕戦17位と悪いスタートながら、マーガレットリバーで5位。
今回の優勝でランキング4位まで浮上している。
ファイナルデーはカウリ・ヴァースト(FRA)に圧勝したQFから始まり、今イベントで最も熱狂的な応援団を味方につけたリアム・オブライエン(AUS)とのクロスゲームを制し、コナーとのファイナルは序盤に出した8.33が勝負の決め手になった。
「滑り出しは順調だったけれど、そのあとは本当にプレッシャーを感じていた。コナーは絶好調だったし、彼のバックハンドは正直言って恐ろしい。去年、彼が優勝したJ-Bayでも彼に負けているからね。良い友人だけど、タフなコンペティターさ。彼に勝てたのは嬉しいよ。こういう波で育ってきたし、今週は本当に信じられないくらい良い一週間だった。地元の仲間たちも、親父もここに来てくれている。最高に楽しかった。毎日波が炸裂していて、まさに夢のような一週間だったよね。みんなのサポートも現実とは思えないほど凄かった。心から感謝しているし、最高の気分さ」
次のCT第4戦『Corona Cero New Zealand Pro』は5月15日〜25日にニュージーランドのパーフェクトなレフトのポイントブレイク、ラグランで開催される。
『Bonsoy Gold Coast Pro』結果
1位 イーサン・ユーイング(AUS)
2位 コナー・オレアリー(JPN)
3位 リアム・オブライエン(AUS)、フィリッペ・トレド(BRA)
5位 カウリ・ヴァースト(FRA)、マテウス・ハーディ(BRA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、サミュエル・プーポ(BRA)
ウィメンズ
1位 ステファニー・ギルモア(AUS)
2位 ルアーナ・シルヴァ(BRA)
3位 ナディア・エロスタルベ(EUK)、ソーヤ・リンドブラッド(USA)
5位 ガブリエラ・ブライヤン(HAW)、ケイトリン・シマーズ(USA)、モリー・ピックラム(AUS)、レイキー・ピーターソン(USA)
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Final Results
1. Stephanie Gilmore (AUS) 17.33
2. Luana Silva (BRA) 14.07
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Final Results
1. Ethan Ewing (AUS) 14.56
2. Connor O’Leary (JPN) 14.17
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Semifinal Results
HEAT 1: Stephanie Gilmore (AUS) 15.00 DEF. Nadia Erostarbe (ESP) 14.23
HEAT 2: Luana Silva (BRA) 13.67 DEF. Sawyer Lindblad (USA) 12.73
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Semifinal Results
HEAT 1: Ethan Ewing (AUS) 16.33 DEF. Liam O’Brien (AUS) 15.30
HEAT 2: Connor O’Leary (JPN) 16.97 DEF. Filipe Toledo (BRA) 14.77
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Women’s Quarterfinal Results
HEAT 1: Nadia Erostarbe (ESP) 15.67 DEF. Gabriela Bryan (HAW) 14.33
HEAT 2: Stephanie Gilmore (AUS) 14.73 DEF. Caitlin Simmers (USA) 10.83
HEAT 3: Sawyer Lindblad (USA) 14.76 DEF. Molly Picklum (AUS) 12.50
HEAT 4: Luana Silva (BRA) 16.00 DEF. Lakey Peterson (USA) 10.00
Bonsoy Gold Coast Pro Presented by GWM Men’s Quarterfinal Results
HEAT 1: Ethan Ewing (AUS) 14.50 DEF. Kauli Vaast (FRA) 6.50
HEAT 2: Liam O’Brien (AUS) 15.00 DEF. Mateus Herdy (BRA) 8.67
HEAT 3: Connor O’Leary (JPN) 16.44 DEF. Leonardo Fioravanti (ITA) 16.03
HEAT 4: Filipe Toledo (BRA) 15.77 DEF. Samuel Pupo (BRA) 12.57
(黒本人志)
























