新たにパリ五輪出場権を得た稲葉玲王 Photo: THE SURF NEWS

【NSA会見】パリ五輪の出場権獲得状況と今後の代表選考、コナーの移籍承認など

日本サーフィン連盟(NSA)は、8月23日に記者会見を開き、パリ2024オリンピックにおける条件付き出場枠の獲得状況と、今後の日本代表選考基準、そして現在CTで活躍するコナー・オレアリーの移籍承認などを発表。

会見では、新たに条件付き出場権を獲得した稲葉玲王も登壇し、集まった報道陣を前に五輪出場の意気込みを語った。

パリ五輪の出場権獲得は、現在4枠

パリ2024オリンピックのサーフィン競技出場枠は、男女それぞれ24名。
その出場選手選考は2022年よりスタートしており、選手個人枠と国枠も含めると、既に男子15枠、女子13枠が内定済み。

うち、日本が現在獲得済みの枠は4つ。
パリ五輪に出場するためには、2024年2月に開催されるWSG(ワールドサーフィンゲームス)プエルトリコ大会への出場義務などがあるため、これまでの出場権獲得済み選手は全て “条件付き” という位置づけながら、現在までの獲得状況と残枠は以下となる。

・パリ2024オリンピック 出場権獲得状況

<男子(最大で3名)>
五十嵐カノア(2023年WSLのCTランキング枠より条件付き獲得済み)
稲葉玲王(2023年WSGアジア2位/1位だった五十嵐カノアがCT枠となったため条件付き獲得済み)
男子1枠(2022年WSG国別1位により獲得済み、日本が後の選考で決定)

<女子(最大で3名)>
松田詩野(2023WSGアジア1位により条件付き獲得済み)
② 未定(2024WSGで7位以内に入った選手が獲得できる)
③ 未定(2024WSGで日本が国別1位の場合、日本の女子追加枠として獲得できる)

日本サーフィン連盟理事長の酒井厚志氏 Photo: THE SURF NEWS

残る五輪出場枠を目指す「2024WSG」の出場者は男女各3名

パリ五輪の最終選考大会となる、2024WSG(プエルトリコ)は、2024年2月22日(木)~3月2日(土)の日程で開催予定。
まだ最大枠数に達していない日本女子選手にとっては、3人目の追加枠獲得も含めて重要な一戦となる。

2024WSGの出場は男女3名まで。このうち、既にパリ五輪の出場権を獲得している3名は出場が確定。残枠は全て「推薦枠」となり今後の選考で決定となる予定だ。

・2024 ISA WSGプエルトリコ日本代表選手選考基準

<男子>
五十嵐カノア(パリ2024オリンピック条件付き出場権獲得者)
稲葉玲王(パリ2024オリンピック条件付き出場権獲得者)
③ 未定(推薦枠/2023実績、選考会成績等)
補欠:未定(推薦枠/2023実績、選考会成績等)

<女子>
松田詩野(パリ2024オリンピック条件付き出場権獲得者)
② 未定(推薦枠/2023実績、選考会成績等)
③ 未定(推薦枠/2023実績、選考会成績等)
補欠:未定(推薦枠/2023実績、選考会成績等)

副理事長の佐藤正麗穂氏 Photo: THE SURF NEWS

2024WSG日本代表選手の選考基準(ジャパンオープンは行わない)

2024WSGのプエルトリコ会場や、後のパリ五輪(タヒチ・チョープー)の波が特殊であることから、今回は、これまで日本代表選手の選考大会としていた「ジャパンオープン・オブ・サーフィン」を開催しない方針を発表。

代わりに、チョープーまたはハワイでのチューブライディング動画で選考を行っていた「特定強化指定選手」にて、メンバーを絞った選考大会の開催を決定した。

動画の第二回選考を通過した選手は以下の男子7名、女子5名。
うち、CT選手はWSLとの契約上の問題で日本大会には出場ができないほか、WSGへの出場義務もあるため、CT選手を除く男女各5名で選考大会が実施される予定だ。

・2024特定強化指定選手

<男子>
1 五十嵐カノア(CT選手)
2 伊東李安琉
3 稲葉玲王
4 大原洋人
5 コナー・カラサワ・オレアリー(CT選手)
6 村上舜
7 脇田泰地

<女子>
1 都筑有夢路
2 都築虹帆
3 前田マヒナ
4 松岡亜音
5 松田詩野

※二次募集までの動画送付選手は、男女合わせて40名以上。合計100本以上の映像からの選考となったが、動画のライディング以外にも、過去の実績、現在の各大会での活躍を総合的に判断し、「プエルトリコやタヒチ(チョープー)で勝てる可能性がある選手」として選出された。

強化委員長の牛越峰統氏「現在の選手のコンディションやクオリティのチェック、試合でのパフォーマンスを測るためにも、選考は試合形式で行ないたい」Photo: THE SURF NEWS

CT参戦中の「コナー・オレアリー」の日本移籍を正式承認

また、今年2月よりオーストラリアから日本への移籍手続きを進めていたという「コナー・オレアリー」の正式承認も発表。
会見内では、スケジュールの都合で来日できなかったコナー本人からのビデオメッセージも紹介された。

皆さんはじめまして、コナー・カラサワ・オレアリーです。
この度、日本人としてISA WSGでオリンピックを目指すことが認められました。
去年から日本への移籍を決めていましたが、手続きに長い時間がかかり、やっと移籍が認められて嬉しいです。
2024ISA WSGの日本代表を目指し、そして、オリンピックに出てメダルが取れるように頑張りたいと思います。
日本の若いサーファーのお手本となれるような選手になりたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします。

コナー・カラサワ・オレアリー
コナー・オレアリーからのビデオメッセージ Photo: THE SURF NEWS

なお、ご存知の通りコナーの母は元JPSAのプロでグランドチャンピオンの経験もある柄沢明美氏。今回発表ではパスポート記載の氏名とのことで、ミドルネームを含めた「コナー・カラサワ・オレアリー」と表記。

前述の通り、CT選手のコナーは選考会に出場せずに日本代表入りとなるため、事実上の2024WSG日本代表男子は、五十嵐、稲葉、コナーの3名が濃厚。連盟としては、移籍時期などISAへの最終質問中としたが、代表選考試合では補欠選手を決定する形となりそうだ。

※ただし、パリ五輪出場権のうち3つめの日本枠は、選手に怪我などがあった場合は補欠選手への繰り下げが可能(五十嵐、稲葉が持つ出場権は、ほかの日本人選手への繰り下げはなし)なため、この補欠枠は重要で、五輪補欠枠ともなりえる。

代表監督の宗像富次郎氏 Photo: THE SURF NEWS

稲葉玲王が五輪出場の意気込みを語る

会見の最後には、新たにパリ2024オリンピックの条件付き出場枠を獲得した稲葉玲王が登壇し、集まった報道陣にその意気込みを語った。

タヒチ・チョープーの経験は過去に2回あります。初めては15~16歳の頃で、パドルイン(※)のマックスサイズを経験しました。そのときは本当に怖くて、少しトラウマになりました。
それでも、その後にハワイや色々な国で大きい波を経験して、今年3月の波乗りジャパン合宿時には、それなりのサイズの波にも乗れて「行ける」と感じました。五輪までもっと慣らしていくことが大事かなと思います。

稲葉玲王

※さらにサイズが上がると、パドルでのテイクオフが厳しくなり、ジェットスキーでけん引するトウインサーフィンが主となる。

稲葉玲王「チューブ勝負のタヒチなら戦える。出るからには金メダルを狙いたい」 Photo: THE SURF NEWS
テレビ局、新聞社をはじめ多くのメディアが駆け付けた Photo: THE SURF NEWS

今後、2023年の波乗りジャパンの活動は、以下を予定。

9月下旬~10月初旬:タヒチ合宿
9月下旬~10月初旬:U16ジュニア対象合宿(宮崎)
12月:2024 ISA WSG代表選考会(開催地未定)

12月に開催される、2024WSGプエルトリコ大会の代表選考は12月に開催予定だが、場所はまだ協議中。決定次第NSAホームページ等で発表となる。

日本サーフィン連盟
https://www.nsa-surf.org/

(THE SURF NEWS編集部)

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