Photo: THE SURF NEWS

【QS/CS/CTツアー構成を解説】村上舜と都筑有夢路は2021年CS出場確実

先日、World Surf League(WSL)より発表された2021年のクオリファイングシリーズ(QS)およびチャレンジャーシリーズ(CS)の実施方針

その詳細について、WSLアジアパシフィックオフィスおよびその日本窓口マシュー・ピッツ氏がTHE SURF NEWSの取材に応え、都筑有夢路と村上舜は2021年のCS出場枠が確保されていること、またその他に男子3名、女子5名の日本人選手のCS出場枠が用意されていること等を明らかにした。

ここで改めて2021年のQS及びCSの実施方針を整理する。なお、ここに記載の情報については取材時点のものであり、今後コロナ禍の動向等によって変更となる可能性は十分にある。


2021年以降のQS/CS/CTの構成

図: THE SURF NEWS作成

これまではチャンピオンシップツアー(CT)とクオリファイシリーズ(QS)の2部構成だったが、QS10000を新たに「チャンレジャーシリーズ(CS)」と設定。

2021年1月から7月までに行われるQSの結果に基づいて、8月から12月に実施されるCSの参加資格が決められる。つまりCTクオリファイを目指すには、まずCSに出場すること、そしてCS年間ランキングで男子は上位12、女子は上位6に入ることが求められる。

詳細:WSLが2021年のツアー抜本改革を発表

コロナ禍における2021年のQSとCSはどうなるか?

まず、2021年のQSは7つのリージョナルツアーに分かれる。それぞれのリージョンから決められた人数がCSに出場する。アジアには男女各6枠が与えられている。

■QSリージョン
北アメリカ
南アメリカ
ハワイ
オーストラリア/オセアニア
アジア
ヨーロッパ
アフリカ

今後QSは7月締めとなる。2021年の場合は2021年1月から7月4日までが2021シーズンとなり、それ以降は翌シーズン(2021/22シーズン)としてカウントされる。CSは2021年8月から2021年12月まで実施される。

CSに出場できる選手

男子は96名、女子は64名が出場し、2021年は以下のように各枠が割り当てられる。

■CS出場選手
各リージョン毎に割り当てられた枠数:アジアは男女6
CT選手:男子34名、女子17名
ワールドジュニア:男女各2名
ワイルドカード:男子2名、女子1名
※CT選手が不出場の場合はワイルドカードとなる

WSL資料より

現状CT選手全員にCS出場枠が与えられており、原則、男子のCT選手は2つのCSイベントに、女子は1つのCSイベントに出場することが必須とされている。
リクオリファイを狙う必要のないトップ選手等は出場必須イベント以外での欠場も予想されるため、各リージョンの上位に入ればワイルドカードを得られる可能性は十分にある。

日本からCSに出場できる人数は?

各国間の渡航制限を考慮して、いくつかのリージョンは更にサブリージョンに分割され、過去の実績等に基づきCS出場枠が分配される。

■アジアリージョン(男女各6枠)の分配
日本:男子4枠、女子5枠
インドネシア:男子2枠、女子1枠

アジアリージョンのその他の国はワイルドカードからのみCS出場のチャンスがある。

都筑有夢路と村上舜はCS出場確定

都筑有夢路は2019年『World Junior Championships』で優勝したため、リージョン枠に関係なくCS出場枠が確保される。その他の日本の女子選手は5枠を争う。

Photo: © WSL / MATT DUNBAR

2020年QSランキングで男子トップ10、女子トップ6の選手には、このリージョナル枠からの1枠が与えられる。村上舜は2020年ランキングで4位のためこれに該当する。日本の男子は残り3枠を争うこととなる。

Photo: © WSL/ Tim Hain

日本のQSランキングはどのように決まるのか?

ここまでをまとめると、まず都筑有夢路と村上舜のほかに、男子上位3名、女子上位5名がCSに出場できるということになる。

QS2021シーズンの締めである7月4日までに実施される国内イベントの結果と、2020年のポイントの合計点でランキングが算出される。

■2020年のポイント繰り越し
各選手は2020年の上位3イベントのポイントを持ち越すことができる。開催地はどこでも構わない。但しQS10000(Sydney Surf Pro)は、極端にスコアが大きくなるためポイントを半分にして計算される。

■国内イベント
2021年1月から7月4日までに開催される国内イベントのうち、上位5イベントがカウントされる。リージョナルイベントはQS1,000、QS3,000、QS5,000のいずれかになる。
12月15日時点で国内イベントの正式発表はまだないが、WSL公式サイトのイベント一覧には6月に静岡県内でQS1,000『Japan Pro』がリストされている。

※7月4日までに国内イベントが開催されない場合は、2020年QSポイントのみで計算される。

<参考>2020年QSランキング
男子:4位村上舜、31位稲葉玲王、54位大原洋人、98位西修司
女子:14位前田マヒナ、21位野中美波、25位黒川日菜子、42位脇田紗良・都筑有夢路、53位松田詩野

日本籍で海外在住の選手はどうなる?

日本籍の選手が海外の試合に出場することは可能。入賞した場合賞金も貰えるが、リージョナルランキングの対象にはならない。

CTクオリファイの条件は?

前述の通り、CTにクオリファイするにはCSで男子上位12、女子上位6に入る必要がある。

CSランキングは各CSイベントで稼いだポイントの合計点で決定する。カウント対象となるイベントは以下の通り。

■カウント対象イベント数
実施するCSイベントが
6つ以上の場合:上位5イベントをカウント
5つの場合:上位4イベントをカウント
4つの場合:上位3イベントをカウント
3つ以下の場合:全イベントをカウント

2021シーズンについては、2020年のQSで稼いだポイントが上記カウント対象のイベントを上回る場合は、以下の通り持ち越せる。

■QSポイントの持ち越し
2021年のCSイベントが4つ以上の場合:2020年QSのポイントは全て持ち越せる
2021年のCSイベントが3つ以下の場合:2020年QSのポイントは50%まで全て持ち越せる

2021年のリージョナルQSで稼ぐポイントはCSに持ち越せない。


今月開幕したCTも男女共に中断となっており、各国での新型コロナウイルス感染拡大状況、渡航制限、ワクチンの状況などにより今後変更となる可能性は十分にある。最新情報はWSL公式サイトおよび公式ルールブックで確認を。

『WSL RULE BOOK 2020』

(THE SURF NEWS編集部)

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