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「2024年パリ五輪の日本代表になることは、幸運?はたまた悲劇?」- F+

F+(エフプラス)

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荒れたブラジルではあったけど、終わってみれば結局順当以上に順当な結果というか、現在イエロージャージーを着る男女、フィリッペとカリッサの優勝で終了した。これでフィリッペは早くもファイナルファイブ確定。Jベイでそこそこいければ1位でファイナルズも確定するんじゃないのかな。何しろ2位のジャック・ビンソンとの差は約1万ポイント。こんなに離れることは珍しい。ジャックとその下のイタロ、グリフィンとの差も約6-7000ポイントあるので、フィリッペ、ジャックのワンツーは固そうな感じだ。
熾烈なのは5位争いで、5位のイーサン・ユーイングからカノア、ジョンジョン、8位のカラム・ロブソンまでの差はわずか2390ポイントしかない。とはいえ、その下14位のマシュー・マギリヴレーぐらいまでは優勝すれば一気にジャンプインなので、Jベイ、タヒチと目が離せないところ。ガラスの膝だって治ればJベイとタヒチなんで、かなり行けるだろうし……みたいなことで無理すれば、さすがのジョン様も10月で30歳なので、選手生命かかっちゃうかもしれないし。

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ガブも治ったところでファイナルファイブは絶望なので、2023に賭けることになるのだろう。ふたたびメンタル折れないといいけど。
まぁ、こういうケガとかって避けられない部分もあるので、すべて起こるべくして起きている、という風に考えて受け入れるしかないし、後にはあの怪我があったから、今の自分がある、と思えるようになるのがゴールだと思う。失望したところで怪我が治るわけでもないんでね。

質問:2024年パリオリンピックの日本代表になることは、果たして幸運なのか?

まぁ、これは会場がタヒチのチョープーということを踏まえて、あのグリグリの波を誰が乗れるんだ? みたいなことで、選ばれちゃうのも結構困りものの選手もいるのではないか、ということのようですが、確かにそういう面もあるだろうし、そういう強化指定選手もいると思う。選ばれるのは幸運だけど、あそこやるのは悲劇、みたいな(笑)。

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でも以前にWQSがあったり、トリップとか雑誌でやったりしていて、日本人が誰ひとり乗れないってわけでもないし、いくらチョープーとはいえ全部が全部あの波、あのコンディションではないし、写真で見るような恐ろしいグリグリになるのは少ないチャンスのほうなので、悲劇ばかりとは言えないと思う。波がないときのバックアップスポットとかも用意されてるだろうし、そうなればまるでアナザーストーリーだし。チョープーはチャンネルから出ていく分には誰でも行けるし、写真のようにチャンネルで浮いてられるわけだから。

チョープーでのサーフィンは命がけ、ってことも問題になるんだろうけど、サーフィンというのは小さい波でも命を落とす危険があるので、ジェットスキーとかでがっちり守られてる試合のほうが、安全っちゃ安全かもしれない。

とはいえ、NSAもタヒチへの特別対応として、パイプで名をはせた松岡慧斗や大野修聖などを特定強化指定選手として、男女ともに通常の強化指定選手にプラスして選考している。

特定強化指定選手の決定について(NSAサイト)

でも、もうチョープーや、サンセット、パイプを特別視する時代じゃないんだろうと思う。
だって、男女ともに、CTにクオリファイするってことは、あそこをやらなければならない、って話になっちゃうので、チャレンジャーシリーズ回ってCT目指してる選手は、クオリファイが近くなれば覚悟するしかないわけだ。

(女性パイプスペシャリスト、モアナ・ジョーンズ・ウォン)
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昔カイリ・ウェブという女子選手がいて、ぜんそくの持病があってハワイのビッグウエイブが苦手でいつもハワイレッグをスキップしていた。でも彼女はそこまでの間、最終のハワイレッグ前には必要なポイントをゲットするのが常だった。だからだめなら理由をつけてスキップもあるけど、今けっこう危険系の会場が多いので、なかなかそうもいかないと思う。ただCTに入るということは、そういう波をやる、やれるが前提ともいえるので、スキップは今の時代はないだろう。

現CT選手だってみんな最初からパイプアタッカーじゃないわけで、最初はみんな自分が乗れる範囲の波で何とか試合してる感じだったと思う。でも、翌年、翌々年とどんどんそのレベルは上がっていく。CT選手ともなれば地力があるので、対応能力もものすごいものがあるので、みんなどんどん上手くなっていくのだ。特にブラジリアン、その中でもガブ。最初はそのヒートに来る波の中でも小さいのばかり選んで乗ってたけど、今じゃ世界一のチャージャーだもんな。

昔から日本人ってハワイやそのほかのビッグウエイブを神聖視というか特別視して、最初からまだ早いとか、日本人には無理とか、避ける方向に行っちゃいがちだけど、もうね、世界でやるならそんなこと言ってるのは許されない時代になっちゃったんだと思う。それがいいか悪いかは別として、ワールドツアーの会場としてそこが入ってしまうということは、波としての神聖さ、特別でアンタッチャブルな感じは確実に失われていくと思うし。

なので質問の答えは、まぁ、選ばれて「オリンピアン」になってしまえば一生ものの称号なので、乗れなくて浮いてただけでも幸運なんじゃね? ですかね。後年、「元サーフィンオリンピック選手」、とは言われても、浮いてただけの、とか、イチコケの、とかはつかないし。

F+編集長つのだゆき

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