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2枚の五輪切符を争ったアメリカ3選手のドキュメンタリー『Breaking Waves』

2019年のCTはワールドタイトルの他にオリンピックの出場権がかかった史上初のシーズンだった。

国別の枠がメンズ、ウィメンズ共に最大2名ずつという厳しい条件の中で最終戦のハワイまでもつれ込んだアメリカのカリッサ・ムーア、キャロライン・マークス、レイキー・ピーターソンの3名のドキュメンタリー「Breaking Waves」が公開された。

20分間に渡るこのドキュメンタリーは3名がどのようにしてサーフィンのエリートになったかを辿り、男女平等のための戦いや、世界トップレベルの勝敗に伴うプレッシャーなどを映し出している。

2019年の最終ランキングは1位カリッサ、2位キャロライン、そして3位がレイキー。オリンピックの切符を手に入れたカリッサとキャロラインに対し、この大きな舞台のチャンスを逃したレイキーの悲痛がこのドキュメンタリーの重要な側面だろう。

「私の母は水泳の世界記録を持っていたの。母がオリンピックチームに入った年はアメリカがボイコットした年で参加することが出来なかったのよ。だからこそ、オリンピックに出場することは子供の頃からの夢だったの」
レイキー・ピーターソン

マウイ島での最終戦『lululemon Maui Pro』でワールドタイトルとオリンピックの出場権の2つのチャンスがあったレイキーだったが、タイラー・ライトにR3(Round of 16)で敗退した時点でその夢は打ち砕かれてしまった…。
それは苦い経験だったが、レイキーはその過程に意味があったと考えている。

(左からレイキー、キャロライン、カリッサ)
PHOTO:© WSL/Cestari

「本当に長い間、私は世界最高の選手になろうとしてきた。サーフィンでも人生でも、娘として妻として、全てにおいてベストであることが必要だとこの数ヶ月で気付いたの。私はベストバージョンの自分でありたい」
レイキー・ピーターソン

一方、たった2つのオリンピックの切符を手に入れるという偉業を成し遂げたカリッサとキャロラインは、レイキーとは反対側からコンテストを見る形となった。
ドキュメンタリーでは彼女らがパートナー、友人、家族と一緒に祝杯をあげ、NYでのTVショーに出演する場面を公開している。

(キャロライン・マークス)
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そんな華やかな側面とは裏腹に、カリッサやキャロラインは目標を達成するために克服した障害を告白。

「私は若い女性として、ありのままの自分を愛して自信を持つことについて悩んだり、摂食障害を経験したりしたわ」
カリッサ・ムーア

特にまだ10代のキャロラインにとってボディイメージの問題は深刻だったが、その頃に決定された男女賞金同額化という画期的な改革が大きな意味を持つことになった。

このドキュメンタリーは世界最高のサーファーの喜びとプレッシャーの舞台裏を明らかにした感動的な内容になっている。

参考記事:Documentary Follows Moore, Marks and Peterson As They Compete For Olympic Spots In Maui | World Surf League

(空海)

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