西世古篤哉 Photo:神尾光輝

13歳のオフィシャルサポーター。西世古篤哉がメキシコチームの日本滞在をサポート

2020年東京オリンピックの選手選考を兼ね、CT選手も多数参加。
世界55カ国、240名が集まり、ISAでは過去に例がないほどのビッグイベントになった『2019 ISA World Surfing Games』。
全9日間に渡って開催された本イベントは、予想通りブラジル、アメリカ、オーストラリアなど強豪国の強さが際立った大会ではあるが、日本代表“波乗りジャパン”も昨年に続き開催国に恥じない活躍を見せ大きな話題となった。

また一方で、本大会には「参加することに意義がある」というオリンピック精神にのっとり様々な国が参加。
サーフィンにはあまり馴染みの無い国からの参加や、WSLのワールドツアーとは異なり、個人ではなく国単位のチームとして、各選手らが連携する姿も、本大会の見所のひとつでもあった。

世界のトップ選手らがチームとして結束し、自国の選手を皆で応援。ワールドツアーでは見られない光景 Photo:THE SURF NEWS

そんな中、来日した「メキシコ」チームの日本滞在をサポートしていたのは、現在中学二年生の西世古篤哉。
篤哉君は、メキシコチームのオフィシャルサポーターとして本大会に参加し、宿泊先はもちろん、食事や観光などにもチームの一員として同行。

メキシコ代表の選手らが馴染みの無い日本でも不自由なく行動し、コンテストにも集中できる環境を作るため、通訳としてチームをサポートした。

父の世代から続くメキシコチームとの交流

今回メキシコチームの一員として行動を共にした篤哉君は、三重県・伊勢エリアを代表するプロサーファー「西世古文彦」プロの長男。
ビッグウェーバーとしても知られる西世古プロは、若かりしころから冬のハワイには毎年滞在する傍ら、同じくビッグウェーブスポットとして知られる、メキシコの「プエルト・エスコンディード」にも毎年のように訪れ、ビッグウェーブにチャージ。

今から20数年前、当時は現地に日本人サーファーは少なかったというが、西世古プロが現地ローカルや在住の日本人サーファーらと交流し、現在でもその関係が継続。来日選手らの希望もあって、今回のサポートが実現したという。

西世古プロのお店「プラヤサーフ」の店内には、プエルト・エスコンディードのビッグウェーブにチャージする姿が。

チームのオフィシャルスタッフとして日本滞在をサポート

前途の通り、篤哉君は日本側のスタッフとしてチームをアテンドするのではなく、メキシコ代表の選手団の一員としてメンバーの日本滞在をサポート。

大会会場はもちろん、宿泊先や食事にも通訳という立場で同行。ときには日本観光やフリーサーフィンも共にし、選手らの慣れない日本滞在をフォローしながら、篤哉君も様々な経験を得たという。

チームメンバー全員で青島神社を観光
お参りの仕方を教える 篤哉君

サーファーとして貴重な経験

「メキシコチーム」というと、代表選手らにあまり馴染みの無い方も多いと思うが、現在20歳の “JHONY CORZO(ジョニー・コルゾ)” は、2017年にフランスで開催されたワールドサーフィンゲームスのオープンメンで優勝。
CTサーファーのジェレミー・フローレス、ジョアン・ドゥルーなどを抑えて金メダルを獲得した強豪選手でもある。

2017年大会の金メダリスト「ジョニー・コルゾ」 Photo:ISA/JIMENEZ
日本人とのハーフ「武田レイラ」もメキシコ代表選手のひとり Photo:ISA/JIMENEZ

今大会では残念ながら大きな結果は残せなかったものの、メダル獲得候補ともいえる選手らとのコミュニケーションから得られたものは大きい。

また、チームオフィシャルのスタッフとして行動し、大会会場でもビッグスターと交流できたことは、プロサーファーを目指す篤哉君にとって、貴重な経験になったことは言うまでもない。

今大会オープンメンの金メダリスト、イタロ・フェレイラとのツーショット

昨年も2日間、伊良湖のISAに行きメキシコチームの応援に行きました。
今年もISAが日本開催でメキシコチームが来る、そしてサポーターとしてチームに入れてもらえるというのでとても嬉しかったです。
あれしたいこれしたい、あっち行きたいこっち行きたいと大変でしたが・・(笑)
ワールドツアー選手などのすごいサーフィン、海に入っている時の集中力やトレーニング方法、食事に気を使っていることなどをすぐ近くで見ることができました。いろいろな国の人達とも交流できたし、サーフィンや各国の文化なども勉強になりました。
世界のトップ選手もいればまだサーファーが少ない国の人が参加していたりしたのが印象的でした。海の中や大会では凄く競い合っていても海から上がるとどの国の人達もフレンドリーだったのが印象的で、もっともっと英語を勉強して友達をつくって色々な国でサーフィンをしてみたいと思いました。

西世古 篤哉
アフターサーフで、チームメイトのジョニーとビーチクリーン
某ポイントにてサーフセッション後のケリー・スレーターと

また、父である西世古文彦プロは、自身の経験からなる思いを以下のようにコメント。前半のセッティング後は別行動を取り、以降は篤哉君に任せていたという。

ハワイの練習の為、師匠に行ってこいといわれたメキシコ・プエルトエスコンディード、初めて訪れたのは20年以上も前の事ですが、今もこういう形で交流が続いていることがとても嬉しく思います。
特に今回は篤哉をサポーターとしてメキシコチームに入れてもらえることになり、学校の先生も「なかなか無い機会、普段頑張ってる英語が活かせたらいいね」と応援してくれました。
僕自身、旅をするのが好きでいろいろな国へ訪れましたが、そこでまずぶち当たるのが言葉の壁。英語、スペイン語、旅に支障がない程度には覚えることはできましたが、なかなか会話というのは難しく「もっと英語がしゃべれたらな」と常にそういう気持ちでした。
やはり子供にも英語を勉強してもらいたい、でもどうしたら??
そんな時、まだ篤哉が幼稚園のころだったかな、ハワイのジェイソン・シバタさんと出会いました。彼はハワイと日本との子供達の交流の場を作ってくれたり、勉強という感覚ではなく自然と英語に慣れていってくれたなと感じています。といっても英語力はまだまだ入口、これからどんどん色々な経験、体験の中から覚えていってほしいです。
今回のISAワールドサーフィンゲームスにはたくさんの国々、スター選手達が来ていました。華麗な表舞台で活躍している選手達も絶対やっている努力がある、勝ちたいなら何をすべきか、大会に行きたいなら何をすべきか。そして努力や応援をしてくれる人がいなくては絶対に無しえない表舞台への道。
まだ13歳?もう13歳?
努力さえ続けていれば必ずいつかは実を結ぶ。この意味を身をもって理解できる人になってほしいと思っています。

西世古 文彦
ヒート後は円陣を組んでチームの結束を強める Photo:ISA/Ben Reed
各国の代表選手とのサーフセッションも貴重な体験。Photo:神尾光輝

プロサーファーである父が築いたコミュニティがきっかけとなり実現した今回の大役。当然ながら、このような経験は誰にでもできるものでは無いが、巡ってきたチャンスを活かすため、 自らの役割を考えながら行動をすると共に、 篤哉君もまた色々なことを学び吸収したという。

実際のところ、大会会場での動きや試合進行のサポートよりも、食事や観光にフリーサーフィン、選手達の様々な要望や意見をまとめたり、時には日本の文化やサーフコミュニティたるものを伝えることが最も苦労した、とは笑い話だが・・

国を代表するナショナルチームに同行し、世界のスーパースター達に接することで貴重な経験を得た西世古篤哉。
現在は中学二年生、父の背中を追って成長していく彼の今後の活躍に期待したい。

取材協力・写真提供:Playa Surf

(THE SURF NEWS編集部)

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