(フィリッペ・トレド)PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

フィリッペ・トレドの「エクセレントライド」を考察

F+(エフプラス)

エルサルバドルはグリフィン対フィリッペという、ある意味王道というか、このタイミングでのツートップの戦いになった。勝ったのはフィリッペ・トリード。
まぁ、あそこまでやられたら、ジャッジ云々の話ではなく、点出さざるをえないし、逆にあそこまでやらないとブラジル人は点もらえないんだよ、というガブの主張する部分なんだろうな、と思う。

とにかく、技の繰り出しのタイミングが早い。他の選手が2ターン入れる距離で3ターン入れる感じ。詰め込み放題、一瞬たりともレールが休んでいる時間がない。当てて下りて当てて下りての繰り返しで、そのひとつひとつのクオリティが高いし、蹴り飛ばしてるだけではないので、ターンごとに加速しながら次のターンにつなげていると思う。スゲーな、フィリッペ。

(キャロライン・マークス)PHOTO:© WSL/Beatriz Ryder

女子のほうのファイナル、キャロライン・マークスとタイラー・ライトの感じに似てるんだけど、あの波だとどうしてもバックハンドのほうがバーチカルなラインというか、縦に上げやすい分、トップアクションの間隔が詰まるというか、そう見えたと思うし、返しもそのまま真下に落ちてくるので、掘れた場所にとどまれる感じ。タイラーのほうはフロントで、大きく当てようとすればおのずと前に出して戻る的なカーブのラインになり、リズムとしてはどうしても間延びして見えてしまう。
それはフロントとバックハンドの特性ともいえるのだけど、そのリズムの差が同じフロント同士のフィリッペとグリフィンにあったかなと思う。フロントであのフィリッペのリズムであのタイミングで技を繰り出し続けるって、本当に難しいと思うけど、今やそれがトレンド。深いボトムターンからどでかく一発って、もう世界では古いラインだ。

(グリフィン・コラピント)PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

その上あの自分でどんどん上げていく感じというか、ヒステリックともいえるパッションというか、あれはブラジル人ならではかな、と思う。マンオンマンの対戦相手にあのモードに入られたら、ホント、いやだ。いやだったろうな、グリフィン。
でもグリフィンのこの2位は大きい。あと3試合あるけどこれでほぼファイナル5は確定と言ってもいいと思う。フィリッペも同じような感じ。このふたりは頭ふたつぐらい抜けだした。

(ジャック・ロビンソン)PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

序盤あんなに安定していたのに、現在6位までランキングを落としてしまったジャック・ロビンソン。この先は膝の回復次第かな、と思う。ケガは本当に恐ろしい。その下、7位にいるのがジョンジョン。まぁ、このままでは終わらないだろうとは思うものの、なんか、あとひとつ歯車がかみ合わない感じがとてももどかしい。それは現在5位のガブも同じ。トップ5のボーダーライン界隈の人はみんな、あとひとつ何かが足りないという状況だと思う。それは逆に、そのひとつさえ解決すれば、ポーンと上がってくるともいえると思う。

さて、アブダビにケリーのプール。

まぁ、お金持ち相手のショーとしてはアリなのかな、と思う。波のない場所にサーフィンを持ち込む、というウエイブプールのひとつの使命を果たすことになるわけだけど、将来的にそれが世界中のあらゆるところに波及して、サーフマーケットを拡大する、という最終目標にはだいぶ遠いんだろうな、と思う。プールビジネスとイクイップメントやアパレルなどの、俗にいうサーフマーケットとのリンクがものすごく難しそうな感じがするんだけど……。

F+編集長つのだゆき

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