PHOTO: © WSL/Keoki Saguibo

42歳でワールドタイトルを手に入れたカイ・サラスの次のビジョンは?

2023年、20年近い長いキャリアの末に念願のワールドタイトルを手に入れたカイ・サラス。
オアフ島・サウスショアで育った彼は、いわゆるワイキキのビーチボーイであり、サーフィンは幼少の頃から日常にあった。

10歳でロングボードに乗り、2005年にASP(現WSL)でデビュー。
ドナルド・タカヤマからサーフボードのスポンサーを受け、自らシェイプの道も歩むことになった。

そう、彼がワールドタイトルを手に入れたサーフボードは自らが作り上げたものなのだ。

https://www.kaisallaslongboardco.com/

2022年にワールドタイトルを獲得したハリソン・ローチがコンペティションから遠ざかったようにカイも今年は会場に姿を現さないのか?

海外メディアのSURFERがカイの次のビジョンを探っている。

ドナルド・タカヤマとの関係

2012年に68歳で他界したドナルド・タカヤマは1950年代から半世紀以上もサーフィンの発展に貢献してきたレジェンドである。

1970年代には「Hawaiian Pro Designs」をカリフォルニアのオーシャンサイドで立ち上げ、ロングボードリバイバルの立役者となった。
ジョエル・チューダーとドナルド・タカヤマとの関係は良く知られているが、カイ・サラスとの関係も深い。

「初めてオーシャンサイドにある彼の工場に行ってボードを作る工程を見た時のことを覚えているよ。彼が手がけた全てのボードや、グラッシングからショールームまで全てを見た。彼がシェイプする姿を見て世界一凄いことだと思ったんだ」

2012年にドナルド・タカヤマが亡くなった後、トミー・マウスが「Hawaiian Pro Designs」を引き継いだが、そのトミーが引退するタイミング、2019年に「Kai Sallas Longboard Company」を設立した。

ドナルド・タカヤマのシェイプを長い間近くで見てきた経験を元に自らのツアーでのインスピレーションを加えたモデルを作ったのだ。

「自分が食べたい料理を料理する料理人のようなもので、自分のボードは自分が好きなサーフィンのために作っているんだ」

Thunderboltテクノロジー

記事ではカイ・サラスのボード作りの工程まで公開している。

まず、Shape 3Dというサーフボードデザインソフトウェアを使用して、形状を微調整することから始める。
次にブランクを切断し、最後の仕上げを施して、グラッシングの工程に入る。
ハンドシェイプも行う時があるが、マシンシェイプの方が細かな調整や修正を簡単に行えるため、好んでいるそうだ。

カイ・サラスのボードの特徴として彼自身が世界トップレベルの競技者であるため、ハイパフォーマンスのボードを目指している。
軽量で高性能な先進的素材であるThunderboltのボードを利用。
大量生産される多くのエポキシボードが耐久性を重視しているのに対してThunderboltは性能に焦点を当てている。

「Thunderboltはボードの性能を最優先に考えている。エポキシ樹脂の特性や、ボードに載せるグラスファイバーの量で自然と強度を高めるけど、それが元々の目標ではなかった。最高の構造で作られたシェイプを人々に提供したいと考えていたんだ。そうすれば、ボードを買った人は最高のボードを手に入れたと確信できるからね」

ワールドタイトルを手に入れたボードとは?

PHOTO: © WSL/Keoki Saguibo

長年ツアーのトップにいたカイ・サラスが2023年に42歳にして念願のワールドタイトルを獲得した。
その時に乗っていたボードに特にコンペティターなら興味があるだろう。

2023年のツアーはCT同様にレギュラーシーズンの上位選手によるプレーオフのようなシステムに変更になった。
その舞台となったマリブ向けのボードを開発したのだ。

マリブは速く、ダウンザラインが必要な波であるため、ポケットでの長く速いノーズライドをしやすいボードを求め、ムーンテールのボードに行き着いた。
そのモデルを「Blue Moon」と名付けた。

「モデルを制作する時、実際に作ってテストして必要に応じて何度も変更を加えて最終的に完成させる。自分一人で全てできることで、情報が正しく伝達されるんだ。タイトルを獲得するだけではなく、自分で完全に作ったボードで勝つことができてとても充実感があった。12歳の時からの目標を遂に42歳で達成したんだ。本当に嬉しかったよ」

目標達成後の次のビジョンは?

(ケリス・カレオパア)
PHOTO: © WSL/Cait Miers
(カニエラ・スチュワート)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

半生をかけての目標を達成したカイ・サラスは、楽しむことを目的としてあと数年間はツアーを回り、その後はチームライダーのために集中すると話している。

ドナルド・タカヤマが過去にやってきたようにカイ・サラスは2019年に「Kai Sallas Longboard Company」を設立した当初から若い才能を支援してきた。
その結果、カニエラ・スチュワート、ケリス・カレオパアという二人のワールドタイトル候補を発掘した。幼い頃からこの二人のサーフィンを見ていたカイ・サラスは独特のステップを把握してシェイプをしている。

「競技を終えた後は、ケリスとカニをサポートしてワールドタイトルを獲得することを目指したい。そして、今とてもロングボードを楽しんでいる2人の娘がいるんだ。彼女たちが競技に参加したいと思えば、サポートするよ」

Meet the World Champ Who Makes Longboards For Future World Champs
https://www.surfer.com/features/meet-the-world-champ-who-makes-longboards-for-future-world-champs

(黒本人志)

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