(2022年のWJSCのU-16ガールズでカナダ代表として金メダルを獲得していたエリン) PHOTO: ISA / Mike Rodriguez

エリン・ブルックスがカナダの市民権申請を取得、2024年パリ五輪出場の可能性も!

オリンピック出場のためのカナダ国籍移行で揉めていたエリン・ブルックスの問題が遂に決着!

晴れてISAイベントにカナダ代表として出場することが認められたため、2月23日〜3月3日にプエルトリコで開催されるWSGの結果次第では、2024年パリ五輪の出場も可能になる。

2024年パリ五輪の選手選考で4番目の優先順位となる2024WSGは男子の上位5名、女子は上位7名が条件。
更に1国2名の枠に関係なく、男女別の優勝チームにはもう1枠の出場権が与えられる。
プエルトリコの会場はエリンがフロントサイドになるレフトのバレルポイント。
エリンは『Vans Pipe Masters』でファイナルに残るなどバレルが得意であり、上位7名に入る可能性は十分にある。

パリ五輪のチョープーの舞台に立てば即メダル候補になる。

実際にチョープーでの経験は11歳と13歳の時だけと言っているが、パイプラインやカンドゥイ、インドネシアでバレルのスキルは磨いていおり、2022年の『Rip Curl Cup Padang Padang』では女性初の大会参加でファイナルに残ったこともある。

ちなみにエリンはまだ16歳。
パリ五輪でメダルを獲得すればサーフィン業界だけではなく、天才サーファーとして五輪全体の大きな話題になるだろう。

(ISAが公表している2024年パリ五輪クオリファイの条件)

問題解決までの経緯

(『Rip Curl Cup Padang Padang』ではメンズに混じりファイナルに残った)
Photo: WSL / NATE LAWRENCE

そもそも、エリンはハワイで育ち、国籍もコンテストでの登録もアメリカ(ハワイ)だった。
しかし、サーフィンがオリンピック競技となり、アメリカ代表よりもカナダ代表の方が出場できる可能性が高いため、アメリカとカナダの二重国籍を持つ父(祖父がカナダ人)がエリンをカナダ国籍に変更。

2019年以来、3年ぶりの開催となった2022年のWSGにもカナダ代表として出場してU16ガールズで金メダルを獲得してオリンピック出場計画は順調に進んでいた。

しかし、事態は一転。
2023年6月にISAが市民権申請が未承認という理由でカナダ代表としての出場資格を停止した。
この措置により、エリンは2024年パリ五輪の選手選考となる『2023 Pan American Games』に出場ができなかった。

カナダのスポーツ機関がカナダ政府から市民権を証明する文書を提出できるようになれば、ISAのルールに則り、エリンのカナダ代表としての出場資格を再検討するという前向きな発表もされていたが、2023年10月にカナダ政府は、「応募者が無国籍ではなく、特別または異常な困難を経験しておらず、カナダに対して特別な価値のあるサービスを提供していないため、カナダ市民権の裁量的付与を正当化する根拠がない」と書面で市民権申請を却下していた。

カナダのサーフィン協会はカナダの公共放送CBCにエリンの父がこの決定を連邦裁判所に訴えるつもりであると伝えていたが、今回ミラー新移民大臣による再検討の結果、市民権の再申請が認められたのだ。

今回の問題はオリンピック出場のために国籍を移行する選手にとっての今後のユースケースにもなるだろう。

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