50年近い歴史を誇るハワイの伝統的なサーフィンイベント「パイプマスターズ」が消滅の危機!?

1971年から50年近い歴史を誇るハワイの伝統的なサーフィンイベント「パイプマスターズ」が消滅の危機に立たされている。

今シーズンのハワイは「Quiksilver」とアイカウファミリーとの30年以上続いた関係が決裂し、ワイメアを舞台とした招待制のスペシャルイベント『THE EDDIE』が見送られていたが、今度はWSLとハワイのホノルル市長、カーク・コールドウェルとの関係が悪化してパイプラインの『Billabong Pipe Masters』、サンセットビーチの『Vans World Cup』、先日終了したばかりの『Volcom Pipe Pro』の3イベントの開催が不透明になっている。

事の発端はWSLの2018年/2019年のスケジュール変更。

2018年の最終戦は今まで通り12月のパイプラインを舞台とした『Billabong Pipe Masters』
2019年は『Billabong Pipe Masters』を1月〜2月に移動してCTの開幕戦に変更。
変わりに『Volcom Pipe Pro』を12月に移動。

トリプルクラウンの第2戦『Vans World Cup』は今までマウイ島で開催されていたウィメンズCT最終戦を併催させるため、時期をずらして期間を延長。

以上がWSLの要望。

WSLはハワイの「Department of Parks and Recreation」と呼ばれる公園でのレクリエーションを管理する課と長くコミュニケーションを維持しているが、その課との食い違いもあった。

ホノルル市長側の意見では申請期限だった2017年11月9日までに提出されなかったとのこと。
確かにWSLイベント開催には大きなお金が動くが、それよりも公正を優先したという主張だ。

2018年1月31日付けでカーク・コールドウェルからソフィー・ゴールドシュミット宛に送られた文書が公開されている。

2018年〜2019年のノースショアでのサーフィンのカレンダー申請についてお受けしました。
あなたの手紙には許可申請書への変更要求が記載されています。

あなたは新任ですが、何十年もの間、WSLはハワイでビジネスを行っているし、ローカルの代表も知識と経験を持ってコンテストのプロセスを尊重しています。
御存知の通り、冬のハワイはクオリティが高い波となり、同じ時期と場所でコンテストを申請している組織が沢山あります。
それらの申請に対して私達は公平な立場であり、誰もが平等に扱われるような体勢をとっています。

以上の理由でWSLの要求を見直しましたが、対応は出来ないという答えになりました。

WSLのCEO(最高経営責任者)、ソフィー・ゴールドシュミットは期限切れの例外を認めてもらうために手紙を送り、ハワイに向かった。
2月2日、アポ無しでホノルル市長室に行き話し合いを要請したが、二人の対話は実現しなかったそうだ。

JJFとソフィー・ゴールドシュミット
PHOTO: © WSL /Poullenot

この問題に関わらず、昔からノースショアで開催されるイベントには他の土地にはない特別なルールがある。
例えば、週末に2日連続コンテストを行うことや、祝日は禁止。
波を有効に使うためにマンオンマンは禁止で、4人ヒートが基本など。

それはローカルサーファーをリスペクトしてのルールだが、回り回って今回のような問題が浮上するとなると本末転倒である。
トリプルクラウンで6度の最多記録を持ち、今でも現役で活躍しているサニー・ガルシアは以下のようなコメントを公表している。

「世界最高のサーファー達と戦うこれらのイベントはハワイのサーフィン文化にとって非常に重要なんだ。地域社会、経済的にもね。ハワイをサーフィンのメッカとして世界に示し、サーファーはアスリートとして愛されて尊敬されている。ノースショアのコミュニティはこれらのイベントを愛しているよ。そして、ハワイの全てのサーファーはホームの観客の目の前、自分のバックヤードで戦うアドバンテージを望んでいるのさ」

パイプラインマスターズでの最多優勝記録を持ち、ノースショアに別荘も持っているケリー・スレーターも今回の問題に対して提言している。

「ハワイとサーフィンは互いに同義語とも言える。サーフィン文化とスポーツの両方をサポートすることがハワイにとって重要。長い伝統の大半はノースショアで開催されているプロサーフィンの特別なイベントだよね。私達は今回のような許可のプロセスに関する誤ったコミュニケーションや意見の違いがハワイの長い歴史と伝統に大きな影響を与え、チャンピオンを決定する重要なイベントが無くならないように願っている。改革はツアーにとって重要であり、地域社会にマイナスになることは無い。パイプラインでのイベントの変わりはないから、プロセスが明確になることを願っている」

もし、今回ハワイ側の意向に沿えばノースショアのコミュニティに影響を与えるだろう。
サーフィンが国技でもあるハワイ、それも大きな経済効果があるパイプラインマスターズが行われないとなればローカルなどが黙っているはずはない。
更に今回の話はソフィー・ゴールドシュミットとカーク・コールドウェルの間にある深い溝によって生まれた問題でもあり、1シーズンだけではなく、数年間パイプラインでイベントが開催出来ない可能性もあるとソフィーは話している。

大きな再開発が行われず、ノースショアに美しい自然が残っているのもローカルの団結力が強いからであり、この問題も着地点は概ねWSL側に沿う形になることを望みたい。

もし、今回の問題を発端にWSLがハワイから離れることになれば、サーフィンの未来も大きく変わってしまうだろう。

(空海)

COVER PHOTO:© WSL / Heff

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