2020年7月の様子 Photo: THE SURF NEWS

牧之原・静波のウェーブプール。コンクリート施行まもなく完了、開業時期検討へ

昨冬発表された、静岡県牧之原市静波におけるサーフスタジアムジャパン株式会社(SSJ)のウェーブプール建設計画。テキサスのBSRサーフリゾートと同じAmerican Wave Machine社(AWM)の造波装置PerfectSwellを使用した本格的なサーフィン用施設が、遂に日本に誕生するとサーファーの注目を大いに集めている。

当初2020年秋開業となっていた本施設の現状を探るべく、THE SURF NEWS編集部は7月某日、静波海岸からすぐの建設現場に向かった。

ようやく情報解禁となった7月取材時点の写真と共に、最新の現状をお伝えする。


まもなくコーンクリート施行完了

2020年7月の様子。約半分は既にコンクリート施行がされている。 Photo: THE SURF NEWS

これまでの経過を振り返ると、今年1月に開発許可がおり、2月には造成作業を開始し、木の伐採や古い建物の撤去を行った。その後、春からは土地の整備を進め、夏からはコンクリート施行作業に着手した。

全体的に国内での建設作業は順調に進んでいたが、新型コロナウイルスの影響で一部アメリカからの機材搬入等の遅延が発生。それでも、10月上旬にはコンクリート施行もほぼ完了予定で、その後電気配線や機械類の工事に取り掛かる。

1台2.5トンのモーター。全部で12台導入される。 Photo: THE SURF NEWS

7月の取材当日は、アメリカ本国から届いたサイレンサー(エンジンの音を消音にする機材)とブロワー(モーター)の搬入が行われた。ブロワーは、サーフィン向けの波を生み出す造波装置PerfectSwellの要の装置で、1台2.5トン、250馬力あり、全部で12台導入される。

総工費のうち、1/3程度がこのPerfectSwellの機械の費用となる。残りは土地の取得費用や工事費用にあてられ、工事には十数の建築業者、総勢60名程度が関わっている。

ブロワー部分 Photo: THE SURF NEWS

ウォーターパーク建設第一人者が率いる一大プロジェクト

SSJ安達俊彦代表取締役とともに、この巨大な施設の建設プロジェクトを率いているのが、同社建設プロジェクト室長である三海正春氏。一級建築士の資格を持ち、これまでに大磯ロングビーチやナガシマスパーランドなど国内有数のウォーターパーク建設を手掛けてきた、いわばプール建設の第一人者だ。

三海正春氏 「マツコ&有吉 かりそめ天国」にウォーターパークの専門家としてゲスト出演したこともある Photo: THE SURF NEWS

これまで数々のウォーターパーク建設に携わってきた三海氏は、今回の造波装置について「日本のプールはろ過設備などの技術はとても高いですが、AWMの素晴らしいところはなんといっても本格的なサーフィンができる波(巻波)で、現時点では国内に存在しないハイスペックな技術」と話す。

三海氏によれば、これまでのプールで波を立てる技術は一般的に3つに分類され、AMWはニューマチック方式にあたる。AMWはサーフィンをするために必要な波の生成について造詣が深く、この造波方式をベースとしながらも、独自の技術が多く盛り込まれているという。

更に、今回日本独自の仕様として、より狭い土地でも設置できるような排水装置を三海氏が提案。これによりテキサスのBSRサーフリゾートに比べて、短い横幅でもプールが設置可能になった。

AWMはニューマチック式、Wavegardernはフラップ式、サーフランチの造波方式はこのいずれとも異なる(三海氏提供資料)

波のオペレーションは現在検討中

SSJ安達代表取締役は、開業後の詳細なオペレーションについて思慮している。1セッションで生成する波の本数については、日本の安全基準に合致する範囲でできるだけ多くの本数を出せるよう現在検証中。

更に、約1時間のセッションのなかで、レギュラーとグーフィーの波の割合どうするかといった点にも心を配る。

セッションの前後半で、ちょうど半分ずつ左右の波を出し分ける案もあるが、「海を見てると圧倒的にレギュラーに進む人が多い。セッションの真ん中でライトとレフトを切り替えた場合、グーフィーの波が苦手な人でも“練習”と思って乗ってくれればよいが、お金を払って乗る波なので“ただ楽しみたい”と思う人にとってはライトの波だけの方がいいのか。悩みどころです」と、サーファーの満足度を更に向上させるべく、日本のサーファーの特性や心理に思いを巡らせる。

ちなみに、利用者の好みにあわせてレギュラーとグーフィーを頻繁に切り替えると、波が落ち着くまでのインターバルが長くなってしまうため、あまり現実的ではないという。

その他にも、中級者向けレッスンの実施や、自分のライディング映像を購入できるサービス、プールの肝となる波のオペレーターの育成、スポンサーの獲得など、開業に向けて多岐にわたる準備を進めている。

Surf Stadium Japan安達俊彦代表取締役 Photo: THE SURF NEWS

開業時期は、新型コロナウイルスの情勢も鑑みる必要があり決めかねているという。当初の2020年秋開業予定からは多少遅れているが、機材輸入をはじめ各方面で新型コロナの影響を受けているにも関わらず、年単位での遅延が通例ともいえるウェーブプールにおいて、比較的円滑に進んでいるのは嬉しいニュースだ。

今後新型コロナ感染の再拡大を含め開業を遅らせる原因がこれ以上発生せず、早期に波が見られることに期待したい。THE SURF NEWSでは今後の続報もお届けしていく。

(THE SURF NEWS編集部)

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