(ジャック・ロビンソン)Photo by Tony Heff/World Surf League

長年のパイプの歴史の中でもだいぶ…ひどい波だったCT初戦を終えて

F+(エフプラス)

ビラボンプロ・パイプライン。ジャック・ロビンソン、カリッサ・ムーア。
まぁ、長年のパイプの歴史の中でもだいぶひどい部類に入るコンディションだったと思う。たま~にあるけどね、パイプでアクション勝負とかエフカイマスターズとか。
実質的なファイナルはクオーターのジョンジョン対ジャックなんだろうね。

(レオナルド・フィオラヴァンティ)
Photo by Tony Heff/World Surf League

しかし、頑張ったな、レオナルド・フィオラヴァンティ。ラウンド1はガブとジョンジョンに挟まれてさすがに抜けられなかったけど、そのあとファイナルまで勝ち進んだ。悪いほうの運をラウンド1で全部使いきった感じだろうか。
昔ミック・ロウという選手が言ってたけど、どこかでツキのないヒートに当たるなら、ラウンド1(当時も負けのないヒートだった)がいい、というのは真実だ。

まぁ、あのコンディションになると、ちょっとかぶってワンビッグターンとか、2ビッグターンとかの勝負だから、誰にでもチャンスはあるよね。
ただ観てて面白いかと言われれば、やっぱり面白くないわけで、ドリームツアーの波質というのは本当に大事なんだな、と思う。

(優勝したジャックとカリッサ)
Photo by Tony Heff/World Surf League

本当に昨シーズンから安定してきているジャック・ロビンソン。昨年ファイナル5に入ったことで現実的にワールドタイトルが見えてきたというのもあるだろうし、今シーズンもあの安定感が続くなら、ちょっと楽しみだ。乗った波をマキシマイズするというか、乗った波をしつこくポイントにしていく感じも、以前のジャックとは別人の感がある。
カリッサ・ムーアは順当といえば順当だけど、こういう風にカリッサが勝っても、結局ファイナルズという最終戦にならないとわからない、ということが頭をよぎる。何をどう考えても、シーズン中ほとんどの期間をトップでいた選手が、一度もトップにならなかった選手よりランキングが低いというのは受け入れがたく、別にカリッサファンというわけじゃないけど、今年のタイトルはぜひカリッサであってほしい。

今現在究極のオールラウンダーといえばガブ、ジョンジョン、ちょっと控えてジャックロボなんだろうけど、ガブ、ジョンジョンはどちらも今回はジャックにやられた。今シーズンはこの3人の争いが軸になっていくんだろうな、と思う。

サブイベントで、CTシェイパーランキングとかやってるけど、まぁ、これってある意味どんだけタダで板削ってるのか合戦みたいなことになるので、あまり感心できないというか、なんか微妙なイベントだな、と思う。実際に試合で使うので、タダなら何でも、というわけではないだろうけど、CTレベルの選手の板を提供するというのは、シェイパー側から見ると原材料費だけでも莫大なコストがかかるわけで、ビジネス目的で広告代わりに無償提供するシェイパーもいれば、逆にビジネス目的で無償提供はしないというシェイパーもいて、考え方は大きく分かれるところだ。よって、板の性能がランキングに反映されているわけではない、ということは知っておいたほうがいいと思う。

(在りし日のラリー・ヘインズ)
Photo by Jim Russi

日本にも何度も来ているベテラン水中カメラマン、ラリー・ヘインズが亡くなった。ラニアケアでのサーフィン後の心臓発作。先日のワイメアでも水中やってて元気そうだったのに。日本びいきで、会うといつも、「はーい、ラリーさんです」、とニコニコ挨拶してたっけ。
アート・ブルーワーも昨年亡くなったし、サーフィン雑誌が盛んな時代を知っているカメラマンはどんどん少なくなっている。
まぁ、今のデジタル時代はいよいよ動画からキャプチャ、みたいなことになりつつあるし、印刷物で写真を見ることもほとんどないので、フィルム時代の技術とか知識とか不要だし、巨匠と言われるカメラマンが育ちにくい環境だけど、あの時代はけっこう巨匠いたし、それなりにネームバリューは高く評価されていた。まぁ、わずか30年なのに、隔世の感がある、という言葉が一番しっくりくるかな。
ご冥福をお祈りいたします。

F+編集長つのだゆき

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