(優勝したケイティとギャビー) PHOTO: © WSL/Andrew Shield

ガブリエル・メディナ&ケイトリン・シマーズが今シーズン初優勝!CT第11戦『Philippines Pro』

現地時間11月3日、レギュラーシーズンから人数が絞られて行われるポストシーズンのセカンドイベント、CT第11戦『Philippines Pro』が終了。

台風31号の影響でファイナルデーの「Cloud 9」は公式4-6ftプラスのグッドコンディションに恵まれ、4日間に渡って開催されたフィリピン初のCTは大成功に終わった。

「Cloud 9」はQSで長年使用されていた場所で、コンパクトで距離は短いものの、バレル、ターン、エアリアルとなんでも可能なバラエティ豊かな波で、CT向きとも言える。

気温が高く、食事も充実して人々もフレンドリーと最高の場所。
ニュージーランドでのCT同様、政府が予算に関係しているため、今回のイベントが観光促進に結び付けば来年もCTの一戦として採用される可能性がある。

ちなみに「Cloud 9」は1980年代後半に外国人サーファーによって発見され、アメリカのサーファーがトリップ中に愛していたフィリピンのチョコレートバー(スニッカーズのようなチョコ)、「Cloud 9」の名をそのままポイント名として付けたと言われている。

現在は多くの宿泊施設、レストラン、バーが存在し、サーファーにとって比較的安価なサーフトリップの場所として人気になっている。

PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

ギャビーが復帰後初優勝

PHOTO: © WSL/Andrew Shield

メンズ、ウィメンズ共にSF、ファイナルだけが残ったファイナルデー。

全ての勝負が手に汗握る展開となり、メンズサイドはSFでヤゴ・ドラとのブラジリアン・グーフィーフッター対決を制したガブリエル・メディナとイーサン・ユーイングとのオージー・レギュラーフッター対決を制したジャック・ロビンソンがファイナル進出を決めた。

序盤からバレル勝負となったファイナル。
ロボが2本のバレルライドでミドルスコアを重ねた一方、ギャビーはグラブレールでの深いバレルとターンのコンビネーションで7.50を出す。

ギャビーは2本目で3セクションあったバレルを走り抜け、独特のアピールで海の中にまで入ってきた観客を沸かせていた。
このライディングに9.43がコールされ、トータル16.93でロボをコンビネーションに追い込む。

後半、ロボはエアードロップからのバレルとスナップのコンボで8.23を返し、ニード8.71まで差を縮めるが、最後はセットが止んでしまい、ギャビーが今シーズン4度目のファイナルで優勝を手にした。

(勝負を決めたバレル)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

「これは自分にとってすごく大きな意味がある。クルーみんなと旅をしながら、一年中本当に一生懸命努力してきたからね。今年は絶対に優勝したかったし、何度か2位で終わった後もただ信じ続けていたんだ。でも、楽しかったよ。この旅自体が楽しいんだ。ここは難しい波だから、自分が勝てるイベントになるとは思っていなかった。特に対戦した相手たちを考えると、彼らはここで本当に強烈なサーフィンをしていたからね、この勝利を得られて本当に嬉しいよ。タイトルを狙えるチャンスを得られただけで幸せさ。今年は復帰の年だから、フィリッペ、イタロ、グリフィン、そしてヤゴと一緒に一年中競い合えたのは素晴らしかった。パイプが待ちきれないよ、絶対に楽しくなるね。とにかく勝利を獲得できて本当に嬉しい。一年中沢山の努力をしてきた。最後に全部をやり遂げて優勝を掴めたのは本当に良かったよ」

2025年シーズンを離脱してワイルドカードで戻ってきた今年。

過去数年は様々な事情で優勝から遠ざかっていたギャビーにとって2023年のマーガレットリバー以来の優勝となる。
CT通算18勝目を決め、ランキング2位に浮上。

タイトルレースに絡んでいたあの頃のように今年はパイプラインが最終戦となり、ここでワールドタイトルが決まる。
すでに4度目のタイトルは目の前にある。

(ヒートではいつも激しく争う二人だが、終了後は称え合う仲)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield
(父のチャーリーと抱き合うギャビー)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

「ジャックは凄いサーフィンをしていた。今週クレイジーなバレルに入り続けていたから、厳しい戦いになることは分かっていたよ。間違いなく彼がこのコンテストの主役だったね。彼がタフな1年を過ごしてきたのは知っているし、ファイナルに戻ってきたのを見られて嬉しいよ。人は常に信じ続けなければいけないんだ。ファイナルの前、僕は自分自身に集中して良い波を掴むことだけを考えなきゃいけないって思った。それでヒートの中、ここフィリピンでの全滞在期間を通じた最高の波を手に入れることができたんだ。だから満足したし、最高の気分だったよ。あの波でテイクオフして、とにかくディープでいたかった。波が吸い上げられているのが見えて、それからフォームボールが被さってきて何も見えなくなったけれど、ただ波を信頼したらそのまま抜け出せてさ。本当に最高の気分だったね。この波は綺麗で完璧に見えるけれど、特にグーフィーにとっては本当に難しい。でも、こういう試練を乗り越えることが自分を強くしてくれる。一年中この勝利を待っていたから、すごく幸せだよ。絶対に勝利がやってくると信じていた。タイトルのことを話すと自信が湧いてくるし、タイトルや次のイベントを信じられるようになるんだ。プレッシャーが大好きなのさ」

ワールドタイトル獲得のシナリオは後日発表されると思うが、最終戦のポイントが1.5倍になることを考えてもヤゴ、ギャビー、イタロ、グリフィン、ミゲル、レオくらいまでの争いになると予想される。

8位のカノアまではトップシードとしてR4から出場と非常に有利な戦いとなるのも覚えておきたい。

ロボ復活の狼煙

(A.Iインスパイアのエアー)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

2022年からトップ5を維持していたロボは今年キャリア最悪のシーズンを送っていた。
QF以上がタヒチのみで、R3が壁になっていたのだ。

今回の2位でランキング9位に浮上してリクオリファイは確定。
タイトル争いは難しいため、2027年に向けて最終戦でもう一つの良い結果を目指すことになる。

「ジャックが戻ってきた。戻ってこられて嬉しいよ。素晴らしい雰囲気の1週間だったし、ガブリエルとファイナルを共有できたのは光栄だったね。海の中で、特にファイナルで対戦するのはすごく楽しかったよ。僕たちは以前タヒチで2度ファイナルを戦っているから、『さあ、行こうか』って感じだったんだ。勢いをつけて、ファイナルへの道を取り戻せたのはワクワクするね。次はパイプラインだ、さあ行こう。すべてのサポートとツアーのみんなを歓迎してくれた全員に感謝しているよ。本当に最高だった」

PHOTO: © WSL/Matt Dunbar
PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

怪我を乗り越えタイトル争いに浮上したケイティ

(勝負を一転させたカリッサのインターフェア)
PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

ウィメンズサイドは朝から一波乱あった。

ケイトリン・シマーズ(USA)とカリッサ・ムーア(HAW)のSFでカリッサがリードしていたのにも関わらず、カリッサはプライオリティを勘違いしてケイティの波にテイクオフ。インターフェアを犯してしまい、カリッサは涙を吞むことになった。

(放心状態で説明を受けるカリッサ)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

ケイティはポルトガルに続き、2戦続けてのファイナル。
もう一人のファイナリストはフィジー戦のファイナル直前に足首を負傷して棄権。手術のために2戦欠場した後の復帰戦となったオージーのイザベラ・ニコルス。

ケイティは前日のヨランダ・ホプキンス(POR)とのQFでインターフェアを犯したのに加え、足首をカットして7針を縫った直後だった。

(7針縫った直後とは思えないチャージを見せたケイティ)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

二人のファイナルはケイティのバレルとターンのコンボによる6.33でスタート。
イザベラは更に深いバレルで7.00をスコアして僅かにリードする。

両者共にバックアップスコアを伸ばせないまま後半へ。
7針を縫った直後とは思えないほどバレルに突っ込みまくったケイティは小さいながらようやくクリーンに抜けてターンを入れたライドで5.67をスコア。トータル12.00でトップを奪う。

残り3分、イザベラはニード5.00のシチュエーションで2本の波にテイクオフするが、スコアは伸びず、ケイティが今シーズン初優勝を決めた。

「ポルトガルからここに来るのが本当に怒涛だったから、自分の脳が変更すべきことに取り組もうとしてすごく忙しくて、手に負えない状態だったわ。私をしっかり地に足のついた状態で幸せに保ってくれたのは、海の中で時間を過ごすことと、ママと一緒に時間を過ごすことだったの。その2つのことにすごく感謝している。ここは世界の中でも大好きな波の一つ。海の上から見守ってくれているみんなからの愛を本当に感じることができたわ。ファイナルに向けてパドルアウトする時は涙が出そうだった。本当に美しい瞬間だったし、勝ったり負けたりすることへの執着を手放して、ただサーフィンだけに集中することができたの」

PHOTO: © WSL/Matt Dunbar
(母と抱き合うケイティ)
PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

2024年にツアー2年目でワールドタイトルを獲得した後、2025年はアブダビでの優勝以降、3度のファイナル進出で優勝を逃していたケイティ。

2026年前半は不調が続き、フィジー戦は怪我で欠場とランキングも下がっていたが、ポルトガルで2位、今回の優勝で3位に浮上。

得意のパイプラインでタイトル争いに加わることになった。

「今年の方がずっと自分に自信を感じられている。新しくて違ったアプローチをしているの。今年はツアー4年目。今はすごく心地良く感じられているわ。今の私の目標はワールドタイトルじゃなくて、試合会場で美しさに感謝し、お礼を言えるようになること。自分の目標をすでに達成できたように感じている。すごく感謝している」

CT残留をかけて戦ったイザベラ

(イザベラ・ニコルス)
PHOTO: © WSL/Andrew Shield

2025年に開花した一人、イザベラはフィジー戦でファイナル進出するまでは好調だったが、前記の通り、足首を負傷してしまい、2戦欠場。
6週間前に手術を受けたばかりのため、本来なら今大会の欠場もあり得たが、CT残留のために直前に渡航の決断を下した。

期間中は得意のバレルとレールサーフィンでいくつかのハイスコアを出し、シーズン2度目の2位。
欠場したイベントを除けば3戦続けてSF以上という良い結果を残し、足首の不安も解消された。

「数ポイントを獲得するため試しにやってみようと思ってここに来たの。だから自分がファイナルにいるなんて、本当に驚いているわ。ツアーのみんなを受け入れてくれたフィリピン政府、そしてすべてのファンのみんな。本当に素晴らしかった。みんなを愛しています。他のファイナリストたちもおめでとう。素晴らしいイベントだった。すべて助けてくれた、ローカルレジェンドのニルビー・ブランカーダを含むすべてのサポートクルーに感謝している」

最終戦は12月8日〜20日にオアフ島・ノースショアのパイプラインで開催される『Lexus Pipe Masters』
パンデミック前、2019年から7年を経てタイトルレースがパイプラインで決着する。

『Philippines Pro』結果

PHOTO: © WSL/Andrew Shield

1位 ガブリエル・メディナ(BRA)
2位 ジャック・ロビンソン(AUS)
3位 イーサン・ユーイング(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)
5位 セス・モニーツ(HAW)、フィリッペ・トレド(BRA)、五十嵐カノア(JPN)、ジョージ・ピター(AUS)

PHOTO: © WSL/Andrew Shield

ウィメンズ
1位 ケイトリン・シマーズ(USA)
2位 イザベラ・ニコルス(AUS)
3位 カリッサ・ムーア(HAW)、タイラー・ライト(AUS)
5位 ヨランダ・ホプキンス(POR)、ルアーナ・シルヴァ(BRA)、モリー・ピックラム(AUS)、ナディア・エロスタルベ(ESP)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

Philippines Pro Presented by the Philippine Sports Commission Women’s Final Results:
1 – Caitlin Simmers (USA) 12.00
2 – Isabella Nichols (AUS) 10.77

Philippines Pro Presented by the Philippine Sports Commission Men’s Final Results:
1 – Gabriel Medina (BRA) 16.93
2 – Jack Robinson (AUS) 14.50

Philippines Pro Presented by the Philippine Sports Commission Women’s Semifinal Results:
HEAT 1: Caitlin Simmers (USA) 9.43 DEF. Carissa Moore (HAW) 5.67
HEAT 2: Isabella Nichols (AUS) 10.17 DEF. Tyler Wright (AUS) 7.00

Philippines Pro Presented by the Philippine Sports Commission Men’s Semifinal Results:
HEAT 1: Jack Robinson (AUS) 16.63 DEF. Ethan Ewing (AUS) 16.00
HEAT 2: Gabriel Medina (BRA) 15.76 DEF. Yago Dora (BRA) 13.50

(黒本人志)

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