リバーサーフィン発祥の地、ドイツ南部の都市、ミュンヘンにあるアイスバッハ川。
1986年頃からサーフィンが行われていると言われ、ディラン・グレイヴスの「Weird Waves」でも紹介されたドイツのシティサーファーには欠かせない場所で悲しい事故が発生した。
2025年4月、33歳の女性サーファーがサーフィン中にワイプアウトした際、川底の岩か何かにリーシュコードが引っかかり、水中に沈み、自力で浮上できない状態に陥った。
現場にいた友人たちは必死に彼女を助けようとしたが、この波は激しい水流で起こる現象のため、現場にいた友人たちが必死にリーシュを外そうとしてもできず、ミュンヘン消防署のレスキュー隊が現場に到着してリーシュコードをナイフで切断して女性を救出した時には、すでに意識を失っていた。
その後、集中治療室で1週間に渡る治療が行われたが、彼女は帰らぬ人となった。
サーフィン禁止と解決策
この事故を受けて、ミュンヘン市当局はアイスバッハ川でのリバーサーフィンを当面の間、全面禁止にした。
現場は封鎖され、「立ち入り禁止」の看板が設置されており、違反者には最大5万ユーロ(約800万円)の罰金が科される可能性がある。
事故後、市はアイスバッハ川の水位を一時的に下げ、ダイバーによる調査を実施。
現場からは小さな金属片が複数回収された。
それが不法投棄された物体であれば、過失致傷や過失致死の可能性もあるが、単なる事故として処理される可能性も否定できない。
この痛ましい出来事をきっかけに、リーシュコードの安全性に対する意識向上を求める声が高まっている。
海でのリーフブレイクにも同様のリスクが存在するが、一定以上のテンションがかかると自動的に外れるクイックリリース式リーシュコードの導入は、有効な対策のひとつと考えられている。
ただし、このリーシュが一般的になれば、リーシュが外れた後でも自力で泳いで危険を回避できる体力や判断力も必要となるだろう。
(染谷たかし)