五輪ファイナルでのイタロ・フェレイラ Photo: THE SURF NEWS/YasumaMiura

「選手生命は短縮化は必至?サーフテクニックの進化と怪我のリスク」-F+

F+(エフプラス)

宿題となっておりました質問その3

ここ数年のサーフテクニックの更なる向上により、ケガのリスクが上がっていますね。実際に、ジョンジョンは膝ボロボロだと思います。これからのサーフテクニックの進化および選手生命について、望ましい発展をユキさん独自の視点でお聞かせ下さい。

2019年パイプでのジョンジョン。五輪直前に左膝もケガをして手術した。 Photo by snowy

独自の視点かどうかはわからないし、意見は人それぞれだと思うけど、私はありとあらゆるスポーツが同じような道を進んでいるので、サーフィンだけが例外とはいかないだろうなと思う。選手生命は短縮化していくことになるだろう。14歳メジャーデビュー、22歳引退みたいな。身体ボロボロ、選手の肉体は消耗品、それが近年のスポーツといえる。参加することに意義がある、みたいな悠長な時代は遠い昔だ。

まずはざっくり分けて20世紀のサーフィンと21世紀のサーフィンの差を理解することからかな、と思う。

ケリーの第一期黄金期、20世紀末までは、サーフィンをすることが一番いいトレーニングみたいな感じで、ナチュラルな肉体で可能な最大限の動き的なテクニックだった。

21世紀に入って、ミック・ファニングあたりが持ち込んだと思われる、トレーニングで肉体を作り、メンタルトレーニングでメンタルを作り、サーフィンのすべての動作に対して科学的アプローチのもとに解析、ライディングをビデオで分析、コーチらとともにチームで勝利に向かっていく、というサーフィンが出てきて、今はすっかりそれが主流だ。

サーフィンサイボーグともいえるサーフィンに適した肉体づくり。その鍛えられた肉体がないとできない技術、作り上げられた肉体があって、それを最大限に使いきったところからがスタートラインだ。普通の肉体のままではできない動きが今の世界のトップのサーフィンと言えると思う。これは他のスポーツでも同じだろう。

そして、肉体の構造物には鍛えられる部分と鍛えられない部分があり、そのバランスが崩れると故障ということになる。その危険を抱えながら世界の第一線を目指すわけだ。エアーにしろビッグバレルチャージにしろ、わずか5年前よりだいぶリスキーになってきている。これを止めるには、10点満点のうちの配点に限度をつけるとか、禁じ手を作るとか、そういう方法しかないと思うが、それでも見ている側がすごい、と思う以上、止められないと思う。アイススケートのジャンプが3回転から4回転、5回転となっていくように、見ている側がそれに注目すれば、配点がどうであれ、そこはエスカレートしていく。選手はギャラリーをわかせたいし、ギャラリーは人間の限界越えが見たい。

そのうち無理なチャージをしたり無理なエアーしたりでけが人続出、ツアーの半分はケガで試合に出ていない、みたいなことになればWSLだって本腰を入れて考えるしかないだろうけど、幸か不幸か、まだそういう状況にはない。

ヘビーバレルへのチャージ、ぎりぎりのポジションへの攻め、ハイエアー、選手たちが危険を冒してなぜそこに突き進むかといえば、リスクを払えばリワードされるからだ。危険に対してポイントが付くからだ。

ポイントをつけるジャッジや歓声を上げるギャラリーによって発展の方向は決まってしまう。誰だって4フィートのパイプより10フィートのパイプが見たい。誰もエアー禁止の試合なんて見たくない。

選手の肉体が消耗品になってしまうのはある意味近代スポーツでは常識というか、そこは目をつむって長い人生のある短期間にすべてを賭けて輝く、ということになるんだろうと思う。特に世界のトップレベルでは。

なので私に子供がいたら、長い人生の中のわずか10年ぐらいのことにすべてをかけさせたくはないかなぁ、と思う。少しでいいから、なが~く輝いていてほしい。

Photo by snowy

写真は本当にきれいさっぱりのオリンピック会場。ここ駐車場と松林になるの?

Photo by snowy

秋だな。もうすぐオナモミと私と犬の戦いが始まる

F+編集長つのだゆき

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