来季ワールドツアー入りは現実的なのか。大原洋人のCTクオリファイ条件を考察

Photo: WSL/MASUREL

 

ハワイ・オアフ島のハレイワ・アリイビーチパークで開催されているトリプルクラウン初戦『Hawaiian Pro』は、現役CT選手を含むトップシードが登場するラウンド3の全ヒートが終了、BEST32名のサーファーに絞られた。

今大会、日本期待の大原洋人、新井洋人は残念ながら共にラウンド2で敗退。

QSシリーズのクライマックスとなるハワイの2連戦。特に、日本人選手として初のCT入りがかかっている大原洋人に注目が集まっていたが、これで残る可能性はQS10000の最終戦、サンセットで開催される『Vans World Cup』の成績次第という形になった。

大原洋人はここハワイで来季CT入りを決めることができるか。まだ数字上の可能性は残されているものの、現実にはかなり厳しい状況。今回はこの「クオリファイの条件」について、その指標を分析してみたいと思う。

 

CTクオリファイに必要なポイント、具体的なライン

世界最高峰のサーフィンレースである、チャンピオンシップツアー(CT)の参加資格を得るには、世界中で行われているQSコンテストに出場してポイントを稼がなければならない。QS世界ランキングで10位以内に入ることができれば、現CTの下位選手10名との入れ替えで、翌年のCTに参加することができる。

今年、2017年のQSシリーズはあと数戦残されているが、その大会で獲得できるポイントは大会毎のグレードにより異なる。CT入り(クオリファイ)を狙う選手にとっては、よりハイグレードなコンテストへの出場が必須、そして結果を残せるかが鍵となる。

現在の日本国籍サーファー最高位、既に世界ランキング18位(11/20現在)まで上り詰めている大原洋人であっても、その壁は厚くまだまだポイントが足りない状況。では、CT入りを成し遂げるためには、およそどれくらいのポイントが必要なのか。

昨年の最終ランキングを例に挙げると、各選手のポイントは以下の通り。

今年はQSランキングを独走中の「ジェシー・メンデス(BRA)」も昨年はトータル17,710ptで13位、CT入りを逃した

 

昨年2016年のQSランキングで見ると、ランキング10位の「ジャック・フリーストーン(AUS)」までがクオリファイ確定、最終ポイントは18,800pt。ただし、ランキングのトップ10に “翌年も残留が決まっているCT選手” が含まれている場合、その人数分が繰り上げとなる。

昨年は最終ランキングで5位の五十嵐カノア(USA)が、自力でのCT残留を確定させたため、11位だった「イズキール・ラウ(HAW)」までがCT入りという結果。

「クオリファイに必要なポイント数」は、上位選手に含まれるメンバーや、他の選手が既に獲得しているポイントなどによりそのラインは異なるが、昨年ギリギリでクオリファイを果たした「イズキール・ラウ」や、わずかに届かなかったランキング12位の「ビノ・ロペス(BRA)」の獲得ポイントを考慮すると「最低でも18,000pt以上」がひとつの目安と言えるのではないだろうか。

※同じクイックシルバーのチームメイトであり、既にCTに参戦している“五十嵐カノア”が、最終戦のパイプラインマスターズで活躍。CT側のランキングを上げ自力での残留を決めたため、ジークことイズキール・ラウのCT入りが確定し話題となった。

 

現在の2017年ランキング状況と、今後の動きについて

今年、本格的にCT入りを目指していた大原洋人の獲得ポイントは『Hawaiian Pro』出場の時点で11,580pt。
このトータルポイントは、これまで出場したコンテストのBEST5、最も成績が良かった5戦の結果を合計してトータルポイントとするもの。

大原洋人の場合、現在5戦のうち最低ポイントとなるのが、ポルトガルで行われたQS10000「EDP Billabong Pro Cascais」にて、25位となった1,100pt。
今回の『Hawaiian Pro』ではラウンド2の3位敗退で65位、獲得ポイントは600ptのため大原洋人が持つ最低ポイントを上回ることができず、トータルポイントはそのまま。

前途の通り残された可能性は、QS10000シリーズの最終戦となる『Vans World Cup』のみとなるが、上記1,100ptとの差し引きで考えると、大原洋人がトータルポイントを18,000ptの大台に乗せるためには、最低でも2位の8,000pt以上が必要という計算だ。
(もちろん、年間の試合数=獲得可能なポイント数は限られているため、上位選手の獲得ポイントが多ければ多いほどクオリファイのラインは低くなる計算だが、混戦になればなるほど安心はできない状態。できれば優勝の10,000ptが欲しいところ)

 

現在行われている『Hawaiian Pro』の結果によりまたランキングは大きく変動。最終戦の結果によりランキングを持ち直すことはできるが、CTクオリファイには2位か優勝が必要という計算

 

ただし、この「最終戦の結果次第」という状況は、大原洋人に限ったことではない。

来シーズンのCTクオリファイを狙うQSトップ選手は当然のことながら、ツアー残留が危ぶまれる現役CT選手、さらには、世界のコンテストサーファーにとって大きな栄冠でもある「トリプルクラウン」の称号を狙い、ジョン・ジョン・フローレンス、ガブリエル・メディーナ、ジョーディ・スミス、エイドリアーノ・デ・スーザなど、ワールドチャンピオン含むCTトップ選手も多数エントリー。

 

こうした世界の強豪を相手に結果を出し、このハワイで来季ワールドツアー入りを決めることができるか。

『Vans World Cup』は、現地時間11月25日(日)~12月6日(水)までの期間、最もコンディションが良い日程で開催される予定。

大原洋人のチャレンジに皆で注目しよう。

WSLオフィシャルサイト

 

Photo: WSL/MASUREL

昨年の『Vans World Cup of Surfing』ファイナルデーハイライト。優勝はジョーディ・スミス!

 

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