国内、海外と様々な場所へ旅をして見つけた共通点。それは、どこへ行っても「暮らし」があるということ。人それぞれ「暮らし」のスタイルは様々。国や地域が違えばその場所にあった暮らしがあり、また一軒家、アパート、バンなどその人のライフスタイルに見合った暮らし方がある。旅先で出会った素敵な暮らしをしている人たちを紹介していこう。
旅が大好きな加藤さんご一家。国内外問わずよく旅へ行くのが大好きだそう。昨年はコロナも明け久しぶりに家族でヨーロッパの旅へ出た。1ヶ月半ほどスペインのマドリードなどを経由しながら、ポルトガルとスペインの国境にある村で行われたフェスへ行ってきたそうだ。もちろん小学生の末っ子の息子さんも一緒に。「いる人がみんなハッピーで本当にいろんな人がいて、誰にも干渉されることなく一人ひとりが自分を解放して、それぞれが思い思いの格好をして自由に過ごしているという空間が素敵でした。日本での非日常な環境が海外では日常なこともありますよね。子どもはすぐそういう環境に慣れるのでいつも柔軟だなぁと羨ましくなったりします。旅を通して得たものを大切に自分に制限をかけずのびのびと育ってくれたら一番ですね」と一美さん。
旅好きは祖父ゆずり
「都内での生活は今思うとモノが溢れていたので、このお家に引っ越す時に思い切って断捨離をしました。その中でも思い入れが強く大切に持ってきたこの置物たちは、デザイン関係の仕事をしていた祖父が当時では珍しい海外によく行っていた時のお土産です」
スピーカーの置いてある棚の下にずらっと並べられた背表紙だけでも素敵な洋書はほぼ一美さんのお祖父様の遺品だそう。
「祖父が仕事で行った海外で買ってきたものなど、今では買えないような素敵な本がたくさんあります。これも私にとってとても大切なものなので引っ越しの際に持ってきました。今でもたまに気になって手に取ることもありますよ。私が旅を好きになったのは祖父の影響もあるのかもしれないですね」自分が見ている世界よりもっと広い世界があるということに気づくことは日々の生活にとって、とても大事なのかもしれない。
リビングに置いてある可愛いクッションたちはモロッコへの旅で購入したもの。一美さんがデザインするお洋服も旅先からインスピレーションを受けていることが伺えるアイテム。太陽を浴びながら床暖房が敷かれたリビングでくつろぐのにピッタリ。気持ちよくてそのまま寝てしまうこともあるとか。
充実した日本での暮らし
家の外には大きなスケートランプも。「このスケートランプはコロナ中に友人たちと一緒に一から作りました。息子の興味に柔軟でありたいと思うので、横ノリが大好きな息子とその友達のために作ってよかったです。子どもでもしっかり意思のある 1 人の人間として向き合うようにしています。勉強しなさいなどと言ったことは実は無いんです。1 人で朝5時頃に勝手に起きて宿題をやっていたりもします」
「コロナ中にキャンパーをゲットして国内をキャンパーで旅をするようになりました。今は修理中なんですが(笑)末っ子と私たち夫婦で旅をするには丁度いいサイズで、以前より海や山に泊まる宿を気にすることなく行きやすくなりましたね。冬は家族で野沢などの雪山に行って末っ子が大好きなスノーボードやスキーを一緒にしたり、波があれば夜出発して車中泊ののち朝イチで一緒にサーフィンしたりと週末の遊びの幅も広がりました。自然の中での遊びを息子と一緒に楽しめるのが最高です」とご主人。
気持ちよく暮らすヒント
「家にいれば太陽を浴びられるし窓から見える月や星を眺めることもありますが、自宅から海までも車ですぐ行けるので、末っ子の送り迎えの合間にふと車から見える夕日や空の色に癒されています。都内での生活ではできなかったこと。旅をするのは大好きですが自宅でゆっくりとヨガをしたり、瞑想をしたりと、自分を整えることも大切だなと感じます」と一美さん。自分を整えることが一番の優先順位だと教えてくれた。自分を整え、いらないものを手放すと満たされた感覚が強くなりイライラや怒りの感情も自然と消えていくんだとか。
「旅先でたまたま訪れた町でこんなお洋服を来ている女の子がいたら、なんて想像しながらデザインをすることもあります。やはり私にとって旅は欠かせないもの。そして、旅を通して自由に羽を伸ばすことと、自然と一体となったこのお家でそのリズムを感じながら、なるべく自由にのびのびと暮らすこと、どちらも同じくらい大切だと思います。年末には家族でカリフォルニアに住む長男を訪ねに行く予定です。最近はポルトガル、スペインなどヨーロッパへ旅することが多かったですが、久しぶりのアメリカもとても楽しみです」
素敵なお洋服の背景には素敵な家族の素敵な暮らしがありました。
Photo: Miyu Fukada