Photo: 牧之原市

五輪ホストタウンの牧之原市と下田市、USA Surfing新代表らと交流会を実施

東京オリンピックに際し、サーフィンアメリカ代表のホストタウンを務めた静岡県の牧之原市と下田市は、五輪アメリカ代表の統括団体「USA Surfing」とのオンライン交流会を、4月11日に開催した。

オンライン交流会には、牧之原市と下田市の市長、USA Surfingの新CEOとコーチ、USAチームの元日本代表駐在員であり日米の架け橋となったジョン・オオモリ氏、日本サーフィン連盟(NSA)理事長らが参加。東京オリンピックを終え、USA Surfingが新体制となった後も、交流をさらに促進していくことを互いに確認した。

牧之原市、下田市のホストタウン事業

五輪直前に行われたアメリカ代表事前合宿のサポートスタッフ Photo:THE SURF NEWS/Yasuma Miura

牧之原市と下田市は、2015年から東京オリンピックのサーフィン競技会場と事前合宿の招致活動を展開。会場は、2016年に千葉県一宮町の釣ヶ崎海岸に決定したが、2017年に両市はアメリカ・サーフィン競技の「ホストタウン」に登録され、数年越しで事前合宿の招致を進めてきた。

しかし、コロナ禍の影響で、東京オリンピックは1年延期しての開催が決定。ホストタウンを務める多くの自治体が事前合宿を断念するなか、牧之原・下田の両市は徹底した感染防止対策を行って開催にこぎつけた。

事前合宿は、東京オリンピック開幕直前の2021年7月16日から5日間、静波海岸や静波サーフスタジアムで行われ、金メダリストとなったカリッサ・ムーアをはじめ、コロヘ・アンディーノ、ジョンジョン・フローレンス、キャロライン・マークスのオリンピアン達が参加した。

事前合宿の様子 カリッサとコロヘ Photo:THE SURF NEWS/Yasuma Miura

参加した選手達は、五輪前に調整を行えたことや、牧之原・下田の特産物を使った料理、心温まるおもてなしにとても感謝していた様子で、自身のSNSなどに「Makinohara」の名前を度々投稿。

牧之原市の杉本市長はこの取り組みを振り返り、「これまではサーフィンは一部の人のスポーツだったが、ホストタウン事業を行ったことで世界に向けてシティプロモーションが出来た」と評価した。

▲コロナ禍で非公開となった合宿の様子を市民に伝えるため制作されたドキュメンタリー。静岡県広報コンクールで最優秀賞を獲得した。

新体制になったUSA Surfing

ブランドン・ローリー氏 Photo: USA Surfing

今年1月、アメリカのナショナルチーム統括団体である「USA Surfing」で長年CEOを務めてきたグレッグ・クルーズ氏が退任し、ブランドン・ローリー氏が暫定CEOに就任。

ローリー氏は、BSRサーフリゾートの元代表取締役でもあり、アメリカ代表がBSRで行った事前合宿のコーディネートを行ったほか、USA Surfingのリカバリー施設の運営にも関わった。現在は、カリフォルニアでハイパフォーマンスセンターの開発にも取り組んでいる。

ブランドン・ローリー氏 プロフィール概略
アメリカ・ノースキャロライナ出身。プロサッカー選手としてのキャリアがある一方、シドニー在住経験も長くスケートやサーフィンに親しんできた。ケガでサッカー選手のキャリアを諦めた後、サッカーレベルの観客や機会をアクションスポーツにもたらすべく、世界中で事業家、投資家として活動。2019年にはUSA Surfingのリカバリールームを創設。現在はグローバルアクションスポーツ財団の代表を務める傍ら、カリフォルニアでハイパフォーマンスセンターの開発にも携わっている。

ライアン・サイモンズ氏(中央) Photo: USA Surfing

また、2019年からヘッドコーチを務めていたブレット・シンプソンに代わり、ライアン・サイモンズ氏が就任。2012年から2016年にも同職だったサイモンズ氏は、ISAイベントで数々のメダルを導いた実績があり、日本のプロサーファー達との交友関係もある。

ライアン・サイモンズ氏 プロフィール概略
1974年、カリフォルニア・ロングビーチ生まれ。1996年にはCTクオリファイ直前まで行くなど、選手として世界で活躍。東浪見や志田下でのQSにも参加したことがあり、日本のプロサーファーの友人も多い。LOSTサーフボード等でのマーケティングに経験もある。2012年、USA Surfingの前身となるSurfing Americaのヘッドコーチに就任し、ISAイベントで数々のメダルを導いた。

今後も交流を促進していくことを確認

4月11日のオンライン交流会には、牧之原市の杉本市長、下田市の松木市長、今年新たに就任したUSA SurfingのCEOブランドン・ローリー氏、ヘッドコーチのライアン・サイモンズ氏、USAチームの元日本代表駐在員ジョン・オオモリ氏、日本サーフィン連盟の酒井厚志理事長などが参加。


牧之原市の紹介資料

交流会当日は、両市長が市の練習環境や、名産品などの魅力、これまでのアメリカとの関わりを改めて紹介し、歓迎の言葉を送った。

牧之原市杉本市長
「牧之原市の海岸線は、およそ15キロで、静波海岸をはじめ、数多くのサーフポイントが存在します。そして、去年の8月には、静波海岸のすぐ横に、日本初の本格的ウェーブプール「静波サーフスタジアム」がオープンしました。USAサーフィンの事前合宿も、このウェーブプールの存在が大きなポイントでした。チームの皆さんが牧之原市の海岸や、ウェイブプールを使って快適にトレーニングできる環境を整えております。市民一同USAサーフィンチームにまたお会いできる日を、心よりお待ちしております。」

下田市松木市長
「牧之原市と同じ様に、下田市も、ジョンオオモリさんの力を借りて、本日までUSA Surfingチームと様々なコラボレーションをして参りました。下田には9つのビーチがあります。東京五輪で日本代表のサーフィンコーチを務めた大野修聖さんや、日本サーフィン連盟の酒井理事長も下田出身です。グレッグさんも選手達と下田に訪れて、気に入ってくれました。ローリーさんもサイモンさんもきっと気に入ってくれると思いますので、また訪れてくれる日を市民一同心からお待ちしています。」

Photo: 牧之原市

また、USA Surfingの2人も自身の経歴や、今後の抱負などを語った。

ブランドンCEO
「事前合宿などの動画や、参加した選手など選手から、おもてなしの文化を体験して素晴らしかったと聞いています。カリフォルニアのハイパフォーマンスセンターにも、今後訪れて頂けたらと思います。」

ライアンヘッドコーチ
「日本のプロサーファーの友人が沢山います。日本の文化が素晴らしい。五輪の事前キャンプは皆さまからのおもてなしを受けて素晴らしかったと聞いています。事前キャンプは、五輪のために時差ぼけを解消し、身体を整えるなど、選手にとって重要なポイントとなりました。USAを代表して感謝いたします。今後もっと日本のことを知りたいと思います。」

今後の取り組み

東京オリンピックを終えた今、今後具体的にどのような交流を深めていくのか、THE SURF NEWSからの質問に出席者たちが回答した。

Photo: 牧之原市

牧之原市杉本市長
「今後もさらにUSAとの関係を促進、発展させていきたいです。ジョン・オオモリさんとの連携を行って、カリッサ選手の招へいや、英語の教育、サーフィン部ができるので高校生との交流、国際大会の招致などを行っていきたいと思います。」

下田市松木市長
「下田市は人口がどんどん減っていて、こうしたなかでUSA Surfingと繋がることがとっても大事です。町のテーマに「繋がる」というキーワードがありますが、色々な国のひとと交流をするために、サーフィンは大切なツールの一つ。アメリカとつながっていくためのきっかけになると思っています。」

NSA酒井理事長
「日本の選手に足りていない部分、国内だけで活動してる選手が多いので、海外の選手と触れて刺激を貰って欲しいと思います。過去にハンティントンで世界ジュニアをやった際は、前入りして日米合同合宿を行いました。今後も、そういったことを続けていきたいです。」

2018年ISAジュニアの前に行われた日米親善試合での集合写真 Photo: USA Surfing

(THE SURF NEWS編集部)

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