掟やぶりのサーフボードチューニングのススメ

すぐそこに迫った台風シーズンに備えて、サーフボードを改造してみた

シリーズ「おいらはサーファーの味方」No. 35


夏がすぐそこ、いやもう夏!つーことは台風シーズン!

さて筆者は、台風シーズンをまえにして毎年テーマを設定している。マキシムサイズの波に合わせて9フィートのガンを作ったこともあるし、河口のバレル用に、スタビーなトライフィンをシェープしたこともある。
今年は4~6フィートのリーフブレイクで、「楽しく乗れるボード」をテーマとした。

4~6フィートというと頭サイズからオーバーヘッドで、セットはもう少し大きいという感じかな。5フィートクラスのボードでもサーフィンは大丈夫だけど、もし波が何日も続くとなるとちょっと辛い、ようするにおじさんには体力が無い。いちばん波が良いときに、もう体力がヘロヘロなんてこともある。

チューニング:プラのフィンをテンプレートに、プライウッドをシェープ&グラスオン!

体力不足には「大きなサーフボード」でサーフするのが賢い選択。浮力があるボードはパドルが楽、だから体力を温存できる。
さて、大きなボード(浮力があるファンボード)で、台風の波を攻略というテーマで思いついたのが、昔使っていた7’1”のミッドレングスと7’6”のミニガンをチューニング(リメイク)すること。どちらも古いボードだけど、チューニングで若返らせてみようと思ったわけだ。

【チューンナップその一】
レトロなウッドフィンを、レトロなボードにグラスオン

マイク・ヒンソンのフライングフィッシュ

レトロな空気感たっぷりのボードだから、ウッドフィンがどんぴしゃり

エイジングしたボードにはウッドフィン

このボードは10年くらい前に、あるサーフブランドの倉庫で見つけたのを、一目惚れして譲っていただいた中古ボード。美しいアウトラインのハンドシェープで乗っても調子良かった。でもね、フィンがプラスチック製でなんか安っぽかった。しかもフィンボックスが粗悪で、フィンが外れやすく大丈夫かなと心配していたらやはり外れて、ボードはそれ以来お蔵入りしていた。

フィンプラグの上に、ウッディなツインスタビをグラスオン。ノーズとテールもリペア。

そのボードを蘇らせるために、フィンをウッドでシェープしてグラスオンしてしまったというわけだ。ウッドフィンのテンプレートは、残っていたプラのフィンからアウトラインを取り、グラインダーでシェープ。それをファクトリーでグラスオンしてもらった。

ちなみにグラスオンというのは、サーフボードのラミネートに使用するレジン(樹脂)とガラスウール(ガラス繊維)を用いて、フィンをボードへ直接に接着してしまう伝統的な工法のことだ。

ボードの長さは7フィート1インチあるから大きな波にも対応できる。このようなフィンセットアップでウッドフィンというのは、レトロのようでじつは新しいトレンド。

イケてなかったプラスチックのフィンを、グラスオンのウッドフィンに変えるとどのくらい乗り味が変わるか、台風到来が待ち遠しい。楽しく乗れそうなボードの一丁上がり。

【チューンナップその二】
グラスオンを最新のフィンプラグに付け替え

モーリス・コールのナインティーズ・ミニガン

90年代のサーフボードの特徴は、薄く細く、ロッカーもかなりきつめにシェープされていた。そんな時代じゃないかな?ケリーもまだ若く、ニュースクーラーがブリブリ言わしていた頃。だから、90年代のボードはユーザーフレンドリーではない。ようするに浮力が無い。

マスターボードビルダーのO氏が、「マジでフィン取っちゃうんですか?」と 言いながらも、筆者のわがままにつき合ってくれた。

このモーリス・コールはそんな90年代のボードで、昔ジェフリーズベイに行ったときに衝動買いした。7’6”もあるのに薄くて細く、ロッカーもホレホレの波でちょうどいいみたいな感じ。だから日本に持ち帰ってみたもののほとんど出番は無しだった。

出番のなかったミニガンをミドルサイズで使う

まあそんなこんなで、長らく冬眠していたこのボードの埃を払ったのが、昨年の初夏。インドネシアのGランドに行くことになって、このボードを持っていくことにした。
だけど、このボードはフィンがグラスオン。ボードケースに入らないというか、無理やり入れてもテントを張っているような感じ。
だからフィンを外して、プラグを付けることにした。クアッドで乗ってもいいんじゃねえか?と、かなり邪道な企みも頭をよぎった。

このような大手術は、ファクトリーでしかできないから、スタッフにわがままを聞いてもらった。サーフィンをよく知るスタッフは大反対、グラスオンこそ最高のフィンセットアップだからもったいないとのご意見。でもね、輸送中にフィンが折れたりしたら、それこそ最悪だからと説得。シャーないですねと言いながらフィンを取り去る。するとボードが若干非対称であることが判明、ハンドシェープだからよくあること、その調整も考慮しながら完璧に仕上げていただきました。

トライでもクアッドでも、その日の気分で…。ジョーカーの靴のようにとんがっているノーズ

さてG-ランドでは、波が大きくてほとんどこのボードしか使わなかった。日本ではひときわ長いボードだけど、G-ランドでは「もっと長くてもいいかな」と思うほどで、十分に真価を発揮してくれた。残念なのが、筆者の体力と技術不足でした。苦笑。今回のテーマ以前にチューンナップしたわけだけど、これで頭サイズの波を攻略すれば、「楽しく乗れそうなボード」となりそうだなと筆者は考えたわけ。

このチューンナップで改めて感じたことは、最新のフィンプラグを取りつけると、時代おくれのサーフボードが生き返るってことだった。例えば、70年代のシングルフィンをトライやクアッドにしてみたり。MRタイプのツインフィンを取り去って、ツインスタビにしたり、とやり方はいろいろある。古いサーフボードをどこかで手に入れたら、グラインダーでオンフィンを取り外して、新しいフィンセットアップにチューンナップしてみようと思う。掟やぶりのチューンナップ、あなたもいかがでしょう?

(李リョウ)

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