(ファイナリスト) PHOTO:© WSL/Pat Nolan

カリッサ・ムーア&グリフィン・コラピントが優勝!CT第6戦『Surf Ranch Pro』

昨年はインドネシアのG-Land開催で休止されていたサーフランチが今年は復活。

ミッドシーズンカットを経て新たなスタートを切るCT後半戦のファーストイベント、CT第6戦『Surf Ranch Pro』が5月27日〜28日に有料チケットを購入した沢山のサーフィンファンの前で行われ、メンズ、ウィメンズ共にトップが入れ替わった。

特別フォーマット

『Surf Ranch Pro』はウェーブプールという特性上、通常とは異なるフォーマットで進行。
観戦も有料制で、週末2日間で行われる。

まず、メンズ、ウィメンズ共に予選ラウンドが行われる。
4人ヒートで各選手はライト、レフトを2本ずつ乗り、それぞれのベストスコアのトータルで勝負が決まる。

4人の内の1位だけがストレートで次のQF(ウィメンズはSF)に進み、2位と3位は敗者復活戦行き。
4位は早くもイベントから姿を消すことになる。

敗者復活戦はNight Sessionと呼ばれ、ナイター設備を利用して初日の夜に開催。
これは今シーズンからの新たな試みとなる。

Night Sessionはメンズ16名、ウィメンズ6位によるベスト1ウェーブスコアでの勝負。
ライト、レフトを1本ずつ乗り、ベストスコアによってランキングが決まり、メンズはトップ2がQF、ウィメンズはトップのみSFへ。

最終日に残るのはメンズが8名、ウィンメンズが4名。
QF、ウィメンズがSFから行われ、全てマンオンマンで進行。
観客はショーアップされたクライマックスをビールを飲みながら楽しめる。

もちろん、全ての波が完璧だ。

初のブラジリアン以外の勝者

(自国での優勝を決めたグリフィン・コラピント)
PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

2018年から始まったサーフランチイベントは過去3度開催。
メンズはガブリエル・メディナ、フィリッペ ・トレドが3度共にファイナルに残り、ガブリエルが先に2勝、フィリッペが1勝を上げている。
つまり、ブラジリアン以外は蚊帳の外のようなイベントだった。

今年もイタロ・フェレイラ(BRA)がファイナルに残り、レフトで8.70、ライトで8.13を重ねてこのままイタロ劇場が完結するか?と思わせたが、対戦相手のグリフィン・コラピント(USA)が最後のライトでバラエティ豊かなターンとバレル、最後は高さのあるエアリアルまでメイクして9.07をスコアして逆転に成功。

初のブラジリアン以外の勝者になったと同時にランキングでもジョアオ、フィリッペ の二人のブラジリアンを抜いて4位から一気にトップに浮上。次のエルサルバドルではイエロージャージを着ることになる。

(絶好調だったイタロだったが…)
PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

「カリフォルニアのCTで勝つことに意味がある。特にここでは皆んなが同じ条件のため、身体的な能力だけが評価されることになる。この優勝を手にするために努力もしたよ。最高の気分だね。家族や友人が沢山いる中で勝てたことは本当に最高さ。ファイナルはイタロが失敗するのを願いながら見ていたよ。イエロージャージは嬉しいけど、今教えてくれるまでトップだと気付かなかった」

ちなみにグリフィンはエルサルバドルのディフェンディングチャンピオン。
昨年はエルサルバドル以降、悪い結果が重なって逃したファイナル5行きを今年は早くも固めてきた。

カリッサが2度目の勝利

(シーズン3勝目でトップに立ったカリッサ・ムーア)
PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

サーフランチのウィメンズサイドはカリッサ・ムーア(HAW)が初代チャンピオンで、レイキー・ピーターソン(USA)、ジョアン・ディファイ(FRA)と3名のサーファーがトロフィーを獲得していたが、今年はカリッサとキャロライン・マークス(USA)がファイナルを争い、1本目のライトで8.60を出したカリッサが勝利。
キャロラインは最後の波で逆転を狙い、バレルを抜けてからのセクションでエアーをトライしたが、失敗に終わってしまった。

(最後に飛んだキャロラインだったが…)
PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

これでカリッサは開幕戦、第4戦のマーガレットリバーに続きシーズン3勝目。
CT通算28勝目を上げてランキングでもタイラー・ライト(AUS)を抑えてトップに浮上した。

「もう、喜びが隠せないわ。この素晴らしい人達と一緒に表彰台を共有できることは名誉ね。私達はアスリートとして最大限のパフォーマンスをすることを望んでいる。今回、もっとできることがあったと思うけど、優勝したことはとても嬉しいわ。現在の競技に集中できたことが私にとって最も重要なこと。正直、こんなに上手くいくとは思っていなかった。本当に嬉しい。多くの家族や友人がここにいて、世界中からライブで観戦してくれている。そのすべての愛を本当に感謝しているわ。完璧な波だけど、実際には難しいの。タイミングを掴み、緊張を抑えるために何回かサーフィンして良い感じになったのよ」

なお、日本の五十嵐カノアはトップ2だけが上がれる敗者復活戦のNight Sessionで3位。
僅かな差でQF進出を逃したが、ランキングは3つ上げて17位に浮上。

次の第7戦『Surf City El Salvador Pro』はエルサルバドルで6月9日〜18日に開催されるが、その前に同じ場所で2024年パリ五輪の選手選考も兼ねた『2023 Surf City El Salvador ISA World Surfing Games』が5月30日〜6月7日に開催される。

カノアを始め、多くのCT選手が各国の代表として参加。
非常にタイトな連戦となる。

(五十嵐カノア)
PHOTO:© WSL/Aaron Hughes

CT第6戦『Surf Ranch Pro』結果
1位 グリフィン・コラピント(USA)
2位 イタロ・フェレイラ(BRA)
3位 フィリッペ・トレド(BRA)、イーサン・ユーイング(AUS)
5位 ヤゴ・ドラ(BRA)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、ガブリエル・メディナ(BRA)、ジョアオ・チアンカ(BRA)

ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 キャロライン・マークス(USA)
3位 ケイトリン・シマーズ(USA)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
5位 ジョアン・ディファイ(FRA)、モリー・ピックラム(AUS)、ステファニー・ギルモア(AUS)、レイキー・ピーターソン(USA)

2023年CT『Surf Ranch Pro』終了後のランキング
1位 グリフィン・コラピント(USA) 35,090pt
2位 ジョアオ・チアンカ(BRA) 33,000pt
3位 フィリッペ・トレド(BRA) 31,660pt
4位 イーサン・ユーイング(AUS) 28,895pt
5位 ジャック・ロビンソン(AUS) 26,545pt

ウィメンズ
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 39,490pt
2位 タイラー・ライト(AUS) 34,295pt
3位 モリー・ピックラム(AUS) 32,035pt
4位 キャロライン・マークス(USA) 29,040pt
5位 ケイトリン・シマーズ(USA) 12,050pt

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。