(西慶司郎) PHOTO: © WSL/Cait Miers

韓国のウェーブプール「Wave Park」初のWSLイベントは日本人が全て制した!

インドネシアと宮崎のQS1,000を除くとQSアジアリージョナルでは今年最後のビッグスターとなるQS3,000『Siheung Korea Open』が話題の韓国のウェーブプール「Wave Park」でLQS1,000『Siheung Korea Open LQS』と併催、現地時間11月17日から19日にかけて行われた。

ウェーブプールでのQSはアジアリージョナル初、LQSは世界初、韓国のWSLイベント自体も初と初めてづくしの記念すべきイベントとなり、濃密な3日間だった。

都筑有夢路が圧勝

(都筑有夢路)
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QSはQF以降がマンオンマン、LQSはファイナルまで4人ヒートで進行。

ウィメンズQSのファイナルは都筑有夢路と野中美波のマンオンマン。
レフトの波は両者共にバックサイドとなり、共にイベントを通して目立つ存在だった。

ファイナルでは両者共に8ポイント台を出して拮抗していたが、 都筑有夢路が最後の波でクリティカルセクションでのビッグターン、速いセクションを抜けてのボーナスセクションも完璧に近い形で決めて9.50のイベントを通してのハイエストスコアを出してトータル18.10で圧勝した。

「最高の気分です。今、とても幸せです。親友の美波と戦えて嬉しかったですね。私にとって最高の思い出になりました」

(野中美波)
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CT経験者であり、東京五輪の銅メダリストでもある都筑有夢路。
22歳、同じ年で親友の野中美波とはこれまで3回QSで対戦したことがあるが、ファイナルでは初対戦となった。

ランキングでは台湾で優勝してトップに立った脇田紗良がカレントリーダーを維持。
松岡亜音、都築虹帆、野中美波と順位の変動はない。

2024年CSクオリファイは2023年4月から2024年3月までに開催されたイベントのトップ5がカウントされ、ウィメンズは3名、メンズは5名。
その他に各1名のワイルドカード枠が用意されている。

(都筑有夢路)
PHOTO: © WSL/Cait Miers
(都筑有夢路)
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西慶司郎の逆転劇

(西慶司郎)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

QSのメンズサイドは優勝候補の筆頭だった大原洋人をSFで逆転した西慶司郎が韓国とアメリカのハーフ、今イベント最大のダークホースとなったカイアン・ヤンと対戦。
序盤はカイアンが強烈なバックサイドで8ポイント台を2本を重ねて優勝を固めていたが、西慶司郎が3本目で爆発。フロントサイドでバリエーション豊かなライドを披露。フィニッシュのエアー気味のフィンフリーのターンも決めて9.10。ニード7.55まで追い上げる。

このライディングで火がついたカイアンは次の一本で9.40を出して再び差を広げ、西慶司郎はその後の2本でミスするが、最後の一本で再び3本目と同じような素晴らしいライディングをメイクして9.15。トータル18.25で逆転に成功した。

「応援してくれたみんなに感謝します。この場所での最初のイベントで優勝できてとても嬉しいです」

(カイアン・ヤン)
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2023年のJPSAでは2021年以来、2度目のグランドチャンピオンに輝いていた西慶司郎。
QSでは2017年以来、2度目の優勝。
この優勝でランキングトップに立ち、初のCS入りが現実的になってきた。

なお、カリフォルニアのエンシニータス出身のカイアンはISAのアメリカ代表選手としても選ばれている逸材。
日本での五十嵐カノアのように彼の存在が韓国人サーファーの刺激になることは間違いないだろう。

(西慶司郎)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

田岡なつみが競り勝つ

(田岡なつみ)
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LQSはファイナルまで4人ヒート。

ウィメンズは唯一のLT選手でもある田岡なつみが井上桜、インドネシアのデアノ・ヴィタサリ、フィリピンのシーラ・メイ・コンビクトを相手に一本目から7ポイント台を出して圧倒。
巧みなレールワークとノーズライドで7ポイント2本を出して迫っていた2位のインドネシアのデアノ・ヴィタサリに競り勝った。

「1位になれて本当に嬉しいです。今回初めてここに来ました。波は自然とは全く異なり、最初は緊張しました。たくさんの練習を積んだら、この波が凄い好きになりました」

フィリピン、バリ、韓国とLQSでは目下3連勝中の田岡なつみ。
2024年LT出場もほぼ確実でしょう。

(田岡なつみ)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

浜瀬海が力の差を見せつける

(浜瀬海)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

メンズサイドはJPSAで無敵の浜瀬海が圧勝。

LTは毎年井上鷹が出場して2024年もリクオリファイを決めているが、2024年は浜瀬海がクオリファイに向けて本気で取り組んでいる。
韓国ではヒートが進むに連れてペースを上げてSFでは8ポイント台を2本、ファイナルでは9ポイント台を2本出してトータル18.20と完璧に近い形でウェーブプールで初のLQSイベントを制した。
JPSAの茅ヶ崎戦を見ても分かる通り、浜瀬海のバックサイドは優雅かつ的確なノーズライドでジャッジさえも魅了してしまうスタイルと安定感がある。

「このコンテストで優勝できて嬉しいです。素晴らしい時間を過ごしました。波に適応するのがとても難しかったですが、うまくサーフィンできました」

(カノア・パルミアーノ)
PHOTO: © WSL/Cait Miers
(キム・ドンギュン)
PHOTO: © WSL/Cait Miers
(井上鷹)
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韓国では多くのサーファーがロングボードから始めるということもあり、イベント前の予想よりも遥かにレベルが高かった印象。
その証拠に15歳のカノア・パルミアーノ(彼はQSでも上位に入っている)、キム・ドンギュンが秋本祥坪、森大騎、塚本将也などの日本の強豪を抑えてファイナルに進出していた。

練習には最適なウェーブプール、特にWavegarden社「Wave Park」のロングボードの波質はクオリティが高く、韓国人サーファーのレベルアップに一役買っていると言えるだろう。

なお、日本では今年最後のQSとなる1,000『The Open Surfing Hyuga Pro』が12月7日〜10日に宮崎のお倉ヶ浜で開催される。

(浜瀬海)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

QS3,000『Siheung Korea Open』結果
1位 西慶司郎(JPN)
2位 カイアン・ヤン(USA)
3位 大原洋人(JPN)、松下諒大(JPN)
5位 大音凜太(JPN)、ダニ・ウィディアント(IDN) 、金沢呂偉(JPN)、クトゥ・アグース(IDN)

ウィメンズ
1位 都筑有夢路(JPN)
2位 野中美波(JPN)
3位 脇田紗良(JPN)、松田詩野(JPN)
5位 中塩佳那(JPN)、松岡亜音(JPN)、都築虹帆(JPN)、スカイ・ブラウン(GBR)

LQS1,000『Siheung Korea Open LQS』結果
メンズ
1位 浜瀬海(JPN)
2位 カノア・パルミアーノ(KOR)
3位 井上鷹(JPN)
4位 キム・ドンギュン(KOR)

ウィメンズ
1位 田岡なつみ(JPN)
2位 デアノ・ヴィタサリ(IDN)
3位 井上桜(JPN)
4位 シーラ・メイ・コンビクト(PHL)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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