南アフリカの「J-Bay」で開催中のCT第10戦『Corona Cero Open J-Bay』はウェイティングピリオド初日から3日連続で進行。
現地時間7月13日、前日よりサイズダウンした公式3-5ftレンジのデビルウィンドの影響が強まる傾向の中でメンズRound of 16が行われ、QFを戦うベスト8が決定した。
なお、翌日の7月14日、15日はすでに中止が決定。
ネクストコールは7月16日の朝7時45分(日本時間同日午後2時45分)で、18分後に再開予定。
イエロージャージが見えてきたカノア

大会3日目の話題はカレントリーダーのジョーディ・スミス(RSA)をルーキーのマルコ・ミニョ(FRA)が倒し、ブラジル戦のファイナルと同じグリフィン・コラピント&コール・ハウシュマンドのサンクレメンテカードの再戦。快進撃を続けるヤゴ・ドラ(BRA)がライブランキングでトップに浮上などだが、最初に二人の日本人選手の活躍をお伝えしたい。
まず、H3でクロスビー・コラピント(USA)と対戦した五十嵐カノアは序盤にファーストセクションでのビッグターンからフィニッシュまで綺麗に決めて6.33をスコア。中盤はバックアップスコアを伸ばすことに苦戦したが、最後の波でデビルウィンドの影響を振り払うようなパワフルなターンの連続で7.17を出して終わってみれば圧勝となった。
以下、ロージー・ホッジとの勝利者インタビュー。
・ロジー
「カノア、今日のスーパーチューブスのコンディションはどうだった?私たちみたいな“アームチェア・スペシャリスト(※机上の空論ばかりの観戦者)”に向けて実際にあそこで競うのはどんな感じなのか教えてくれる?」
・カノア
「自分が“アームチェア・スペシャリスト”になった気分だったよ。『あれ、カットバックのやり方忘れたかも?』って感じでさ(笑)。でも、本当に今日のJベイはそういう日だった。ちょっと風が入っててね。風向きはなんでもいいけど、とにかく謙虚にならされるようなコンディションだった。
ある波でインサイドまで戻ってきた時、ただ“乗り切れて良かった”って思ったくらいで、途中のセクションではなんとかスコアにつながる動きを作ろうと必死だった。でも正直、普段なら絶対パドルアウトしないようなコンディションだと思う。でも、ヒートがそういう状況で行われる可能性があるなら、むしろ練習すべきなんだよね。
今回は本当に勝てて嬉しい。なんだろう、今日は朝起きた時から『これはすごく重要なヒートになる』って感じてて、ポイント的にもすごく大事だと思っていたし、だから『しっかり集中しよう』って思った。でも結局ずっと気が張りっぱなしで、全然集中してる感覚はなかったんだ。でも、多分こういう日は、そうやって張り詰めた状態で戦うのが正解なのかもしれないね」
・ロジー
「そういう話を聞けるのは本当に興味深いわ。今のランキングでクォーターファイナルに進出したことで、そのヒートの重要性について語ってくれたけど、今どれくらいのプレッシャーを感じている?」
・カノア
「そうだね、今夜ベッドに入る時にファイナルデーに残ってるって思えるのと、今すぐ帰って次のフライトを取らなきゃっていうのとでは、気持ちに大きな違いがある。本当にそれだけで全然気分が違う。今の時期、シーズン後半戦になると、どのヒートもめちゃくちゃ重要になってくるし、ランキングもすごく入れ替わってる。直近の数戦で一気にジャンプアップした選手も多いしね。自分自身はというと、正直ワクワクしてる。
こういう戦いができることに興奮して、逆に寝つけないくらいなんだ。負けてランクを落とすのが怖いというより、“このバトルに自分がいる”ってことがう嬉しいね。もちろん、イタロとかヤゴみたいに安定してトップ5に入り続けてるベテランもいるけど、僕とかジャック(ロビンソン)やレオ(フィオラヴァンティ)、グリフィン(コラピント)なんかはもう少し若くて、今まさにトップ5の座をかけて戦ってる。
そういう状況がすごく楽しいし、大好きなんだ。今回のJベイはすごく重要なイベントだし、ここからも勢いを持って進んでいきたいと思ってるよ」


現在ランキング3位のカノア。
トップのジョーディがこのラウンドで敗退してヤゴがライブランキングでトップに浮上しているが、ファイナルデイでの結果次第では、2022年以来のイエロージャージが手に入る。
そして、ランキングトップでフィジーでの「WSL FINAL」を戦うことになれば、ワールドタイトルの確率も非常に高くなる。
もう夢ではないポジションにカノアがいることが日本人として本当に誇らしいと思う。
イタロを倒したコナー

H7ではコナー・オレアリーがランキング4位のイタロ・フェレイラ(BRA)と対戦。
イタロにとってはファイナル5を固める重要なヒート。
コナーにとっては今シーズン3度目のQF入りをかけての勝負。
グーフィーフッター同士のこのカードは序盤にクリティカルセクションでのターンを安定して繰り返したコナーが8.50を出してリードした。
波のサイズが下がり、バックアップスコアは4.33と低かったが、終盤までイタロをニード7.51のシチュエーションで抑え込む。逆転を狙うイタロは一発のエアーを何度も試み最後にローテーションをメイクするが、7.00と僅かに足りず。コナーが今シーズン3度目のQF進出を決めた。

勝利者インタビューでは、「コナー、マジシャンのような快進撃が続いているね。というのも、今朝のH1以来、誰もエクセレントスコアを出していなかった中で、君はそれを見つけ出したんだから」と最初にマイクを向けられ、「運が良いね。昨日の最後のヒートでなんとか良い波を掴めたんだ。今日はすごく寒かったけど、その中でもまた良い波を見つけられて、今は逆に熱くなってるよ。そう、ずっといい流れが続いてて、自信にもなってる。こういう場所でいいポイントを出せるのは嬉しいし、自分が正しいことをしているって確信にもなるからね。だから、すごく良い感じだよ」と話していた。
「ヒートの終盤でイタロが飛んでいるのを見た時、心拍数がちょっと上がったりした?」との問いには、「正直、イタロにああいうエアをやらせるチャンスを与えてしまった自分にがっかりしてたんだ。自分がA5を決めた後に、ちょっとゲームプランから外れてしまった。『あの波はバックアップになるかも』と思って乗りに行ったんだ。もし、あの波に乗ってなかったら、イタロが違う波に乗ってヒートを決められたかもしれない。そうしたら、彼は2つのスコアを必要として、あの波でエアをやる余裕はなかったはずだから、結果は変わっていたと思う。だから、むしろ自分にがっかりしてるんだよ。ちょっと隙を見せると、彼は絶対にそれを最大限に利用するからね。今回は運が良かったけど、ファイナルデーに向けてもっとしっかりやらないとね」とコメント。

最後に「ここでグーフィーフッターが勝ったのはこれまでに2人だけ。今年は3人目としてなれたら良いわね」と聞かれ、笑顔で以下のように話していた。
「そうだね。大会の始まりにドッグ(コーチ)に『どんなところを見せたいと思う?』って聞かれて、『ここで誰も見たことがない最高のバックサイドサーフィンを見せたい』って答えたんだ。ゆっくり確実にやって、ファイナルデーに良いコンディションが来て、それを見せられたら最高だね。自分がやってることがカッコいい瞬間もあるし、その調子で続けたい。全力でブレーキなし、やってやるよ!」
過去に「J-Bay」を制したグーフィーフッターはオッキーとギャビーの二人のみ。
それだけ「J-Bay」の波は完璧に見えて難しい。
2日のオフの後にスタンバイされているファイナルデイ。
QFでカノアはグリフィン・コラピント(USA)、コナーはイーサン・ユーイング(AUS)と対戦する。
WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/
(黒本人志)