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ガブリエルが一気に首位へ! 【CT第8戦フレッシュウォータープロ】

サーフィンは予測不可能な波の上でやるから楽しい。
予測可能なウェーブプールでのサーフィン、特にコンテストには自然の波のようなワクワク感やドラマチックな展開がないという意見もある。

第1回目の『サーフランチプロ』改め、『フレッシュウォータープロ』というイベント名に変更された今年のサーフランチでのCT。
’フレッシュウォーター’、つまり、淡水=プールで開催される唯一のWSLイベントがどれだけ盛り上がったのかをお伝えしよう。

フォーマットについて

観客は目の前で選手の演技を楽しむことが出来る
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自然に左右されないサーフランチのイベントは僅か3日間でスケジュール通りに進行。
スタジアムのように整えられた設備で観客も入る。

入場チケットは最も安いファイナルデイの1デイパスで55ドル。
宿泊、サーフランチでのサーフィンなどのオプションがついた『SURF RANCH EXPERIENCE』が5,499ドルというプレミアムチケットもある。

昨年同様、ウェーブプールのための特別なフォーマットを使用。
基本的にはオリンピックのスノーボード・ハーフパイプのイメージ。
一人ずつ波に乗り、純粋にスコアだけを競い合う。
効率とショーとしての分かりやすさを考慮して今年は変更があった。

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メンズのCT選手は36名。

予選ラウンドははRound of 36と呼ばれ、6人ずつの6ヒート。各選手はライト・レフト共に2本、合計4本に乗り、各サイドのベスト2スコアがカウント。
各ヒートの上位2名とその2名を除いたトータルの上位12名、計24名がボーナスラウンドに進み、ライト・レフト共に1本ボーナスで波に乗り、ベストスコア更新のチャンスを与えられ、上位8名がファイナルラウンドに進出。

8名によるファイナルラウンドは、各選手ライト・レフト共に2本、合計4本に乗り、各サイドのベスト2スコアがカウント。
8名から4名に絞られた後、各選手ライト・レフト共に1本、合計2本の波に乗り、ベストスコア更新のチャンスを与えられ、最終的なランキングが決定。

ウィメンズのCT選手は18名なので、メンズのフォーマットが半分になる。

つまり、最後の最後に残るのはメンズが4名、ウィンメンズが2名。
予選ラウンドでしくじった選手はすぐに荷物をまとめて家に帰るか、ビールを飲んで観戦するしかない。

予選ラウンドが長過ぎ、ファイナルラウンドになってようやく盛り上がったという声もある。
予測可能な波だけに今後はファンを飽きさせない工夫が課題になりそうだ。

今年もガブリエル&フィリッペが強かった

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サーフランチで初開催のCTとなった昨年の『サーフランチプロ』で圧倒的な強さを見せたブラジリアンのガブリエル・メディナ、フィリッペ・トレド。

今年も予選ラウンドからこの二人のサーフィンが際立ち、特にガブリエルはみんながスコアメイクに苦戦していたバックハンドでも安定。バレルにターン、エアリアル。どれをとっても完璧なパフォマースを披露してファイナルラウンドでは1回目のライディングで勝負を決めてしまった。

「長い3日間だったね。世界最高のサーファーに勝てて本当に嬉しい。ファイナルは最初の2本の波が凄い良い感じだった。ジュリアン、フィリッペ、オーウェン、グリフィン、彼らも素晴らしいサーフィンをしていたよ。このままシーズン終わりまで良い結果を残したい。今回、自分のパフォーマンスに本当に満足したし、凄い重要なポイントを獲得出来たよ」
ガブリエル・メディナ

ガブリエルがトップに立ち、フィリッペは…

サービス精神旺盛だったフィリッペ
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前回の『タヒチプロ チョープー』ではチームメイトのオーウェン・ライトとファイナルを争い、ランキングを4位まで上げていたガブリエルは今回の優勝でフィリッペからイエロージャージを奪うことに成功。
2年連続3度目のワールドタイトル獲得に確実に近づいた。

フィリッペは昨年同様にフロントサイドはガブリエルに引けを取らなかったものの、バックハンドのスコアメイクに苦労。
更にファイナルラウンドでは『2019 ISAワールドサーフィンゲームス』で痛めた腰を再発したようで、最後は座り込んでしまった…。

「ファイナルの前に自分がスクリーンに表示された瞬間、非常に緊張したと同時にやる気が出たよ。観客がエネルギーを与えてくれたお陰で最後まで波に乗れたんだ。それに痛みを軽減するためにケアしてくれたWSLのスタッフにも感謝するよ。今日はガブリエルやレイキー、ジョアンの素晴らしいパフォーマンスに興奮したね。イベント全体を見ると最初の波はみんなが予想していたよりも強気だった。今は少しリラックスしたい。次はポルトガルのエリセイラでのQSに出場する計画だったけど、痛みの状態から判断すると無理さ。コンテストジャージを着たいけど、今やるべきことは次のCTの舞台であるフランスに向かい、医者と治療に専念することかな。最後の3つのコンテストでタイトル獲得を狙うぜ」
フィリッペ・トレド

最後は負傷していたとはいえ、沢山の観客の前でスイッチスタンスからのバレルイン、バレルの中でピースサインを出すなどのショーマンシップを見せたフィリッペ。
彼の最後のライドにはスタンディングオベーションが起こるほど盛り上がった。

フィリッペは2位に転落したといってもガブリエルとのポイント差は僅か295。
フランス、ポルトガルと続くヨーロッパレッグ。そして、最終戦のハワイは非常に面白いレースになりそうだ。

五十嵐カノアはランキングを一つ上げる

五十嵐カノアは9位
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サーフランチの波は2015年の公開の前からテストライドなどで何度も訪れ、昨年は4位にも入っていた五十嵐カノア(JPN)
予選ラウンドでは後半までファイナルラウンドの条件内である8位だったものの、最後の最後にオーウェンがスコアを出して今回は9位という結果になった。

それでもランキング的には前回よりも一つ上がって6位。
目標である2020年東京オリンピックの枠もこのままいけば獲得出来そうだ。

ウィメンズはレイキーが優勝

レイキーのエアーリバース
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ウィメンズは予選ラウンドでジョアン・ディファイが見せたバレルライドが最も印象的だったが、優勝したレイキー・ピーターソンの最後のライド、バレルとエアーリバースは見事だった。
ディフェンディングチャンピオンのカリッサ・ムーアも安定感では群を抜き、まだ17歳のキャロライン・マークスも自国のファンを熱狂させていた。

「信じられないわ。神が私を助け、全てを出し切れたのだと感じている。全てが上手くいった最高の日よ。この優勝は’気候変動啓発マーチ’(9月23日に行われる国際気候サミットに先駆け、9月20日に全世界150カ国以上で開催された気候非常事態宣言の発令を求めるために開催されるデモ行進)に参加した全ての人に捧げるわ。最後のランは本当にタイミングが良かった。今年は様々なことにより感情の起伏が激しい。当然、この優勝はワールドタイトル獲得に大きな一勝よ。カリッサ、キャロラインとのオリンピックの代表争いにもね。大きな一歩になったわ。本当に嬉しい」
レイキー・ピーターソン

レイキーは今シーズン2度目の優勝でランキングを4位から2位にアップさせた。
今回3位のカリッサがトップの座をキープして、その差は3,410ポイント。
2位のレイキー、3位のサリーは無冠の女王と呼ばれ、まだワールドタイトルを獲得した経験がない。
それだけにハングリーであるし、4位のステファニー、5位のキャロライン、6位のコートニーも怖い存在だ。

ジョアン・ディファイ 彼女より深くバレルに入った者はいなかった
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次のCTは10月3日〜13日にフランスのホセゴーで開催されるた『Quiksilver Pro France』&『Roxy Pro France』
メンズは第9戦、ウィメンズは第8戦になる。

CT第8戦『フレッシュウォータープロ』結果
1位 ガブリエル・メディナ(BRA)
2位 フィリッペ・トレド(BRA)
3位 グリフィン・コラピント(USA)、オーウェン・ライト(AUS)
5位 ジュリアン・ウィルソン(AUS)、ヤゴ・ドラ(BRA)、エイドリアン・バッカン(AUS)、ジョーディ・スミス(ZAF)

ウィメンズCT第7戦『フレッシュウォータープロ』結果
1位 レイキー・ピーターソン(USA)
2位 ジョアン・ディファイ(FRA)
3位 カリッサ・ムーア(HAW)、キャロライン・マークス(USA)
5位 コートニー・コンローグ(USA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、ステファニー・ギルモア(AUS)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)

2019 Men’s Championship Tour
『フレッシュウォータープロ』終了後のランキング
1位 ガブリエル・メディナ(BRA) 44,695pt
2位 フィリッペ・トレド(BRA) 44,400pt
3位 ジョーディ・スミス(ZAF) 40,195pt
4位 コロへ・アンディーノ(USA) 36,505pt
5位 イタロ・フェレイラ(BRA) 34,600pt

2019 Women’s Championship Tour
『フレッシュウォータープロ』終了後のランキング
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 47,260pt
2位 レイキー・ピーターソン(USA) 43,850pt
3位 サリー・フィッツギボンズ(AUS) 42,070pt
4位 ステファニー・ギルモア(AUS) 39,810pt
5位 キャロライン・マークス(USA) 38,220pt

WSL公式サイト:http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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