Photo: WSL / Kelly Cestari

2020年世界のシャークアタック件数減、死者数増 その理由は?

世界中のシャークアタックの統計を行っているフロリダ自然史博物館に付属するISAF(International Shark Attack File)が2020年の報告を発表した。世界的にシャークアタックの件数が例年よりも大幅に減ったものの、シャークアタックによる死者数は平均の2倍以上に上った。

サメから一方的に人間を襲った件数(ISAFのデータをもとに筆者がグラフ作成)

注目されているのはサメから一方的に人間を襲うUnprovoked attack(挑発していない攻撃)の件数。(人間からサメに触ろうとして噛まれた件数は含まれていない)。

12月に女子CT大会、Maui Pro期間中にホノルアベイで起こった事件が記憶に新しいが、2020年に異例の件数が記録された要因なんだろうか?

例年通り、アメリカが世界の件数の過半数を占める。(ISAFのデータをもとに筆者がグラフ作成)

国別にみるとサメから一方的に襲われた事件は例年同様米国が最も多い33件。次いでオーストラリアで18件のアタック(うち6人死亡)。そのほかニュージーランドなど6か国で1件ずつ。新型コロナウイルスの影響で情報不足により状況の詳細が特定できなかったケースが16件。

コロナ禍以前からボードスポーツの被害の割合が多い(ISAFのデータをもとに筆者がグラフ作成)

近年はサーフィンなどのボードスポーツを楽しむ人が襲われる割合が増加傾向にあり、2020年は全件数の61%に上る。コロナ禍以前から同様の傾向が続いており、サーファー達はサメが頻繁に現れる「サーフゾーン」で長時間活動し、水しぶきを飛ばすなどサメの興味を引くような行動をとることが、他のウォータースポーツよりも件数が多い原因と考えられている。

2020年の件数を分析

ISAFによると、件数の減少は新型コロナウイルスの影響により世界各地でロックダウンが実施され、海に入る人の数が全体的に減ったのが考えられる。乱獲などによってサメの生息数の大幅な減少も指摘されている。

死亡数が多かった理由として、地球温暖化による生態系の変化、餌となる魚の減少、サメの突発的な行動が挙げられる。また、2020年のアタックは大型で力が強いホホジロザメの割合が多く、10件の致命的なアタックの内6件がホホジロザメだったと言う。

しかし、ISAFが所属するフロリダ自然史博物館のサメ研究プログラムのガビン・ネイラー氏によると、「2020年の死亡数が多かったのはたまたまで、増加傾向にあるとは言い切れない。年々変動するのは予想できていて、1年見ただけで傾向とは言えない。2020年のアタック件数は非常に低く、長期的に見れば死亡件数も減少傾向にある」と言う。

サメを見つけるには空からの監視が有効 Photo: WSL / Pierre

サメに襲われる確率を減らすためにできること

日本でサーフィン中にサメに襲われる確率は非常に低いが、さらに襲われないようにできることがいくつかある。ISAFは襲われる確率をさらに減らすために、サーファーができる行動をまとめた

  • サメが特に活発な夜明けと夕暮れの薄暗い時間帯を避ける
  • 指輪など金属で光を反射するものを身に着けない。サメは視力が悪く、反射した光が暴れる魚のうろこに見間違えて襲うことがある。
  • サメの餌になるような小魚が群れていれば特に注意をする。
  • 大雨の後など、水が濁っている時は視界が悪く、間違えて噛まれるリスクが上がる。

サーフィン中にサメを見かけた場合は周囲に注意を呼びかけ、サメから目を離さずに冷静に陸に上がる。近づいてきた場合は常にサメの方を向き、万が一噛まれた場合、鼻の先を狙って殴る、あるいは目や鰓(えら)などの急所に指を突っ込むなど攻撃し返すと離れることが多い。いったん噛まれたら死んだふりをするのは逆に攻撃を招くことがあるのでサメがいったん離れてもできる限り速やかに陸に上がる。

年間平均80件もあれば、シャークアタックのニュースが絶えないのは納得できる。しかし、サメが意図的に人間を狙って攻撃したという証拠はなく、ほとんどの場合は普段餌にしているアシカやカメなどと間違えて噛まれてしまうと考えられている。

サメはサーファーにとって脅威であることは間違いないが、海や地球の生態系にとっては欠かせない存在でもある。ミック・ファニングが参加したドキュメンタリー『Save This Shark』では、未だ謎が多いサメの生態を解き、共存する方法を見出そうとしている。

近年はサメに遭遇するリスクを減らすグッズや、生存率を高める新素材のウェットスーツの開発も試みられている。シャークアタックが多い場所ではシャークネットやドローンなどを活用して危険の回避に努めている。

これらのアドバイスを参考にサメに遭遇するリスクを極力避け、万一見かけた場合には冷静に対応して、さらに襲われる確率を減らそう。

ケン・ロウズ

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