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「ケリー・スレーターが仕掛ける試合前の心理戦とは?」-F+

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たぶん先週休みで、今週は以前登場したヴォーン・ブレイキーとマット・ウイルキンソンのディベート。ケリーの回の評判が良すぎて一回休んじゃったのかね。結局世の中いまだにケリー、というか、今なおコンペシーンを追ってる人たちが相変わらずケリー世代なんだろうなと思う。Z世代にはほかに楽しいことがたくさんあるし、ほかにいろいろ時間取られるし(笑)。

今回のハイライトはそのケリーの心理戦の話。サーフィン史上世界で最も有名な写真のひとつ、アンディ、ケリーの微妙な空気感、by Shermanが描いた世界。

Photo by Sherman

これ昔からオーストラリアの選手たちはみんな被害にあったって言ってて、あれこれ事件を聞いたけど、ロスみたいに近い人は、そんなんじゃない、ケリーはそんなこと考えてないよ、と言って、意見は分かれる。

はたから見てる分にはどっちもどっちかなぁ、と思うけど、ケリーは心理学とか好きなので、あえてやってるって考えるほうが自然かなと思う。オージーの言ってる事件が100%そうじゃないとしても、半分はきっと計算づくなんだろと思う。もしロスのいうようにすべて何も考えないでやってるとしたら、けっこう変な人だと思う。まぁ、変な人ですけど。

そのケリーはサーフランチプロでツアー復帰だけど、この試合スキップする選手続出だね。まぁ、オーストラリアで4試合、エルサルバドル、サーフランチと、オリンピックに出る選手としてはその前にいろいろ詰まりすぎ、ってことなんだろうか。コロヘ、ジョンジョン、ジュリアン、ジョーディ、ミシェル・ボレーズ……出ないのみんなオリンピック代表だから。一般的にはワールドタイトルより金メダルなんだろうしな。レイキー・ピーターソンが引き続き休むので、都筑有夢路がサーフランチにも出られることに。

しかしなぁ、個人的にはあのプールの試合って、あれ以上不公平な会場はないと思うんだよね。不得意だからって通い詰めて練習できるひとは限定されるわけだし、風の影響でどれもが同じ波ではないし、だからといって波選べないし。急に風が入って微妙な波になったからって、これ見送って次の波、ってわけに行かないんだからさ。あそこで何度もやってて、いろいろ対応できるひとが有利なわけでしょ。ある意味地元アメリカの選手は有利なんだろうなと思う。イベントやプロモがあったり、あの波やるチャンスはありそうだから。まぁ、ガブぐらい対応能力の高い選手になればそれも関係ないだろうけど。

ではヴォーンとウイルコのディベート第21回、行きましょう。

1:サーフランチプロでは誰が活躍しそうか

ヴォーン:僕はワイルドカードの選手が楽しみ。ナット・ヤングのパワフルでパンチーなリエントリーはあの波にあってるように思うし、マイケル・ダンフィーのタイトなサーフィンも。女子ではこの6か月でプールのベストサーファーといえばココ・ホーだと思う。

ウイルコ:ココ・ホー賛成(笑)。後はイザベラ・ニコルスのターンはプールの波にパーフェクトにフィットしそうだ。メンズでは意外にモーガン・シビリックのテールぬいた早いターンが合うように思う。あのレフトで15回ぐらい当てそうだし。何年か前にパンティンで彼と当たったとき、クローズアウトの波に行かせて、でかいエアリバかまされて負けたしね(笑)。

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 2:現在ランキングの下のほうで低迷してるビッグネームの選手で、この先上がってきそうなのは誰か

ウイルコ:例えばエース(エイドリアン・バッカン)とかはチョープーで優勝したこともあるし、後半期待できる。オウエン・ライトもあんな下のほうにいる選手じゃない。けっこうクロスで固まってるからね、何が起きるかわからないよ。

ヴォーン:下半分にいる選手はものすごく不安だと思う。オウエンもそうだろう。でも彼はいつもプールではいい成績だし、タヒチもそうだ。ただ、今18位以上のランキングにいる選手たちはとてもハングリーだから、そう簡単に上がらせてはくれないだろう。不安になってたら絶対勝てないけど、負け始めるとどうしてもそういう気持ちになるから、難しいよね。

ウイルコ:僕自身も何度かあの下のほうにいたことがあるけど、プレッシャーっていいほうにも悪いほうにも影響する。フラストレーションをためて、悪い結果やジャッジングや、すべてにイライラするけど、時が来れば試合に勝つマインドセットができるときがくる。オウエンみたいな選手はそのプレッシャーをポジティブなほうに利用すると思う。

ヴォーン:もしCTでダメでも、そのあとのチャレンジャーシリーズでのチャンスがあるからね。それも今シーズンの特徴だね。

ココ:下のほうにいるとシーディングが問題になることも多いと思う。女子は特に人数が少ないから、下のほうの選手はいつもカリッサやキャロラインやレイキーなんかの上位陣と当たることになる。彼女たちを倒すのは難しいし、下位からトップ5に行くってほぼ不可能なんじゃないかと思う。

3:アンクルウイルコもデビューアルバムをリリースしたけど、究極のサーファー/ミュージシャンは誰?

ヴォーン:何人かいるけど、キングズリー・ルッカーってピアニスト、ウォッシュ、クリード・マクタガート、ボー・フォスター、エリス・エリクソン……候補は何人もいるけど、究極と言われればポール・フィッシャーかな。グラミー賞にノミネートされて、今年バーレーのシングルフィンコンテストで2位になって……。

ウイルコ:あぁ、彼はここの所すごい成功してるよね。素晴らしいミュージシャンでサーファーっていうのは各ジャンルにたくさんいる。いまはカントリーボーイも(笑)。

ヴォーン:あぁ、でもパールジャムとかはケリーやオッキー、ミックをステージにあげたりして、聴衆の前で歌わせたりしたね。彼らはロックスター気分になれた。

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ウイルコ:逆もあるよね。彼らがサーファーになりたいって。俺アンガス・ストーンにボードあげたことがある。たぶんまだ彼の家のガレージに眠ったままだろうから、今のところまだミュージシャンなんだろうけど(笑)。

ココ:ヴォーカルとして自分で録音してみてどんな感じだった?

ウイルコ:誰も俺が100%マジなのかどうかわからないだろうけど、まぁ、まぁ……(笑)。

4:海に入る前(ヒート前の心理戦)で相手を倒すことができるか?

ウイルコ:あぁ、実際多くのサーファーがこのタクティクスを使うもんだよ。ケリーはマスターと言ってもいい。ヒート前だけじゃなくて、パドルにだっていろいろある。インサイドから寄られてピークからずれちゃったり、ガブリエル・メディーナみたいにいつもインにいて、相手が長いこと波に乗れないような状況を作ることもある。パーフェクトな例はエイドリアーノ・デ・スーザのレストランツ。彼は信じられないぐらい容赦なくしめてきて、相手がイライラすればハッピーな感じ。ゾーンに入ってるかのようにね。

ヴォーン:僕はそういう心理戦みたいなものは大好きだね。おそらく今ケリーが一番だと思う。コメンテイターとかするときにゲストみんなに、そういうことをされた経験があるかって聞いてるんだ。答えはみんなイエス。

この間ダレン・オラファティに会ったときにその話になって、彼は昔Kリーシュ持ってて、覚えてる?昔ケリーがやってたビジネス。KリーシュとかKフィンとか。で、彼がヒートだから自分の板を取ろうとしたら、彼のKリーシュがケリーのボードについてたんだって。彼はケリーがやったとは言わなかったけど、彼のボードにはリーシュがなかった。まぁ、ケリーが「だって名前書いてないから君のだってわからないでしょ」、とか言いそうなのは簡単に想像できるよね(笑)。

もうひとつはヒート前にケリーが寄ってきて、「あぁ、5’11の板があったらなぁ」、とか妙なことをつぶやいたりして、とにかく相手を集中モードから外すらしい。

あと、ミック・ファニングがワイルドカードでベルズに出たとき、ファイナルの相手はダニー・ウイルスで、ミックの憧れのサーファーだった。だからラインナップであいさつしたら無視されて、最後まで一言も話してもらえなかったんだって。それでミックは学んだんじゃない、あぁ、ここではそういうことなんだって。

17年間のツアー歴でたぶんミックは誰とも話してないんじゃないかと思う。

ウイルコ:妙な話だね。でも実際何人か、沖で全く話しない選手もいるよ。コンペティターエリアでのケリーとはほとんど話をしないけど、例えば何試合か会わないで久しぶりに彼と当たったとすると、彼はその前のヒートとかのことを、いい波乗ってたじゃん、とか言ったりして、急になんなんだよ、みたいに乱されちゃう。いい人だけど、深読みすれば裏になんかありそうな感じ (笑)。

ヴォーン:彼はそれを実にさりげなくやるんだ。女子のほうはどうなの? はたから見てる分にはみんな仲良しでいつも一緒な感じだけど。

ココ:お父さんはよくそのことを気にしてて、楽しそうにステファニーと話なんかしてるんじゃない、みたいに言われたりした。一番威圧感のあるのはたぶんコートニー・コンローグだけど、彼女は今はいい友人だからもうそんな感じもしないかな。昔コーチにヒート前に相手のところに行ってクリスマスは何するの、とか聞いてこいとか言われたこともあるけど、そんな勇気はないわ(笑)。タチアナは試合では話もしないし目も合わさない、ミックと同じタイプ。まぁ、基本的にみんな相手と進んで話はしたくないと思うけど、波の間隔が長かったり、相手がステファニーだったりしたら話しするかな(笑)。

F+編集長つのだゆき

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