photo reference by Ri Ryo, WSL

ロングボードとショートボードの違い、そして乗りかた

ショートボードは足し算、しかしロングは引き算の美学


ロングボードはこう考える

ロングボードは、バイクに例えるならばハーレー・ダビッドソンのような重量級のバイク。動きはゆっくりだけど、スピードに乗ればその重さでどんどん滑っていくグライド感が魅力だ。

十分な浮力があるロングボードは、パドルも楽で波をキャッチしやすく、また安定感もあってぐらつくこともあまりない。ところが、その安定性ゆえにライダーがターンしようとがんばっても、真っ直ぐに進んでしまう特徴がロングボードにはある。

直進性の強いロングボードではあるが、ターンの正しい『立ち位置』を理解すれば、がむしゃらに力を入れなくても、ほんの少しの体重移動でターンすることができる。

その正しい『立ち位置』を会得すれば、どんなタイプのサーフボードにも応用できるから、ロングボードは『ビギナーがサーフィンを習うには最適なサーフボード』といえるだろう。

tandem-style.com
ロングボードは、重量級バイクの運転に似ている

ロングボード向きの波

ロングボードが向いている波は、フェイスがクリーンな膝から腹くらいまでのスモールウェイブだ。ショートボードでは波をキャッチできないと思えるようなスモールコンデションでも、ロングボードにはちょうど良いことがよくある。海が荒れているときや波高が高いときは、大きくて取り回しの難しいロングボードは不向きだといえる。

注意(海のコンデションは常に変化しています。事故や怪我を未然に防ぐために、ビギナーはしっかりした経験者の指導を受けて練習してください)

両足の指先がノーズに達し、両膝と両腕もまっすぐな直立のポーズ、さりげないが超高難度のハング10
Dane Peterson photo by RyoRi

クラシックタイプのロングボードの乗り方

ロングボードの中でも『クラシック』と呼ばれるサーフボードは、重く長くしかも大きなシングルフィンが付いていて直線的にはどんどん進むが、コントロールとなるとなかなか手強い。

しかし、その手強さこそがクラシックなロングボードの魅力ともいえる。サーフボードを波の上で滑らせながら、ボードの上をウォーキング、そしてノーズライドするのがクラシックロングボードのテクニック。このシンプルなテクニックを『最小限の動き』で淀みなく行うところにクラシックなロングボーディングの奥深さがあり、引き算の美学といわれる所以(ゆえん)だ。

パフォーマンスタイプのロングボードとその乗り方

ショートボードの性能を取り入れたのがパフォーマンスタイプのロングボード。クラシックなロングボードよりもレスポンスが良く、しかもノーズライディングもできるオールラウンドなロングボード。フィンのタイプもさまざまだ。

しかし、パフォーマンスと一口に言ってもその定義は難しく、クラシックに近いものもあるし、ショートボードを長くしたような薄く軽量なロングボードもある。

このボードの乗り方に決まりはない。クラシックなロングボードのようにウォーキングとノーズにこだわっても良いし、またはショートボードのように派手なターンでサーフしてもいい。

ロングボードのサーフィンは、とにかく一生懸命にならないのがかっこう良く見せるコツだ。下の映像は女性が優雅にロングボードを操る映像。参考にしたい。

ノーズライディングはロングボーディングの華

ロングボードを始めたら誰もがやってみたくなるテクニック、それがノーズライディング。片足がノーズに届けばハングファイブ、両足ならば究極のハングテン。

簡単なようで難しいのがノーズライディング。しかもこの技はノーズに立てば良いというものでもない。これは言わば『流儀』つまり表現スタイル。だから大慌てでステップしてノーズにしがみつくようにノーズに立ってもダメ。

さりげなく自然にウォーキングをしてノーズを決め、また戻る。その動きに流れがあり乱れがないことが重要で、すり足もカッコ悪いとされている。あくまでも優雅にさりげなく、それがノーズライディングだ。極めようと思ったらまず『ノーズライディングのメカニズム』を理解しよう。下記のコラムがそのヒントになるだろう。
https://www.surfnews.jp/feature/28318/

ロングボードの海でのマナー

自分の好きなスタイルでサーフィンができるロングボード。その乗り方は自由だが、パドルが楽で波をキャッチしやすいために、サーフポイントで波を独占してしまうことがよく起きる。そのためにロングボードのサーフィンが禁止されたエリアも増えている。ロングボードを楽しみたいサーファーは、サーフポイントでのマナーには注意しよう。

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