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五十嵐カノア 躍進の2019年を振り返る

2016年にCTデビューを果たしてから4年目のシーズンとなった五十嵐カノア、22歳。

ルーキーイヤーに20位だったランキングが2年目には17位に上がり、3年目は一つの目標であったトップ10入りを達成。
そして、2019年はもう一つの目標だったCT初優勝を成し遂げ、ランキングもキャリア最高の6位。
2020年東京オリンピックのCT枠も日本代表として獲得してトップアスリートとしての地位を固めた。
CMやTV出演など一般メディアの露出も多くなり、サーファー以外にも知名度が高くなっている。

CT優勝でタイトルレースにも絡んだトップアスリートの1年を振り返ってみる。


開幕戦は9位からのスタート

開幕戦は9位でフィニッシュ
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今年も開幕戦はオーストラリア・ゴールドコーストが舞台。

残念ながらメイン会場のスナッパーロックスが地形の悪化で使えずにスウェルマグネットと呼ばれる隣のデュランバーで進行。
’QSのようなCT開幕戦’と比喩され、番狂わせが続出。最後はイタロ・フェレイラとコロへ・アンディーノのエアリアル勝負となり、イタロが優勝。
イタロは今年からシリーズ化された『Red Bull Airborne』でも優勝と強さが際立っていた。

カノアはR4でカリフォルニアのコナー・コフィンと対戦してクロスゲームの末に敗退。開幕戦は9位とまずまずのスタート。
続くベルズでの第2戦は金髪にイメチェンして登場。R4まで進み、ジョーディ・スミスに敗れて2戦続けての9位でフィニッシュした。

ベルズでは金髪にイメチェン
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バリ島でCT初優勝

今年は念願の初優勝を達成
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昨年、2013年の『Oakley Bali Pro』以来、5年ぶりにCTの舞台に選ばれたバリ島・クラマス。
アジアが誇る美しいライトのポイントブレイクでルーキーイヤーのパイプライン以来のファイナル進出を決めたカノアはジェレミー・フローレスを倒して念願のCT初優勝を達成した。

「これまでの努力の積み重ねはこの瞬間のため。今、全てが報われたよ。最初のラウンドは波にも乗れず、最悪だった。今まで努力してきたことを考えたんだ。ジムでのトレーニング、サーフィン。全ての小さな積み重ね、一人でも繰り返してきたことが今ここで結び付いた。この優勝は自分にとって本当に大きな意味がある。言葉では言い表せないくらいにね」

21歳、キャリア4年目にして念願のCT初優勝を果たし、ランキングでも2位に浮上。
表彰式では日本語で他の日本人サーファーのCT入りを願うようなメッセージを残していた。

シーズン中盤はアベレージ以上の結果が続く

今年もJ-Bayで美しいラインを描いた
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バリ島での興奮冷めやらぬまま再びオーストラリアに戻ったカノアはマーガレットリバーでの第4戦を9位で終え、ブラジル、南アフリカのロングトリップをこなす。
ブラジルではキャリア最高の5位、昨年3位に入った南アフリカの『Corona Open J-Bay』ではQFでイタロに敗れ、5位でフィニッシュ。
ランキングではコロへ、フィリッペ、ジョン・ジョン、イタロに続く5位をキープしてタイトル争いに加わっていた。

「Red Bull」によるカノアのVlogがシリーズ化

Vlogのカリフォルニア編では自宅のガレージを披露
via You Tube

ここ数年、多くのプロサーファーが公開しているVlogをスタートさせたカノア。

「Red Bull」の新たなプロジェクトで、カリフォルニアのフォトグラファー、ターナー・カーニーが密着して普段は見られないような貴重なシーンが楽しめるようになった。

第1弾の「Between the Lines」はバリ島、マーガレットリバー編。
第2弾の「Beyond The Lines」は南アフリカ編。
第3弾はカリフォルニア編。

カリフォルニア編では愛車のアウディと膨大な本数のサーフボードが並べられた自宅のガレージを披露。
2018年に正式にライダーとなったシャープアイサーフボードのカノアモデル「ストームズ」の紹介から始まり、お気に入りのサーフボードをカメラの前で公開。
大切にハンガーにかけられていた3歳の時に初めて着たウェットスーツを見せるなど、ファンにはたまらない内容だった。

成績に波があった後半戦

得意のポルトガルでは強豪を倒して3位
PHOTO: © WSL/Poullenot

南アフリカの次の舞台はタヒチのチョープー。
R1は切り抜けたカノアだったが、R3で敗退して今シーズン初の17位。
ランキングも二つ落として次はカリフォルニアのサーフランチだが、その前に宮崎で開催された『2019 ISAワールドサーフィンゲームス』に日本代表として出場。
開会式では選手宣誓を務め、個人では13位、団体では3位の銅メダルを獲得した。

ISAでは日本代表としてチームを引っ張った
ISA / Pablo Jimenez
サーフランチは9位
PHOTO: © WSL/Vankirk

8月から9月はタヒチ、日本、カリフォルニアを1ヶ月で3戦回るハードスケジュール。

ケリー・スレーターのウェーブプールを舞台とした第8戦『Freshwater Pro』は開発時から何度もサーフィンの経験があり、昨年は3位と得意な場所でもある。
今年は9位に入ったが、次のフランスではシーズン2度目の17位。それでもランキングは6位を維持して次の目的地、ポルトガルへ。

ポルトガルは2017年に3位、2018年に5位とカノアのキャリアの中で最もコンスタントな結果を残している場所の一つ。
今年もリズム良く勝ち上がり、R3では親友のレオナルド・フィオラヴァンティ、R4でケリー・スレーター、QFでフィリッペ・トレドを倒し、3位に入った。
そして、このイベントの結果で2020年東京オリンピック出場権を決めた。

「日本代表としてのオリンピックに出場、光栄に思う。条件をクリア出来るか心配した長い一年だったね。全て上手く進み嬉しいよ。これで来年はオリンピックという新しい目標が出来た。楽しみにしているさ。もちろん、狙うのは優勝。今日のニュースで一歩近づいたよね。オリンピック出場権を得て、このスポーツと母国での晴れ舞台に参加出来ることを誇りに思うよ」

PHOTO: © WSL
パイプライン
PHOTO: © WSL/Cestari

最終戦のパイプライン。
ルーキーイヤーに初ファイナルを決め、翌年には3位に入ったこのイベントだったが、今年は17位でフィニッシュ。
最終ランキングはキャリア最高の6位。

シーズンを重ねる毎に安定してランキングを上げているカノア。
オリンピックイヤーの2020年も活躍を期待しよう!

五十嵐カノア 2019 Men’s Championship Tour成績

『Quiksilver Pro Gold Coast』 9位
『Rip Curl Pro Bells Beach』 9位
『Corona Bali Protected』 優勝
『Margaret River Pro』 9位
『Oi Rio Pro』 5位
『Corona Open J-Bay』 5位
『Tahiti Pro Teahupo’o』 17位
『Freshwater Pro』 9位
『Quiksilver Pro France』 17位
『MEO Rip Curl Pro Portugal』 3位
『Billabong Pipe Masters』 17位

番外編

Photographed by Maciej Kucia @ AVGVST © 2019 CONDÉ NAST JAPAN. All rights reserved.

トップアスリートとしてコンテスト以外にも様々な場面で活躍していた2019年のカノア。

9月には資生堂が海を守るビーチクリーン活動などをグローバルで実施する「SHISEIDO BLUE PROJECT(シセイドウ ブループロジェクト)」のアンバサダーに就任。

これはWSLとWSLの非営利団体、海洋保護の推進や啓発活動・実践を目指す「WSL PURE」や世界中のトッププロサーファーとの協力で行うプロジェクト。
資生堂は今年のフランス戦のスポンサーにもなり、日焼け止めを始めとしたトータルケアのブースを会場に展開。
「WSL PURE」、地元団体と共同でビーチクリーンも実施していた。

フランス戦で行われた「SHISEIDO BLUE PROJECT」

恵まれた体格とルックスでCTの中でも女性ファンが多いカノア。

2018年に誌面を飾ったこともあるファッション雑誌「GQ JAPAN」が今年11月に開催した『GQ MEN OF THE YEAR』でははラグビーW杯日本代表、草刈正雄や賀来賢人、石原良純が選ばれた華やかな舞台でアスリート・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

更に同月には一般社団法人JASA(日本アクションスポーツ連盟)が主催する『JAPAN ACTION SPORTS AWARDS 2019』でアクション・スポーツ・オブ・ザ・イヤーを獲得。

「今年はバリで日本人初のCT優勝ができたことがすごく記憶に残っています。ISAの世界戦では、洋人と舜と2年連続で出場して、団体でメダルも取れたので、アメリカやブラジルやオーストラリアに“日本は気を付けたほうがいいよ”って示せたと思う。2020年の目標はもちろんオリンピックでの金メダルだけど、WSLのワールドタイトルも取りにいきたいです。」

(空海)

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