PHOTO:© WSL

ケリー・スレーターとパイプラインの歴史

WSLが正式に2021年CTシーズンを公表。
メンズは12月8日からパイプライン、ウィメンズは12月4日からホノルアベイで開幕する。

次シーズンのスタートが具体的になった今、WSLは開幕戦で優勝候補になる8名の選手を順次ピックアップ。
まずはパイプラインで7度の最多優勝記録を持つケリー・スレーターを取り上げた。

ケリーが初めてパイプラインを制したのは1992年。
テイラー・スティールの名作’モーメンタム’がVHSで登場、世間的にはトム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミー・ムーア共演の映画「ア・フュー・グッド・メン」が公開された頃。
フロリダ出身のケリーがサーフィン界を根底から揺さぶるようなパフォーマンスでワールドチャンピオンのバートン・リンチ、サニー・ガルシア、リアム・マクナマラをファイナルで倒した。
それはニュースクール世代の幕開けを告げるものだった…。

あれから約30年

(2019年のパイプライン SFに進出したケリー)
PHOTO:© WSL/ Sloane

その優勝から約30年。
パイプラインマスターズで7度の最多優勝記録、5位以内が21回と驚異的な強さを誇る。
アメリカ本土の選手が通算10回、その内の7回がケリーだと言えばその偉業の凄さが理解出来るだろう。
更に3度のトリプルクラウンを獲得、その内の一つは2019年、47歳にして成し遂げたのだ。

音楽や映画が30年の間に変わったように1992年と2019年のケリーは違うサーフィンをしていたが、若さの泉を手に入れたのか、過去5年間のパイプラインでのパフォーマンスは変わらずポイントを押さえていた。
実際にワールドチャンピオンを除けば、ケリーはノースショアのリーフで無敵の存在なのだ。

2015年から2019年の5度のパイプラインマスターズで敗退したケリーのヒートの3回はワールドチャンピオンとの対戦だった。
2017年にはガブリエル・メディナにR5で敗れて9位、これは2015年以来、パイプラインマスターズで最悪の結果。
2019年、イタロ・フェレイラにSFで敗れた時はトータル2.57という屈辱的なスコアだった…。

パイプラインでケリーに勝つには?

(2019年は1998年以来、21年振り3度目のトリプルクラウンを獲得) PHOTO:© WSL / Cestari

ワールドチャンピオンほどの実力がない限り、パイプラインでケリーを倒すのは困難であることは数字が示している。
彼はこの場所にサーフィン人生を捧げ、家を持ち、過去30年に渡って優勝と素晴らしい結果を重ねている。

コロナ禍をインドネシアのバリ島で過ごし、数々のバレルをメイクする映像が公開されているが、今の彼のサーフィンは本当に良い状態であるだけではなく、今までに見たことがないほどフィットしている。
サーフィンに集中して体型も整っていることは明らかだ。

ここ数年、私たちは’今年が最後のツアーになるのか?’とか、’12度目のワールドタイトルは獲得出来るのか’という疑問にいつも悩まされてきた。

パイプラインが開幕戦というケリーにとって最高のスタートになる次シーズン。
彼の歴史的なキャリアは物語のような結末を迎えることになるのでは?

参考記事:Toughest On Tour: Kelly Slater And Three Decades Of Winning At Pipeline

(空海)

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