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ISA常任理事に井本公文氏が初選出、酒井厚志氏が退任。国際サーフィン連盟2021年次総会

11月23日、国際サーフィン連盟(ISA)は2021年の年次総会を開催し、サーフィン競技の世界的な統括機関として、ガバナンスに関する複数の重要決定を行った。議長はカリフォルニア州ラホーヤ出身のISA会長フェルナンド・アギーレ氏が務めた。

今回は過去最多となる42名の議決権を持つISA会員と、16名の議決権を持たないISA会員が参加。初めてオンラインで開催された。

初バーチャル総会の準備を進めるアギーレ会とエグゼクティブ・ディレクターファスーロ氏 Photo: ISA
初のバーチャル総会の準備を進めるアギーレ会長とエグゼクティブ・ディレクターのファスロ氏
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総会ハイライト

ISA副会長2名と常任理事1名の選出

2度の投票の結果、カースティ・コヴェントリー氏(ジンバブエ)とカリン・シエラルタ氏(ペルー)が副会長に再選。井本公文氏(日本)が新たに常任理事に選出された。この3名は、東京2020オリンピックにおけるサーフィン競技の成功を含め、国際的リーダーとして長年に渡るISAへの貢献が再確認された。

コヴェントリー氏は、女子個人水泳選手で、アフリカで最も成功したオリンピアンと言われている。2000年のシドニーから2016年のリオまで5大会連続で出場し、2004年のアテネ大会と2008年の北京大会では金メダルを獲得。2013年からは、国際オリンピック委員会(IOC)のアスリート委員会に所属し、2018年から2021年までは委員長を務めた。

シエラルタ氏は、2008年にISA副会長として初選出。ISA理事会の任期は4年で、今回が4期目の再選となる。1980年以来熱心なサーファーであり競技者でもあるシエラルタは、プロのサーフィンイベントの発展に尽力するとともに、ラテンアメリカ各地で国際的なサーフィンイベントを開催してきた人物だ。

井本氏は、日本サーフィン協会(NSA)の副理事長で元トップコーチ。ISAワールドサーフィンゲームズやISAワールドジュニアサーフィンチャンピオンシップに日本代表のコーチとして参加した。また東京オリンピックでは、大会組織委員会のサーフィンスポーツマネージャーを務めた。今回の五輪での成功を以ってISA理事会の日本代表を退任した酒井厚志氏の後任となる。

ウクライナが109カ国目の加盟メンバーに

ウクライナサーフィン連盟を新たな加盟国として承認。ウクライナサーフィン連盟は世界で109番目のISAメンバーとなり、若く発展途上のサーフィン地域におけるサーフィン競技の成長を示している。

役員任期を3期までに制限

ガバナンス改革を目的としたISA定款・細則の一連の改正も可決され、特に2022年からのISA理事会の任期を最長3期までに制限することに決定。この任期制限は、オリンピック・ムーブメントのグローバル・スタンダードに沿ったものとなる。

代表者を2名から3名に、そのうち1名は必ず女性

年次総会に出席できる代表者の数を2名から3名に増やし、そのうちの1名は必ず女性であることが条件となった。ISAは今後さらに女性の総会参加を促進していく。オリンピックムーブメントの指針に沿って、ISAはジェンダー平等へ率先して取り組むことと、より多くの女性がリーダーを担うという方針が再確認された。

定款改正

ISA定款の目的に、どんな形態の差別も行わないこと、男女平等、文化的寛容、健康的な生活、という原則を含めることを承認した。この改正はISAの中核的な価値観を強化する重要なものとなる。

その他

  • アギーレ会長は、東京オリンピックでデビューしたサーフィン競技や、2024年のパリへの選考プロセスの最新情報など五輪関連の報告を行った。また、2028年のロサンゼルス大会、2032年のブリスベン大会を見据え、オリンピックへの長期的な参加や、オリンピック大会の分配資金の獲得など、会長としての最重要目標を発表した
  • スタンドアップパドル(SUP)に対する世界各国の会員のサポートと、将来の大陸別大会やオリンピックにSUPが含まれるようにキャンペーンを行うISAの計画を発表
  • ISAアスリートコミッション、メディカルコミッション、アンチドーピング、パラサーフィンを含めた持続可能性と開発に関して報告
  • 2022年 ISA SUPアンドパドルボードチャンピオンシップ』をプエルトリコで開催することを発表

ISA会長フェルナンド・アギーレ氏は次のように述べている。

東京2020でオリンピックデビューという大成功を収め、サーフィン界とISAにとって歴史的な年となりました。これを受けて行われた今回の総会は、世界中での発展と近代化への旅を継続するための非常に重要なものとなりました。

近年実施してきた改革、そして今回行われたガバナンスの改正は、オリンピックムーブメントに沿った国際連盟としてのISAの歩みを象徴するものです。私たちはサーフィンを世界中で発展させ、新しい地域で広め、オープンで包括的、そして常に最高レベルの誠実さと透明性を持って組織を運営する力があり、またコミットしてきたことを誇りに思います。

また、再選されたISA副会長のカースティ・コベントリー氏とカリン・シエラルタ氏、そして新たに選出された理事会メンバーの井本公文氏にもお祝いを申し上げます。同時に、私たちの親愛なる友人である前任の酒井厚志氏の模範的な活躍に感謝したいと思います。これらの理事会メンバーの国際的なスポーツ界でのリーダーシップと経験はISAの財産であり、すべての人にとってより良い世界のためにサーフィンを世界的に普及・発展させるために、彼らと一緒に仕事を続けていくことを楽しみにしています。

ISA会長フェルナンド・アギーレ氏

(THE SURF NEWS編集部)

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