パドリングの真実、その二

シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 53

パドルはポジティブ思考で楽しくなる

『サーフィンはパドルだ』ジェリー・ロペス

さて何キロパドル?

≫パドルの真実、その一

パドルと向き合う心の姿勢

サーフィンはパドル。この言葉の解釈(かいしゃく)は人によってさまざまだろうけれど、とにかく「パドルもサーフィン」と考えるってすばらしい。この言葉を知ってから、積極的にパドルを鍛えようと、わたしは考えるようになった。しかたなくやるパドルが、やってみたくなるパドルに変わった。『パドルを鍛える=サーフィンの上達』となったのだからポジティブにパドルと向き合うようになった。この差は大きい。

パドルは、パワーではなくエンデュランス(回復力)

さて、サーファーがパドルで目指すゴールは、パワーでなくエンデュランス『回復力』をつけることだ。筋トレでマッチョになることではない。

それはサーフィンのパドルは競争ではないからだ。パドルの目的は2つ、『移動と波のキャッチ』だ。波をテイクオフするエリア(ラインナップ)までパドルで行き、そしてパドルで波を捕らえる。この2つ、そしてそれを繰り返す、それだけがパドルの目的。

ヨーイドンで誰かと競いあうのはパドルの目指すところではない。ゆっくりパドルして時間が掛かってもいいから、目的の場所へ到着すればそれで任務完了。波のキャッチも、パワーよりもコツだ。適正な浮力のサーフボードと、それをプレーニングさせるタイミングが重要で、全速力で100メートルをパドルなんてことはない。

エンデュランスとメンタリティー

パドルは、疲れたら休む。休んで回復したらまたパドル、そして疲れたらまた休む。これの繰り返し。このルーティンを増やすのが、そのままパドルのトレーニングとなる。つまり『パドルはパドルで鍛える』。それ以外はなにもしない。筋肉は休息もたいせつだ。

ただ忘れてはならないのは、「疲れるから嫌だな」というパドル中のメンタリティーだ。「嫌だ」というネガティブな思考が、あなたの脳へダイレクトに指令され、サーフィンのパフォーマンスさえも低下させる。

「パドルが強くなる=サーフィンが上手くなる」とポジティブな思考であればパドルが楽しくなる。ワンストロークごとにサーフィンが上手くなっていくのならば、やるでしょ!

パドルした距離は7.2km、サーフした距離は1000m。3時間24分かけて15本、頭からオーバーヘッドのリーフブレイク、これもセット間隔の長いセッションだった

パドルするだけ、あとはなにもしない

超ビギナーは、初めてパドルをすると、30分くらいでくたくたになり、パドルができなくなる。そして、すぐには回復できない状態となってしまう。それは『バテる』というやつだ。こうなるといくらがんばってパドルしようとしても無理。人によっては回復するのに数日掛かることもある。

しかし、サーフィンの回数を重ねて、繰り返しパドルのルーティンを続けると、日毎に回復力がついてくる。「今日はもうダメだ」となっていたパドルに、だんだんエンデュランス
がついてきて、数分間休むだけでパドルが回復するようになる。「あれ?今日はバテないぞ」となったらこっちのものだ。

さらにサーフィンを増やしていけば、その回復に掛かる時間がどんどん短くなり。やがて数十秒でパドルの力が回復するようになる。週二回サーフィンができれば、パドルのエンデュランスは確実に向上する。

じゃあジムやプールでトレー二ング…と考える人もいるかもしれないが、『パドルはパドルで鍛える』のがベスト。それ以外は何もしない。それよりも週二回以上、海に行けるスケジュールが立てられないか作戦を練る。サーフポイントの近くに引っ越すのも良い。

パドルで波をこえてラインナップへ、「やっと着いた」と力を出し切ったとしても、エンデュランスがついていれば、数十秒でふたたびパドルができるように力が戻る。そうなってきてこそサーフィンの楽しさが実感できる。

週二回は無理か?

『パドルはパドルで鍛える』これが理想。ようするにサーフィンの回数を増やせば、パドルの時間も増えるし長続きする。ジムやスイミングプールでのトレーニングも否定しないが、基礎トレーニングは地味で退屈だから、続かない。たいていは三日坊主だ。

『サーフィンしかしない』というサーファーはこの世界にはたくさんいる。そのような人たちは、サーフィンに行ける回数を増やすくふうをしている。もういちど今の生活を見直してみよう、無理と思っていた週二回がくふうしだいでは可能になるケースもあるはずだ。

それでも週一でなんとかパドルのレベルアップをしたい。と考えている人は『パドルの真実、その三』で詳しくアドバイスしてみたいと思う。

まとめ

『パドル=上達』のポジティブ思考が大切。『パドルはパドルで鍛える』あとは何もしないで、海に行ける回数を増やす。パドルは、パワーでなくエンデュランス、疲れても回復すれば、それでOK。パドルはサーフィンを楽しみながら鍛えるのが、長続きするコツだ。

(李リョウ)

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