Photo: Roxy

サーフィン界のクイーン ステファニー・ギルモア 7度目のワールドタイトル獲得までの軌跡 

ステファニー・ギルモア

いつしか彼女はサーフィン界のクイーンと呼ばれるようになった。

初めてステファニーがCTイベントで優勝したのは2005年、まだ17歳の時。
ワイルドカードで出場したホームの『Roxy Pro Gold Coast』を制し、翌年にマンリーで開催された『Havaianas Beachley Classic』で2度目の優勝。

正式にツアーの一員になった2007年、19歳。
ワイルドカードでの優勝が偶然ではなかったことを証明するように8戦中4勝という驚異的な成績でルーキーとしてワールドタイトルを獲得。
これはサーフィン界のキングと呼ばれるケリー・スレーターでも成し遂げていない偉業だ。

2007年 19歳 ルーキーにして初のタイトル獲得
PHOTO:© WSL/kirstin

ステファニー以前にも、リサ・アンダーソン、ソフィア・ムラノヴィッチなどの何人かの秀でたサーファーはいたが、明らかに彼女のサーフィンはこれまでのウィメンズサーフィンのレベルを超越していた。
後に強力なライバルとなるカリッサ・ムーア、タイラー・ライト、コートニー・コンローグなどと共に「ステファニー世代」はツアーを変貌させた。

ルーキーイヤーの2007年から2010年まで次々に勝利を重ねて4年連続でタイトルを獲得。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼女を失速させたのは、オフシーズンに起きた災難だった。
自宅付近で通り魔に襲われて全治6週間。精神的にも影響があり、2011年はランキング3位でシーズンを終えることに…。
その年のチャンピオンはシーズン2年目のカリッサ・ムーア。タイラー・ライト、コートニー・コンローグがCTデビューした年でもある。

2012年、24歳。開幕戦を制した彼女は以前の強さを取り戻し、ニュージーランド、フランスで優勝。
最終戦を待たずに5度目のタイトルを獲得する。

2013年は怪我の影響、カリッサ、タイラーなどの台頭により、初めて優勝無し、ランキング5位でシーズンを終えたが、2014年は開幕戦の優勝を皮切りにトラッセルズ、ポルトガルで優勝。
サリー・フィッツギボンズ、タイラー・ライトとサーフオフ(他のスポーツに例えるとプレーオフ)の可能性も視野に入った激しいレースの末、マウイ島・ホノルアベイで6度目のタイトルを手に入れた。

「カリッサ、タイラー、そしてサリー。彼女達とのタイトルレースは私のキャリアの中で最もハードだったわ。みんなが素晴らしいサーフィンをしていた。彼女達と世界を転戦して争うことにとても魅力を感じているの。お互いをプッシュして刺激を与える。それが私達の上達に繋がり、最高の結末になったわね。ホノルアベイ、ローカルに感謝したい。スポンサーのターゲット、ASP(現WSL)にも感謝している。私にとってここは特別な場所よ。タイトルに近づいていたタイラー、優勝したカリッサ。サリー。出来ればみんなでこのトロフィーをシェアしたいところだけど、今は私の物よ!(笑)」
ステファニー・ギルモア

2014年 激しいレースの末に6度目のトロフィーを手に入れた
PHOTO:© WSL/Kirstin

2015年はマーガレットリバーでのフリーサーフィン中に膝を負傷してしまい、6戦をキャンセル。
怪我人によるワイルドカードを与えられて2016年には復帰するが、リズムが合わず、カリッサとタイラーにヒートの大半を奪われてしまうことに…。

ツアーでは最年長の部類に入る20代後半、次々と若い選手がツアーに入り世代交代が進む中、2017年の開幕戦ではホームでのローカルナレッジを活かし、パーフェクト10を出す完全優勝。
2014年のポルトガル戦以来の優勝、CTで節目の通算25勝。
最終戦のホノルアベイでも優勝、タイラー・ライト、コートニー・コンローグ、カリッサ・ムーア、サリー・フィッツギボンズとのタイトルレースの末に2位でシーズンを終えた。

この年から主に「Quiksilver」のコーチとして五十嵐カノアを始め、グリフィン・コラピント、エゼキエル・ラウ、レオナルド・フィオラヴァンティ、ラムジ・バークヒアムなどを率いるスネークことジェイク・パターソンをコーチに雇ったのも復活の要因だろう。

2017年 開幕戦で完全優勝 
PHOTO:© WSL/Rowland

2018年、30歳。
開幕戦は5位とスロースタートだったが、ベルズ、ブラジルと2連勝。
18年ぶりにウィメンズに復活したJ-Bayではパーフェクトコンディションでこの年最大のライバル、レイキー・ピーターソンとの直接対決を制し、ツアー通算29勝目。
そして、最終戦のホノルアベイではレイキーがプレッシャーからかシーズン初のR2敗退を喫してしまい、この時点でレイン・ビーチェリーに並ぶ7度目のタイトルを獲得した。

「サーフィンは私の全てよ。全てを与えてくれる。若い頃からサーフィンのことばかり考えていたし、今でも一番愛している。楽しみ、挑戦、全て。サーフィンは最高よ」
ステファニー・ギルモア

バートン・リンチからマイクを向けられた7度目のタイトル獲得直後のインタビューはサーフィン愛で溢れていた。

ステファニー・ギルモア ツアーキャリアランキング

2018: 1位
2017: 2位
2016: 6位
2015: 12位
2014: 1位
2013: 5位
2012: 1位
2011: 3位
2010: 1位
2009: 1位
2008: 1位
2007: 1位


ステファニーのライフスタイル

ステファニーのコンテストジャージ、背番号88の由来は映画「キルビル」のキャラクター、クレイジー88と言われている。
そんなユーモアもある彼女は誰もが憧れるような理想的なライフスタイルを送っている。

ツアーの合間、ホームのオーストラリア・ゴールドコーストにいる時はシンプルにサーフィンを楽しむ。
それはオーストラリアの海沿いに住む一般的なサーファーと全く同じ。
友人と過ごし、趣味の域を超えたギターを奏でる。

数年前にカリフォルニアのマリブに素敵な家を手に入れた彼女。
ここで過ごす時はオーストラリアよりもサーフィンはスローダウンしているようだが、大きなインスピレーションを得ているようだ。

「マリブという場所に私は本当に共感したの。ここでは全ての人が何かをしている。ミュージシャン、俳優。クリエイティブなエネルギーが溢れているわ。それはサーフィンの真の精神を具体化しているようだわ」
ステファニー・ギルモア

マリブでサーフィンする時はスラスターだけではなく、レトロなツインフィッシュで楽しむこともある。

deadkooksのピンクのフィッシュでマリブをクルーズするステファニー。
撮影はロングボードの2xワールドチャンピオン、ハーレー・イングルビー。

ちなみにステファニーのニックネームは「ハッピー ギルモア」
笑顔を絶やさない彼女は、あと、いくつ勝利を重ねるのだろう。

(空海)

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