2020東京オリンピックに向け、サーフィン強化合宿。2018年3月に2度目のNSA・JPSA・WSLJ合同開催。

3月10日(土)から11日(日)にかけて、千葉・鴨川にて2018年サーフィン強化指定選手を対象にした「2018年3月国内強化合宿」が実施された。

初日から2日目の午前中にかけて、鴨川・マルキポイントにてヒート形式の実践トレーニングが行われ、男子は大原洋人が、女子は松田詩野が優勝。U14からオープンクラスまで同じヒート組で戦い、今年中学1年生となる岩見天獅がセミファイナルまで勝ち上がるなど、これからの世代も活躍をみせた。

Men’sは大原洋人が優勝。ファイナルでは西修司、三輪紘也、大橋海人を抑え、2日間のハイエストとなる9.25ptもマーク。

2日目午後は、鴨川市民会館に移動し、座学の講習会がおこなわれた。国立スポーツ科学センター担当者による映像データベースアプリ「JISS nxアプリ」の使用方法説明や、日本アンチドーピング機構担当者による講義、グループディスカッションなどが行われた。また、東日本大震災から7年となった14時46分には、犠牲者への哀悼の意を表し、海岸で1分間の黙祷をささげた。

アンチ・ドーピング講習会

14時46分、黙祷。

昨年に続き2度目の開催となった、NSA(日本サーフィン連盟)、JPSA(日本プロサーフィン連盟)、WSLJ(ワールド・サーフ・リーグ・ジャパン)の国内サーフィン関連3団体による合同合宿。今回は、NSAが合宿運営全般を行い、JPSAが審査席などの機材設営を、WSLJがジャッジングのテクニカル部分で協力した。また、合宿参加者や運営スタッフのユニフォームもつくられた。

運営スタッフユニフォーム

初日は、一般紙を含む報道陣による、選手や運営スタッフへの囲み取材の場が設けられるなど、オリンピックに向けてサーフィン種目や業界への注目が高まっていることが伺えた。

取材陣のインタビューに応じた大原洋人は、「平昌五輪にはとても刺激を受けた。同じ横ノリ系のスノーボードがメダルを獲得して、日本中が沸いていて、東京の時もこうなるんだろうなと想像したら、ドキドキする。」とコメント。
松田詩野は、「サーフィンがオリンピック種目に決まってからもう2年たった。東京五輪までもあっという間だと思うけど、オリンピックに近づけるよう努力したい。」と答えた。

報道陣のインタビューに応える松田詩野。

一方、今回の合宿の大半を占めたヒート形式のトレーニングでは、普段は異なるリーグに属する選手達の実力測定という側面が強かった印象だ。五輪が着々と迫るなかで、前回以上のコーチングトレーニングを期待して来ていた選手や保護者もいたが、昨年のような選手自身によるジャッジング体験やコーチによるビデオフィードバックプログラムは無かった。

NSA吉永修強化本部長は「オールジャパンの選手で日本代表を選ぶのが今回の趣旨。今回の合宿の結果は、世界選手権、世界ジュニアの代表選考の評価の一部とする。」と説明。五輪の代表選考方法については未確定な部分が多いものの、今年9月に愛知県田原市で行われる世界選手権の選考方法については、3月末のNSA総会で選考基準を発表予定とした。

あと半年後に迫った世界選手権に向けて、どのように選手選考が行われ、誰が日本代表になるのか。今回の合宿への出席やそのヒート結果は、どのように影響するのか。そして、五輪代表選手は、どのような道筋の上に選び出されるのだろうか。オリンピック出場を目指す選手達が明確な目標をもってサーフィンに取り組めるよう、可能な限り早い段階で、選考基準やその過程が明示されることが期待される。

また、NSA酒井厚志理事長は「オリンピックに向けトップ選手の育成はもちろん、サーフィンのファン層やサポーターを増やしていくことも重要な課題と考えている。」ともコメント。初めてオリンピックに採用された種目は必ず直面する壁かもしれないが、これから検討すべき事項、決定していかなければならない事項が山積している。

オリンピックは様々な政治・ビジネスが行き交う場であることは間違いないが、やはりスポーツを軸に様々な国の選手が集い、広く世間からの注目を集める平和の祭典であることに代わりはない。各運営団体、選手、業界関係者が一丸となって協力し、より強固な選手の育成・サポート体制の構築や、サーフィンの裾野を広げていく機会となることを期待したい。

NSA酒井理事長による開会式での挨拶。「サーフィンがより認められることで、教育現場、少年チームなどより多くの人に広まっていくといい。」と2日目の講習会時の挨拶でも語った。

本部前の掲示板には、ヒート表やスコアレポート、当日のスケジュールなどが貼り出される。

通常のコンテストと同様のプライオリティルールでヒートが進行。試合ではこの優先権の使い方が重要となる。

まだ小学6年生、今年から中学生になる岩見天獅(いわみてんし)は惜しくもセミファイナルで敗退。

メディア取材に応える大原洋人。「今年の目標は、WCTクオリファイ。2年後のオリンピックに向けて、たくさん試合に出て、いろんな波やシチュエーションに対応できるようにしたい。メンタルの強さやサーフィンの実力をあげていきたい。」

昨年、ISA世界ジュニアで金メダルに輝いた安室丈。「この合宿を通して、自分の今のいいサーフィンを見せたい。ほかの選手のサーフィンをみて勉強もしたい。」

昨年、千葉志田下で開催されたQS3000で優勝した川合美乃里。「今年の目標はQSで15位以内に入ること。JPSAで1つでも多く優勝すること。」

海外転戦の合間を縫って参加した大原洋人。合宿後は、QS3000 Martinique Surf Proに出場予定。

全米アマチュアコンテスト(NSSA)で優勝経験もある岩見天獅。まだ小学6年生ながら、出場するコンテストは全て自分でチョイス。今年は海外の試合も積極的に参加して経験を積む予定。

ヒート後の大橋海人と大原洋人ファミリー。海人のトラクションパットに興味津々!?

「アスリートとは何か、それはスポーツを通して社会的に影響を与えることができる人だと考えています。」 昨年の日本代表選手であり、今後は『企業アスリート』というサーフィン界で新しいキャリアモデルを切り開いていく石川拳大。

合宿参加者向けユニフォーム

「JISS nx」の使用方法説明。国立スポーツ科学センターでは、五輪選手養成などを目的として、ハイスコアのライディング分析&トレーニングするべき部位の割り出しなどを行う。

アンチドーピングセミナー。ドーピングとは何か、最近の違反事例、検査の種類や手順、アスリートとしての責務などについての講義。

仙台新港をホームとする中塩佳那(写真中央)

ISA関連のコンテスト/選手を主導していく「強化部」。選手兼任でもある大野修聖もサポート。日本代表専任コーチのウェイド・シャープは「オリンピックまであと2年。2年あれば様々なドラマが起き得る。現時点での実力順位だけでなく、全ての選手の様々な可能性を見ていきたい。」と語った。

(THE SURF NEWS編集部)

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