エルサルバドルで開催されていた18歳以下のサーフィン世界一を決めるWJSCこと『ISA World Junior Surfing Championship』が現地時間9月13日に終了。
サーフシティの名の通り、9日間の大会期間中ウネリは途切れず、ファイナルデーは公式3-4ftレンジのラ・ボカナで進行。
全てのディビジョンでSFとファイナルが行われ、日本の松野太郎がU16ボーイズの銀メダルを獲得。
U18ガールズでは高橋花音が5位になり、国別では昨年の8位を上回る5位になった。
日本代表「波乗りジャパン」の全12名は下が12歳の山本璃々、上が18歳の足立海世と幅があったが、一丸となって世界と戦った。これからCT選手になる可能性があるサーファーと同じ舞台で争った経験は勝敗に関わらず彼らの明るい未来に活かされるだろう。
「波乗りジャパン」素顔を映した公式YouTubeも面白いので、ぜひチェックして欲しい。

Photo: ISA/Pablo Jimenez


3年連続10度目の金メダルを獲得したオーストラリア

今年のWJSCはディフェンディングチャンピオンのオーストラリアの強さが際立っていた。
オーストラリアは2004年の第2回WJSCで初の団体金メダルを獲得した後、2006年から2010年まで5年連続で獲得。
2013年にも獲得した後、1年を除いて毎年表彰台に登りつつも頂点からは10年遠ざかっていた。
そして、2024年にデイン・ヘンリー、ジギー・アロハ・マッケンジーの成功によって10年ぶりの団体金メダルを取り戻し、20255年はU16ボーイズの金メダルを獲得したオーシャン・ランカスターなどの活躍によって継続。
今年は3つの金メダルを含む6個のメダル獲得と圧倒的な結果で3連覇を達成した。
また、U18ガールズではゾーイ・ジーツはオランダにとって初となるWJSCのメダルである銀メダルを獲得。
ルアラ・マンデリが2006年のダイアナ・デ・ソウザ以来、ブラジル人女性にとって史上2度目のメダルを獲得した。
ビクトリア・ムニョス・ラレタはアルゼンチンにとって初となるWJSC女性のメダルを獲得。
ルッカ・バリエントスは2016年のアロンソ・コレア以来となるWJSC男子メダルをU16ボーイズで獲得と4カ国にとっても記念すべき大会になった。
史上最年少13歳のU18ガールズ金メダル獲得

Photo: ISA/Pablo Franco
U18ガールズはオーストラリアの13歳、レイハニ・ゾリッチがファイナルでU18ガールズのハイエストヒートスコア16.00で優勝。
U18ガールズ金メダルはオーストラリア人として2010年のタイラー・ライト以来。
更に13歳でのU18ガールズ金メダルは史上最年少記録となる。
レイハニはU16ガールズで金メダルを獲得した16歳のルーシー・ダラーと共にステファニー・ギルモア、タイラー・ライト、サリー・フィッツギボンズなどのCT選手も持つ9人目のオーストラリアWJSCタイトル保持者になった。
「実はここに来るためのワイルドカードをもらっただけで、ちゃんとしたクオリファイすらしていなかったの。でも枠が決まった瞬間、パパとママに『私、優勝してくる。金メダルを獲るために行くんだ』って言ったわ。家のあちこちに貼り紙を出して、おばあちゃんも『あなたがゾリッチ家の世界チャンピオン第一号になるのよ』ってずっと言ってくれていて、本当にそうなった。まだ13歳なので、U18のISAで優勝するなんて夢にも思っていなかった。だから、信じて夢を見れば絶対に叶えられるんだって思う。最初からチームのグループチャットにも『絶対に優勝できる気がする』って書き込んでいたし、みんなで金メダルを首にかけたAI画像まで作っていたよ。それを現実の世界で本当に達成できて、すごく嬉しい」




唯一オーストラリアの牙城を崩したジェット・モーガン

Photo: ISA/Pablo Franco
U18ボーイズは昨年初の両部門金メダリストとして歴史に名を刻んだスペインのディラン・ドネガンがファイナルデー前日に怪我で敗退した一方、アメリカの17歳、ジェット・モーガンがその名の通りジェット機のような勢いでスコアを出していた。
ファイナルデーでもジェットは良い流れに乗り、SFでバックハンド・エアリバースで9.00を出し、ファイナルは昨年のU16ボーイズ金メダリスト、オーシャン・ランカスターを含む二人のオージー、ブラジルのジョン・ミュラーを相手にパワフルなレールワークで8.43。6.83のバックアップを重ねて激戦のファイナルを制した。
オーストラリアの独壇場を打ち破り、初の金メダルを獲得した。
「今は言葉が出ないよ。言いたいことは山ほどあるのに、うまく言葉にまとめられないんだ。大会中はとにかく集中力を保つことだけを意識していて、特にQF以降は集中した。出し惜しみをせず、持てる力をすべて出し切ろうと努めたのさ。それが実を結んで本当に最高に嬉しいよ。良い波に乗れてめっちゃ上がったね。もう、ファイナルにいるんだから失うものは何もないと考えて、すべてをぶつけた。みんながいなければこれは達成できなかった。両親には本当に感謝している。二人なしではここにいなかった。故郷で応援してくれた友人みんなにも感謝している。信じられない。本当に嬉しい」




Photo: ISA/Pablo Franco
昨年のリベンジを果たしたルーシー・ダラー

Photo: ISA/Pablo Franco
U16ガールズは昨年の銅メダリスト、ルーシー・ダラーがファイナルでアメリカのゾーイ・パネッティーアと優勝を争い、トータル12.40で念願の金メダルを獲得した。
大会を通して好調だったルーシーは、ファイナリストの中で唯一WSLのCSに出場しており、経験も豊富な選手。シエラ・カー、ジギー・アロハ・マッケンジーに続くオーストラリアで3人目のU16ガールズタイトル獲得となった。
ニューサウスウェールズ州サウスコースト出身の16歳。
CSではまだ結果を出していないが、QSではすでにニアス、台湾の6,000で優勝するなどリージョナルではトップの選手。
近い将来、クオリファイ圏内にも入りそうなので、注目しておきたいサーファーの一人だ。
「本当に嬉しい!この大会で優勝することは昨年の大きな目標だった。昨年は銅メダルで本当にあと一歩まで迫っていたので、今年こそは勝ちたいという気持ちがすごく強かったの。チームみんなでお互いのヒートを1つ残らず応援し合って、とにかく最高の時間を過ごしていたので、この1週間はあっという間に過ぎ去った感じがする。優勝できたのは、いわば最高の仕上げみたいなもの。私のすぐ前にロカナが勝って、その後のヒートでベンとオーシャンも活躍して、オーストラリアがどれだけ圧倒的で、素晴らしいサーファーがどれほどたくさんいるかを証明できたと思う。いつかオリンピックに出場できたらいいなと思っている。それが私の一番大きな夢の1つよ。応援してくれたみんな、兄弟や姉妹、おばあちゃん、ゲリンゴン・サーフクラブのウェリ・ボードライダーズの皆に感謝を伝えたい。本当に最高、みんなありがとう!」


U16ボーイズでエアーショーを披露したロカナ

Photo: ISA/Pablo Franco
U16ボーイズはシドニーのノーザンビーチ出身で「Stab High」のジュニア部門であるBottle Rocketsを2度制している15歳のロカナ・カレンがトリッキーなオンショアのコンディションをエアショーに変え、ファイナルのハイスコア8.67を含むトータル16.44をまとめてファイナルの折り返しを過ぎた時点で他3名をコンビネーションに追い込んだ。
後半に松野太郎が6.00を出して4位から一気に2位に浮上したものの、ロカナには届かなかった。
「信じられない。最高の気分!風がちょうど吹いてきて、飛ぶには完璧な条件になった。『とにかく1回セクションを見つけて、しっかり着地させなきゃ』と思って挑戦したら、うまく決まったのさ。最初はあまり良くない波に乗ってしまって、そのあと青ゼッケンの日本の選手が7.17を出したって聞こえたんだ。少し焦ったけど、『よし、一旦全部忘れて集中し直して、やるべきことにフォーカスしよう』って切り替えた。最終的にはすべてが良い方向に向かってくれた。母もここに来てずっとサポートや世話をしてくれたし、オーストラリアチーム全体がこれまでで最高のサポートクルーだった。本当に素晴らしい時間を過ごせた。影で支えてくれるこれほど最高のコミュニティがあって、感謝しかないね。みんな、本当にありがとう!」

フェルナンド・アギーレ氏のメッセージ
一致団結し、準備を整え、物事を成し遂げるときに何ができるかを世界に示してくれたエルサルバドルに感謝します。
私たちは、この美しい国で大会を開催するという素晴らしい経験の一部となれたことを非常に誇りに思っています。
これは単なる偶然ではなく、エルサルバドル政府とエルサルバドルの人々との間の計画であり、共同作業でした。
紛争や困難な状況に満ちた世界において、非常に多くの問題を目にする時、希望を持つことが時にとても困難になります。
しかし、私たちは希望が可能であることの見せ物であり、証明です。人々がサーフィンの大会の周りに集まる時、私たちは平和の中にあるのです。これらの素晴らしい競技の日々は、サーフィンを通じて世界がひとつになったときに何が可能になるかという祝祭でした。
今すぐ帰宅し、この美しい国を思い出して欲しい。願わくは、次のISAの大会の前に戻ってきて、友人や家族を連れてきて欲しい。安全な場所、素晴らしい波、温かい水。エルサルバドル、本当にありがとう。
ISAが掲げる「サーフィンを通じてよりよい世界を(A Better World through Surfing)」という理念は、国境や文化を超えて人々を繋ぎ、平和を築くという強いメッセージを持っている。

『ISA World Junior Surfing Championship』結果

国別団体
1位 オーストラリア
2位 アメリカ
3位 ブラジル
4位 ペルー
5位 日本

U18ボーイズ
1位 ジェット・モーガン(USA)
2位 ベン・ザナッタ・クリーグ(AUS)
3位 オーシャン・ランカスター(AUS)
4位 ジョン・ミュラー(BRA)
…19位 佐藤頼斗
…28位 髙井汰朗
…37位 足立海世

U18ガールズ
1位 レイハニ・ゾリッチ(AUS)
2位 ゾーイ・ジーツ(NED)
3位 ルアラ・マンデリ(BRA)
4位 ビクトリア・ムニョス・ラレタ(ARG)
5位 高橋花音
…10位 窪田怜
…73位 石井有紗

Photo: ISA/Pablo Franco
U16ボーイズ
1位 ロカナ・カレン(AUS)
2位 松野太郎(JPN)
3位 リオ・ルーサー・バー(AUS)
4位 ルッカ・バリエントス(PER)
…10位 和氣堆人
…13位 髙井悠二朗

U16ガールズ
1位 ルーシー・ダラー(AUS)
2位 ゾーイ・パネッティーア(USA)
3位 アラニ・モース(NZL)
4位 タキヘイ・エラコット(TAH)
…25位 石田海夏
…37位 山本璃々
…73位 馬場心
ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/
(黒本人志)





















