パドリングの真実、その三

シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 54

サーフィンは楽しみながらうまくなる

≫パドリングの真実、その一
≫パドリングの真実、その二

練習は嘘つかない

ネットで検索すると、サーフィンのパドルについていろいろなアドバイスにヒットする。「なるほど〜」と、試してみたくなるヒントや、「このライターはほんとうにサーファーかな?」と疑ってしまうような内容もじつはある。

例えば、パドルのときはサーフボードを左右にゆらせてパドルといっているサイトがあった。ボードを左右にゆらせると、かえって抵抗になるのではと思いそのサイトに質問してみたところ、いつのまにかページが削除されていた。

どこそこの筋肉を使うと疲れないパドルが可能、肘をこの角度でこうして、そして体の位置はこうで、あーしてこーして…ってそんなこと考えてパドルできるかな?と思うようなサイトもある。サーフィンのテクニックは簡単なことでも言葉にするとややこしくなりがちだ。使えそうだと思ったときは、忘れずに海で試してみればいいと思う。

しかしパドル強化の基本は、『パドルはパドルで鍛える』ということだから、パドルの「効率」とか「フォーム」などについては考えすぎないで、とにかくたくさんパドルすることを心がけたい。

ビギナーで最初からパドルのフォームが美しい人はいない。パドルのフォームは、サーフィン続けていくとしだいに正しくきれいになっていく。なぜならば人間には本能的な学習能力があって、効率よく無駄なくパドルできるような体型に変化していくからだ。その潜在的な人間の能力を最大限に生かす。そのためにはサーフボードに腹ばいになって海でパドルするのが一番。とにかくサーフィンをしながらパドルするのだから、楽しいことは誰だって続けられる。

千葉のビーチブレイク、1時間42分のセッションで3.5kmのパドリング。波の数は12本。もっとパドルの距離を伸ばして、2時間で5km以上にはしたいと個人的(筆者)に思う

週2回は可能だ

最近はスポーツ科学が発達して、筋トレを行うアスリートが常識となっている。サーフィンのためにスイミングやヨガなどを取り入れているサーファーも多く、その効果を実感している人も多いだろう。

サーフィン以外のトレーニングを否定はしない。しかしトレーニングは、単調で退屈だ。プローサーファーを目指すとかビッグウェーブに挑戦という明確な目標設定がないとなかなか続けられない。

サーフィンをシンプルに楽しみたいだけと思っている人ならば、『サーフィンの回数を増やす』のが一番いいとわたしは思う。理想は週2回のサーフィンだ。しかも、土日連続ではなく平日のサーフィンを1日加えて週2回。

「そんなの無理〜」という声が聞こえてきそうだ。週2回は無理と思う人は、優先順位の一番上にサーフィンをランクアップさせたらどうだろう?もし、仕事が大好きならば、その次の2番くらいへ…。

ライフスタイルを変えることがいますぐには無理だとしても、長期計画で、サーフィンに時間が掛けられるような生活に変えていくのはどうだろう。例えば都内から千葉や湘南へ住まいを移ればサーフィンの回数が増やせるだろう。

仕事で忙しくても、早朝サーフィンや薄暮のサーフィンはどうだろうか?もし、それができれば週7回だって可能になる。

わたしがサーフィンを始めたころ、仕事帰りや仕事前にサーフィンをした。家から最寄りのサーフポイントまで車で20分くらいだったから、夏の時期ならば2時間くらいはサーフィンができた。平日に1日2回のサーフィンだって可能だ。

海が遠い人は、サーフシティと呼ばれるエリアへ引っ越すのはどうだろう?または時間を拘束されない仕事に転職するのはどうだろう?車がない人は、マイカーを手に入れると海がぐっと近くなる。

車が無い人は、艇庫を借りるのも良いだろう。艇庫:サーフボードガレージを用意しているサーフショップが湘南にはかなりある。

サーフポイントの近くにビーチハウスを共同で借りるなんていうのもありだよね。波の豊富な海外へ移住という選択肢も夢ではない。じっさいにそうしている人はたくさんいる。

パドルは週一で強くなるか?

週一でパドルを強化したいと思ったら、パドルの距離を増やすしかない。人と同じことをしていては、上達は望めない。ちょっとしたアイデアとそれを実行にうつす勇気があれば、新しい展開が開ける。

七里が浜の小動岬からスラムダンクの交差点まで約600m。駐車代の安い腰越漁港に車を停めて、小動岬からパドルアウトして各サーフポイントを平行移動。往復すればサーフィン+1.2kmのパドルのトレーニングとなる

1日に2セッション

パドルの強化に裏技は無い。もし週一回のチャンスしかないのであれば、その日を有効に使うだけだ。そこでまず最低2回はサーフセッションができるようにスケジュールを組む。波がショボくても、くさらないでパドルアウトしよう。昼飯食って再セッション。海水が冷たいときはウェットスーツを二枚用意しておくとやる気になる。

パドルする距離を伸ばすのもアイデアだ。ビーチブレイクなどのポイントが続くところでは、離れたポイントからパドルアウトして平行移動しながら目的のポイントへと向かう。わたしはこの方法を使ってパドルを強化している。

鎌倉などでは、腰越漁港に車を駐車しそこからパドルアウトし、海のなかをパドルで平行移動していく、あのスラムダンクの交差点くらいまでパドルすると片道600mくらいだ。

しかし短期間に集中して身体に負荷をかけると故障しやすい。パドルの場合はだいたい肩を痛めてしまう。パドル筋は時間をかけて作っていくのが理想だから、週に複数回サーフィンに行ける人は、身体を休ませることも考えよう。筋肉は休んでいるときに発達する。

まとめ

良いアドバイスはどんどん取り入れて、自分流のパドルのトレーニングを確立しよう。サーフィンしながらパドルの強化が理想、そのためにはライフスタイルの大胆なアップデートが必要かもしれない。

(李リョウ)

≫パドリングの真実、その一
≫パドリングの真実、その二

blank

「国内外サーフィン界の最新トレンド・ニュースを読み解く」をコンセプトに、最新サーフィンニュースをお届けします。

※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。