(オンショアのベルズ)Photo by snowy

南寄りの南極風でグチャグチャの灰色の世界…ベルズボトムの底は深い – F+ CT観戦リポート

F+(エフプラス)

昨日はベルズの過酷な部分をすべて食らったと思ったけど、まだベルズボトムの底は深かったね。今日は昨日よりくらった。雨風に加えて昨日よりさらに気温が低く、波がさらにクソな感じ。昨日の半分のサイズだ。これでも波が良ければ我慢のしがいがあるわけだけど、雨が来れば傘さして小さく丸まって、地蔵への道まっしぐら。やんでレンズをのぞけばその先は南寄りの南極風でオンショアグチャグチャの灰色の世界。画面で見てるとだいぶいいと思うけど、現場は本当に、なんでこれでやってるの? みたいな。
たま~に太陽が顔をのぞかせると、本当に身体が解凍される感じ。お日様バンザイ。太陽に「お」と「様」つけちゃう気持ちが心から理解できた。海を渡ってくるオンショアは南寄りの南極風なので、低い水温とも相まって、そりゃ寒いわな。志田の真冬の北東風と同じ。

(イザベラ・ニコルス)Photo by snowy

女子のラウンド16はオーバーラッピングヒートで終了、オッキー、カレンのヘリテージヒートをはさんで、メンズのラウンド16はオーバーラッピングには波数が足りないという判断だろうと思うけど、普通の進行で1ヒートが終わった時点であまりのひどさにオンホールド。5点6点がマックスではね、ちょっと厳しいよね。朝のイザベラ・ニコルスの時にはまだ時折それらしいの来てたけど、最後のチアンカのヒートはもうひどくて、ミギルヴレイみたいにセット待って待って5点4点なのか、チアンカみたいにどんどん乗って5点4点なのか、どっちにしても5点4点の端数部分の差。チアンカくらったな。

(ジョアオ・チアンカ)Photo by snowy

4時半までオンホールドって、潮が引き始めたらまだチャンスがあるかもしれない的な引っ張り、その間は例の波が良くないときにやらされるインターナショナルグロムサーチみたいなキッズの大会。まぁ、この先ピリオドの最終日まで波はろくでもない予報なので、行きたい気持ちもわかるけど、ひどかったな。

(トム・カレン)Photo by snowy
(トム・カレン)Photo by snowy

そんな本日の一番の楽しみはオッキー、カレンのヘリテージヒートだった。このクソベルズ乗れるのか? 思ったけど、さすが年老いてもワールドチャンピオン。結構見せるんですよ。カレンのカーブ、オッキーのバックハンドアタック、どっちも健在でした。
やっぱさ、美しいサーフィンって永遠なわけよ。わざと技のつなぎのフローがないがしろにされるって、絶対違ってると思う。
こういう過去のチャンピオンたちを引っ張り出して再注目させることの意義を、ある人が以下のように言っていて、なるほどもっともだな、と思ったし、本当にそういう意図があるのかもしれないな、とも思った。

(マーク・オクルーポ)Photo by snowy
(マーク・オクルーポ)Photo by snowy

過去のチャンプたちの中には引退後ドラッグにおぼれたり、ひどいアル中になったり、ウツに陥ったり、普通の生活が出来ない人も少なくない。そういうことが理由で死に至ってしまうケースもある。
スターが階段を転げ落ちるのと同じで、ワールドチャンピオンも忘れ去られるのはメンタル、フィジカル、そして金銭的にも厳しいわけだ。そこにこういうイベントや露出のチャンスがあれば、再び注目を浴びるし、自身がいまだに愛されていることを実感できるだろうし、それがポジティブな生活やスクールとか講演とかの仕事につながれば、経済的にも潤う。そのきっかけを与えるためにやってるんじゃないのかと。
明言しておきますが、オッキーとカレンがそれらの問題に直面してるって話ではないです。ただ、彼らが注目を浴びることによって、その時代に思いをはせるファンが出てきて、その時代に輝いていたサーファーたちが再注目される効果はあるんだろうな、って話。彼らであれば古き良き80年代。

過去のトップサーファーたちが世をはかなんで命を絶つ悲劇はもうたくさんだ、と思う人は多いはずだ。ポジティブで幸せな老後であってほしい。そのためのヘリテージ、偉大なる過去からの遺産発掘ですわ。オーストラリアでは相続税がないんで(笑)。

F+編集長つのだゆき

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