(都筑有夢路) Photo: ISA/Pablo Franco

都筑有夢路、パリ五輪出場なるか?『2024 ISA World Surfing Games』6日目

パリ五輪の最終の選手選考を兼ねた『2024 ISA World Surfing Games』はクライマックス間近。
現地時間2月29日に大会6日目を迎え、公式2-3ftレンジのラストリアル、エルピコの2ポイントを使い、メンズ、ウィメンズ共にメインラウンドR4。
メンズ、ウィメンズ共にリパチャージR4、R5が進行してウィメンズの4名が暫定的ながらパリ五輪のクオリファイを決めた。

個人ではCT選手の強さが際立った一方、スペイン、ペルー、イスラエルなどの選手も強く、国別では前日まで同率首位だったペルー、フランス、ブラジル、オーストラリア、スペイン、ドイツに大きな動きがあり、スペインが単独首位の座を勝ち取った。
2位にブラジル、3位にフランスと続く。

パリ五輪の追加1枠を得ることができる男女別のランキングではブラジル、スペイン、フランスが男子で同率首位。
女子はスペインが単独首位で、オーストラリア、ブラジル、ペルーが同率2位。

日本代表「波乗りジャパン」は都筑有夢路の1名のみに…。

(松田詩野)
Photo: ISA/Pablo Jimenez

前日のリパチャージR3で五十嵐カノアが敗退した日本代表「波乗りジャパン」

リパチャージR4では都筑有夢路、松田詩野がトップ通過を果たした一方、前田マヒナ、稲葉玲王、コナー・オレアリーが敗退。
リパチャージR5では松田詩野がサノア・オリン(CAN)、ダニエラ・ローザス(PER)に抑えられて3位敗退。
都筑有夢路はテッサ・ティッセン(FRA)と共にリパチャージR6行きを決めている。

(前田マヒナ)
Photo: ISA/Sean Evans

都筑有夢路はリパチャージR4終了後のインタビューで、「このイベントでは凄いプレッシャーがあるけど、とにかく楽しみ、自分のサーフィンを続ける気持ちで挑んでいます。ここは楽しい波です。7ポイントと6ポイントを得ることができて嬉しい。このまま勝ち進みたいです」と話していた。

現在、日本人女子でパリ五輪出場を確定させているのは松田詩野のみ。
都筑有夢路が残り1枠を得るには7位以内に入る必要があるが、現在勝ち残っている選手の中にはすでにパリ五輪出場権を持っている選手も多く、このリパジャージラウンドをあと数回勝ち上がることで、規定順位内となる可能性は高い。

しかし、6名中5名が脱落した「波乗りジャパン」は国別で前日の7位から13位にランクダウン。
残念ながら国別のメダル獲得は絶望的という状況だ。

パリ五輪のクオリファイを決めたウィメンズ4名

(ペルーのソル・アギレ)
Photo: ISA/Pablo Franco

ウィメンズのメインラウンドR4を勝ち上がり、R5に進んだのは8名。

すでにCT枠でパリ五輪のクオリファイを決めたタティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)、ジョアン・ディファイ(FRA)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)、キャロライン・マークス(USA)以外、ナディア・エロスタルベ(ESP)、ソル・アギレ(PER)、タヒナ・ヒンクル(BRA)、ヨランダ・セケイラ(POR)の4名が暫定的ながらパリ五輪のクオリファイを決めた。

タヒナと共にラウンドアップした20歳のソルは「どんどんヒートは厳しくなるだろうし、常にプレッシャーはある。でも、ただ音楽を聴いて、集中するようにコントロールしているし、対戦相手のことを考えずに自分がやるべきことだけを考えている。最終的には時間と波との争い。それを克服するだけよ。大きなプレッシャーだけど、恐れずに夢を追いかけることだけを考えるわ」とコメント。

メインラウンドではモリー・ピックラム(AUS)、テレッサ・ボンバロ(PRT)、ブリッサ・ヘネシー(CRI)などがリパチャージ行きになっている。

(ナディア・エロスタルベ)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(ポルトガルのヨランダ・セケイラ)
Photo: ISA/Jersson Barboza

スカイ・ブラウン、パリ五輪2種目出場まであと一歩

(15歳のスカイ・ブラウン)
Photo: ISA/Sean Evans

ウィメンズのリパチャージラウンドでは東京五輪の金メダリスト、カリッサ・ムーア(USA)を始め、サノア・オリン(CAN)、ダニエラ・ローザス(PER)、アナット・レリオール(ISR)、ハニレ・ゴンザレス・エチャバリ(ESP)がラウンドアップした一方、ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、タイラー・ライト(AUS)、ルアーナ・シルヴァ(BRA)などが敗退。
カノアの彼女、ハヴァナ・エレナ・カブレロ(PUR)もリパチャージR4で姿を消している。

(カノアとハヴァナ)
Photo: ISA/Pablo Franco

すでにスケートボードでのパリ五輪出場を決めているスカイ・ブラウン(GBR)は、R4で前田マヒナとパリ五輪出場権獲得済みのヴァヒネ・フィエロ(FRA)を相手にラスト5分で7.17を出し、すぐに3.17を加えてトップ通過を果たした。

「タフなヒートだったわ。すべての女子がアグレッシブにサーフィンしていた。波も本厳しかったけど、勝てて凄く嬉しい。最後に2つの波に乗れた。通過できて興奮しているわ」

スカイはR5でも勢いを止めず、レイチェル・プレスイティ(GER)、タイラー・ライト(AUS)を抑えて次に進んだ。
15歳の彼女がパリ五輪2種目出場を達成すれば日本のサーフィン以外のメディアも大きく取り上げるだろう。

(パリ五輪でスケートボードと2種目出場を目指すスカイ・ブラウン)
Photo: ISA/Jersson Barboza

ギャビーとイーサンが圧倒的なパフォーマンスを披露

(イーサン・ユーイング)
Photo: ISA/Jersson Barboza
(ジョン・ジョン・フローレンス)
Photo: ISA/Jersson Barboza

WSGがオリンピックのクオリファイイベントを兼ねるようになってからCT選手が参加して優勝のハードルは高くなっているが、55カ国の大半はサーフィン後進国であり、結果よりも世界トップの選手のサーフィンを目の前で、それも同ヒートで体験できる貴重なチャンスになっている。

そんな中でも何人かのCT選手が姿を消す中、メンズではガブリエル・メディナ(BRA)、イーサン・ユーイング(AUS)、ジョン・ジョン・フローレンス(USA)の3名がメインラウンドを突き進んでいる。
この日はガブリエルが最後にミスをしなげれば10ポイントが出たであろう9.17のハイエストスコアをメイク。他国の選手さえ熱狂させていた。

「自分はミッションに取り組んでいるんだ。優勝したい。それだけに集中しているよ」

(ガブリエル・メディナ)
Photo: ISA/Sean Evans

3xワールドチャンピオン、ISAでも2010年のU18でチャンピオンを獲得するなど世界を代表するサーファーであるガブリエル。
誰もが難しいと口にするここ数日のコンディションでも信じられないようなスピードでエアーをメイクしている。

その他、メインラウンドではカウリ・ヴァースト(FRA)、アロンソ・コレア(PER)、マルコ・ミグノー(FRA)、ジョアン・ドゥルー(FRA)、セバスチャン・ウィリアムズ(MEX)、ケフ・バトラー(NZL)、アンディ・クリエール(ESP)、コディ・ヤング(CAN)、ブライアン・トース(PUR)がR5進出を決めている。

CT選手ではバロン・マミヤ(USA)、和井田理央(IDN)、ヤゴ・ドラ(BRA)がリパチャージ行きを強いられている。

また、リパチャージラウンドではラムジ・ブキアム(MAR)、レオナルド・フィオラヴァンティ(ITA)、フィリッペ・トレド(BRA)、フレデリコ・モライス(PRT)と4名のCT選手が残った一方、パリ五輪行きを決めているジョーディ・スミス(RSA)、ビリー・ステアマンド(NZL)などが敗退している。

(快進撃を続けているプエルトリコのブライアン・トース)
Photo: ISA/Sean Evans
(ブライアン・トース)
Photo: ISA/Sean Evans

コンテスト7日目の3月1日は朝7時30分(日本時間同日20時30分)スタート。
会場はラストリアルのみでメンズのリパチャージR6、メンズのメインラウンドR5、ウィメンズのリパチャージR6、メンズのリパチャージR7の順で進行予定。

ISA公式サイト:https://www.isasurf.org/

(空海)

Photo: ISA/Pablo Franco

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